☆第十六話 海中ラグビー?☆


 野生生物の中では高い知性を誇るBドルフィンたちにとって、人間との遊びは楽しいものだと言われている。

 人類の使用する道具なども、そこそこ理解をしているようで、どうすれば自分たちに興味を持って貰えるかなども含めて、それらにもイタズラを仕掛けてくるという。

 そんな遊び大好きなイルカたちは、特に女性が着用しているビキニを奪うと、取り戻そうと追いかけて来る事を、よく理解していた。

「きゃっ!」

「あ!」

 警護としてショタ王子を注視していた二人の隙をついて、六頭ほどのBドルフィンたちが集まってきている事に、マコトもユキも気付かなかったのである。

 イルカたちにとって、肌との接触面積の少ない女性のビキニを奪うなど。朝飯前。

 特に、頭部以外の全身の体毛を、産毛に至るまで完全脱毛させられた女性のスベスベ肌に纏われているビキニとあれば、イルカたちにとっては脱がせてくれと言わんばかりの容易さだった。

 マコトとユキのビキニを口で引っ張って脱がせたイルカたちは、早く追いかけて来いと挑発するように、水着を咥えて海面を立ち泳ぎでアピール。

「まあ」

「脱がせた水着を 見せびらかしているの?」

 動物の生態にはそれほど詳しいワケではないマコトとユキの見解を、生物好きなショタ王子が、イルカたちの名誉のためにと、解説をする。

「び、Bドルフィンたちは、かなり人間との遊びが好きなのです。ヒレを装着しているお二人の水着を、ああやって見せれば、その…恥ずかしくて奪い返しに来るから、追いかけっこが出来る…という感じだと、想われます…」

 説明自体は得意だけど、聞いている相手は銀河に噂される美しきケモ耳お姉様たちで、しかもヌード。

 ショタ王子は顔を真っ赤にして、愛顔を伏せながら説明をした。

 二人の間に挟まれた王子の視界には、どちらを向いても視線を落としても、波間で揺れる白い艶々爆乳がチラついてしまう。

「なるほど。遊び好きな生物 なのですね」

「それで女性の水着を脱がせるなんて、いけないイルカさんたちですわ」

 そんな納得をしながら、マコトとユキは左右に王子を挟んだまま、イルカたちを追いかけ始める。

「ではショタ王子、水着を取り戻しに 参りましょう」

「え、は、はい–わわわっ!」

 左右から脇を支えられつつ、二人の脚ヒレ水泳で海中を進む。

 身体能力の高いマコトとユキは、海洋性の哺乳生物そのままに、左右一体の脚ヒレで海水を蹴り、凄い早さでイルカたちを追いかけた。

「あ、あのっ–っそっその…っ!」

 引かれる両脇の外側では、二人の大きな裸尻が上下になめらかに、官能的に跳ねて、スピード水泳を維持している。

 身体を捻ると左右の巨乳がタプんっと弾んで、真横からアングルの柔乳バウンドが、視線を奪うに容赦なし。

「ショタ王子、苦しくは ありませんか?」

「は、はぃ…っ!」

「もう少しで、追い付けますわ♪」

 マコトとユキも、イルカとの追いかけっこを楽しんではいる。

 しかし、この追いかけっこを始めた一番の理由は、予備が無くともビキニの奪還などでは、当然ない。

 こういう体験も、生物好きな王子としては、やはり逃したくはないだろう。

 と考えたのだ。

 逃げるイルカの尾ヒレに、マコトの掌が届きそうになる。

「さあ、ビキニを返しなさい」

 尾ヒレに触れようとしたその瞬間、イルカたちがビキニを口から離し、六方向へと散り散りに逃げる。

「あらあら。追いかけっこでは勝機無しと、諦めたのでしょうか?」

 と、ユキが楽しそうに、マコトと一緒にビキニへと手を伸ばした瞬間。

 イルカたちはまたも二人の隙をついて、今度はショタ王子様の脚ヒレを咥えて、誘拐と逃走。

「あ、あのイルカたち!」

「まあ、大変ですわ」

ショタ王子を攫ったイルカたちは、二人が追い付ける速さで、いま泳いできた方向へと逃げてゆく。

「まったく」

 裸の二人はビキニを手放し、イルカたちの追跡を再開するしかなかった。

 攫われた王子様はといえば。

「あはは。あなたたちは本当に、遊ぶのが好きなのですね♪」

 少年を攫ったイルカたちは、すぐにエモノの左右腋の下へ位置すると、間に挟んで支えながら、グングンと泳ぐ。

 かなりの速さで通り過ぎてゆく、海底の景色。

 砂地や岩場、海藻やサンゴなどの様子も、少年たちの影の形を変えながら、凄い早さで流れて消える。

「あなたたちは、こんな景色を いつも楽しんでいるのですね…♪」

 美王子は心から、楽しんでいた。

 対して、イルカたちにラグビー勝負を挑まれたケモ耳美少女捜査官たちも、全力で以て応える。

「ショタ王子を」

「返しても貰うから!」

「え? あわわっ!」

 二人の声が聞こえたかと思ったら、王子の下を並走するマコトが視界に入る。

 ビキニを奪われたまま王子奪還を始めた二人だから、仰向けで泳ぐマコトのネコ耳マーメイド・ヌードが、王子の視界にいっぱいだ。

「ショタ王子」

 中性的な王子様の如き美しい微笑みで、両腕を拡げたお姉様捜査官が少年王子の身体へと抱き着いて、優しく、しかし強引に、イルカたちから取り戻す。

「あっあのっ–ひやあ…っ!」

 ショタ王子の透明ヘルメットには、抱きしめるマコトの巨乳が、柔らかく押し付けられている。

 ヘルメットが、ピンと伸ばされたネコ耳やウサ耳にも対応しているのは、人体に反応をして、柔軟に形を変えるからである。

 つまり今、抱きしめられて真っ赤な愛顔を巨乳ホールドされている王子様には、ヘルメットの素材越しで、暖かな双乳に顔を埋めている状態であった。

「ショタ王子 暫しのご辛抱を」

 落ち着きながら、並走するユキと同じスピードで、三人は逃走。

 イルカたちも全力で泳ぎを楽しんでするけれど、マコトとユキは、それと同等の速度で泳いでいるのである。

 これは、日頃からの訓練で鍛えている二人の筋力の賜物、だけとかではない。

 脚ヒレの機能として、肉食の魚などから逃げる際に、人力よりも強力な推進力を生みだすシステムが仕込まれているのだ。

 爪先から膝までの両脚をロックして繋がっている大きな脚ヒレそのものが、うろこ状の表面を微細だけど超スピードに振動をさせていて、周囲の水を後方へと押し流している。

 それを、人間の脚の動きとリンクさせる事で、人力以上の泳ぎが可能なのである。

 とはいえイルカたちも、勝手知ったる種族的特徴の違い。

 自ら流線形ボディーの有利を生かし、直列繋ぎで水圧を先頭の一点に集中し、全体の抵抗を最小限に抑えながら追いかけてきた。

「わああ…イルカたちのあのような発想を、直接見られるなんて…っ!」

「頭 良いんだね」

「驚くべき知性の高さですわ♪」

 と、三人も背後を確認して、素直に感心だ。

「Bドルフィンの知性は、他惑星に存在する一般的なイルカたちよりも、かなり高いと言われています。お二人の脚ヒレに追い付く事も、きっと可能だと…ぉ思ぃます…」

 知識欲に旺盛な王子様らしく、たとえ美少女の巨乳に顔を埋める恥ずかしい状況でも、いざ生物知識となると、恥ずかしさを減退できるようである。

 とはいえ、ケモ耳お姉様たちの裸身を意識してしまった語尾は、やはり小声。

 王子の予見通り、抵抗を減らした直列イルカたちがマコトに追い付いて、王子を奪おうと取り囲んで来た。

 一頭のイルカが、ショタ王子の脚ヒレを咥えようとしたタイミングで。

「ユキ」

「はい」

 マコトがショタ王子を手放した瞬間に、すぐ後方へと廻っていたユキへと、王子様の身体が流されて、抱擁キャッチをされた。

「わっ–はわわっ!」

 今度はユキの巨乳の間へと、正面から愛顔を埋めてしまう。

 ヘルメットが柔らかく変形をして、左右の頬が、むにゆりと挟まれる。

 更に頬には、乳肌先端の桃色媚突まで触れて、白い乳肌よりも微妙に暖かい温度で存在を主張されていた。

「ショタ王子、水圧などは 大丈夫でございますか?」

「は、はぃ…っ!」

 こうして、ショタ王子はイルカラグビーが終わるまで、マコトの巨乳やユキの双乳を体験させられながら、波と太陽で彩られるケモ耳美少女捜査官たちのマーメイド裸身を、脳に焼き付けられていった。


 クルーザーの上でシャワーを浴びて昼食を摂る際にも、マコトたちは、裸人魚のまま。

 なぜかというと、ショタ王子的にはまだ観察したい海洋生物たちがいるからで、マコトたちは王子様の鍛錬のためで、予備の水着に関しては話題にしなかったのだ。

 昼食を済ませて一休みをすると、二人は再び海へと潜る前に、大切な仕事をする。

「「失礼いたします」ですわ」

 海パン一枚な美王子の前後で膝をつくと、日焼け止めと海塩防止用のクリームを、少年王子の肌へと直接に掌で塗りを施す。

「先ほどのスプレーが 空となってしまいましたので」

 それが終わると。

「ショタ王子。女性の肌にクリームを塗布されるのも、紳士のお務めでございますわ♪」

「は、はぃ…」

(ユキ、やっぱり楽しんでいる)

 と理解しつつ、マコトも付き合って、王子様へと背中を向けて、寝転がる。

「………っ!」

 ケモ耳マーメイド二人の、尻尾が揺れる丸い巨尻やしなやかな背中を前にして、ショタ王子は修行の為にと震える掌で、二人の裸体にクリームを塗ったのだった。


                    ~第十六話 終わり~

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