☆第十八話 宇宙の三十八時間☆


 ショタ王子が観察記録を纏めている間に、少し遅めだけど夕食を用意する。

「今宵は どのようなメニューですの?」

 ユキはマコトの作る料理が大好物で、マコトは料理を作るのが好きだ。

 本来、このサイズの航宙船で食べられる食事は簡易的なパック食が普通だけど、マコトはそれらの食材から、調理品と呼ぶに十分な食事を作ったりする。

 今、ショタ王子はブリッジのゲストシートでレポートを纏めていて、二人はキッチンスペースにいた。

 無論、三人ともユキの決定したドレスコードに従って、全裸てある。

 ただ、キッチンにいる関係でエプロンだけは身に着けているので、マコトとユキは裸エプロンでもあった。

「ショタ王子は、意外とお野菜が 苦手のようだから」

 と言うと、ユキが反応。

「もしかして…ピーマン ですの?」

 無垢なお姫様なユキの愛顔が麗しく曇り、白いウサ耳もペコんと垂れる。

「うん♪ ユキ、アストロ・ピーマンは お肌を艶々にしてくれるんだよ」

 と、マコトは中性的な王子様の如く美しい笑顔で、ユキの女子部分を刺激した。

 お肌が艶々になると言われてしまっては、苦手でも食べないワケには行かない。

「んんん~」

 と、艶々の頬をプクんと膨らませるユキだった。

 野菜のスープと白米と肉料理で、晩御飯が完成。

 二人の苦手な野菜を摂りやすいスープにした、マコトの優しい一品だ。

「シュタ王子。お食事になさいますか?」

「あ、はい。い、ぃ戴ます…」

 元気よく返事をして振り返ったら、二人は裸エプロンだったので、恥ずかしくて真っ赤になった愛顔を逸らす年下王子。

 三人の食事は、重力制御をされたキッチンスペースにて、やはり王子様を左右から挟んで、二人が差し上げる。

「ショタ王子様、あ~ん♪」

「は、はぃ…ぁ~ん…」

 エプロン裸女による「あ~ん」は、裸美少女から戴くソレとはまた違う恥ずかしさを感じて、やはり赤くなるショタ王子様だ。

 と、マコトが気づく。

「ユキ。自分の野菜スープをショタ王子に差し上げては ダメ」

「ぷぅ~」

 イタズラがバレた少女のように、ユキは頬を膨らませる。

 そんな年上美少女に、十歳の少年王子が問う。

「ユキさん、ピーマンが苦手なのですか? 実は僕も、苦手です…」

 と言って、肌面積に対するのとは違う恥ずかしさで、照れ笑いをした。

(あ、こういう笑顔も可愛い)

 と、マコトは異性に対する感情とは違う、不思議な既視感を、また自覚した。

 夕食が終わると、マコトが緑茶を用意して、王子様はまたレポートを纏める。

 食事やその後のは恥ずかしそうなのに、いざ生物のレポートへ向き合うと、途端に裸である事も忘れて熱中している。

 その姿には、全く邪気が無い。

「あのような姿勢…とても素晴らしく 思いますわ♪」

「そうだね」

 レポートは思ったよりも早く纏まり、ショタ王子は充実した悦びの、子供らしい笑顔で満たされていた。

「ご公務は お済みですか?」

「はい! ぁ…なんとか…」

 ヌードでお伺いを立てたマコトとユキの巨乳で視界を占められて、慌てて視線を逸らした美王子様である。

「ショタ王子様。それでは こちらへ」

 ユキに促されて、三人はシャワーボックスへ。

「中型の宇宙船ですので、手狭ではございますが」

 と言われて、少年王子はシャワー室へと通された。

 湯舟などは無い物の、このサイズの航宙船としては、最も広いボックスだろう。

 シャワーと鏡があるだけでなく、重力制御なので液体のシャワーが使用できる。

「それでは、失礼いたします」

「は、はぃ…」

 裸のケモ耳美少女たちに前後から挟まれて、愛らしい少年王子が、裸身を洗浄される。

「うぅ…」

 目の前で柔らかく弾む巨乳や、背中にプヨプヨと当たる双乳に、意識も視線も奪われそうになり、ショタ王子は失礼の無いようにと、紳士的に頑張って愛顔を逸らしている。

「ショタ王子様。どうぞ お気遣いをなさらず」

「は、はい…ぁ…」

 鍛錬の為にご覧くださいと言われても、では喜んでと行かないのも、少年の正直な心理である。

 二人の素手による全身洗浄のおかげで、少しだけ勇気を貰えた王子様は、無意識にも押されて、二人の裸身へと静かに、途切れ途切れで視線を向けた。

(ユキの誘導、上手くいってるみたい)

 すぐに恥ずかしくなって、また視線を逸らしてしまうものの、初日の気絶に比べれば格段に、女性の裸に慣れてきているだろう。

 シャワーで全身を洗浄して、エアタオルで髪まで乾かす。

「では、今夜は遅いので 就寝と致しましょう」

 この白鳥型航宙船には、小さいけれどゲストルームもある。

 そこで眠るかと思っていたショタ王子は、再びブリッジへと連れられた。

「? こちらでの就寝…ですか…?」

「はい♪」

 床から浮いた感じで、無重力用のベッドが設置されている。

 上方の一ヵ所と下方の二ヵ所をワイヤーで固定した、寝袋のような無重力ベッド。

 白い生地は上質な艶を魅せていて、しかし品物としては、一般的には高めといった価格設定のベッドである。

 小さく畳めて持ち運びも簡単であり、宇宙旅行者には人気の寝具であった。

「わあ…無重力ベッドですね…っ!」

 もちろん、王族であるショタ王子は、初めての体験である。

 ユキが先回りをして選んで購入し、セッティングをしておいたのだ。

「それでは、ショタ王子」

「は、はい…」

 二人の裸美少女に促されて、無重力空間に浮遊しながら、寝袋へと裸体を収める。

「これが、無重力ベッド…わあぁ…っ!」

 ベッドの表面も、ふかふかでスベスベで手触りが良かったけれど。内部はタオルケットのような肌触りで、素肌にとても心地が良かった。

「………」

 裸でのタオル地寝具なんて、少年王子は初体験だからだろう。

 普段ならパジャマで触れない肌まで、タオルケットの柔らかいサラサラ感覚を与えられると、裸である事を、より一層と意識させられてしまう。

 なんだか行儀の悪い事をしているような、しかし不思議な解放感もあるような。

「それでは 失礼いたします♪」

 ユキが左側へ、マコトが右側へと、裸身を滑り込ませてくる。

「は、はい…はうぅ…!っ」

 返答をしながら、つい見てしまった。

 細い爪先から締まった足首、しなやかな脛と細い膝、更にムッチりパツパツと張った艶々の腿。

 両脚の付け根である艶やかな肌の丘や、その奥に息づく秘密の桃色な閉じ合わせと、腿間から向こうに覗けるそれぞれのケモ尻尾。

 広い女腰から連なる細いウエストへの稜線や、無重力で砲弾型にタプんと弾む、二人の美巨乳。

 細い肩幅や、鎖骨から首への艶っぽい肌にも、視線が奪われてしまっていた。

「ふふ…ショタ王子」

「ご興味を戴いて、光栄に御座います♪」

「ハっ–すすっ、すみません…っ!」

二人の優しい笑顔で、自分の視線にハっと気づいて、年下王子は慌てて布団へ潜ってしまった。

「ショタ王子。天井を ご覧ください」

「…?」

 言われて、布団から頭を出した美少年が見たのは、室内空間に投影された、現在の宇宙空間だった。

 白鳥の船外カメラなどで捉えた全天周の星々が、空間の全てを覆っている。

 光学補正により、カメラやセンサーが捉えてしまうであろう護衛部隊の宇宙船は消去して、星のきらめきは補強しているから、七色にキラキラと美しい。

 漆黒の宇宙空間で虹の様に輝く星々や星雲たちに包まれているような、幻想的で浮遊感に溢れる光景だ。

「わあぁ…なんと、美しいのでしょう…♪」

 まるで、宇宙空間で眠るよう。

 そして王子の感想は、輝く天体映像だけでなく、星々の明かりを受けて神秘的に輝く二人のお姉様への、素直な感情でもあった。

「それでは ショタ王子」

「お休みなさいませ♪」

「はい、おやすみなさぃ…」

 と挨拶をしたものの、左右から柔らかいバストや腿に密着をされて、またドキドキが高まってしまう少年王子。

 すぐに眠ってしまった美少女二人は、無意識なのだろう。

 マコトが王子の頭を抱きしめて、スベスベの両腿を上体を挟んで、ユキは王子の腕を胸に抱き、柔らかい左右の腿を少年の腰を柔らかサンドイッチ。

 美少年の愛顔が巨乳に埋まり、腕が豊かな双乳に挟まれて、胸や腰にはツルツルぷにぷにで暖かい肌が、やさしく上下しながら触れていたり。

 しかも無重力ベッドの中だから、家族三人用の寝袋の優しい締め付けで、肌同士は通常のベッドよりも、密着度が上がっていた。

「………こ、これも…鍛錬…っ!」

 ケモ耳お姉様たちの暖かい肌に挟まれながら、王子様は意外と、深くて安心な眠りへと落ちて行った。


「お早うございます。ショタ王子様♪」

「お、おはようございます…んん…」

 ユキの楽しそうな声で目が覚めた王子様は、今日も一日、二人と共に全裸で過ごす。

 少年王子は、生物レポートを再確認したりして午前を過ごし、午後は若い三人らしく、三次元ツイッターゲームなどで旅を過ごした。

 過度に恥ずかしがりだった少年も、ここ数日のマコトたちによる女慣れの鍛錬で。二人の裸を前に顔を真っ赤にして気絶する事はなく、視線を落としながらも会話が出来ている。

 マコトやユキが、さりげなくバストやヒップを強調してしまうような姿勢でいても、思わず見てしまって、赤くなった愛顔を慌てて逸らしたり。

「ショタ王子、ボクたちの裸にも」

「随分とお慣れのご様子…。このうえない喜びにございます♪」

「あ、ありがとうございます…」

 王子が見上げると、二人の巨乳が視界を支配してしまうけれど、しかし頑張って、逸らすのは視線だけにまで、慣れて来ていた。


                    ~第十八話 終わり~

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