☆第十四話 ステーションのお出迎え☆


「お早うございます、ショタ王子♪」

「…ぉはよぅござぃます…」

 それでも、王子様が睡眠不足な眠りで朝を迎えられたのは、ひとえに王子自身の真面目さと、努力の賜物だろう。

 全裸のケモ耳お姉様たちに抱き着かれ、柔らかい肌や暖かい吐息で全身を擽られながらも「これも王族の鍛錬…っ!」と、頑張って眠りへと向かったからだ。

 一晩と続けられた左右からの柔肌愛撫で、浅い眠りを行ったり来たりしていた気もするけれど、とにかく眠れた。

 と自覚をしているけれど、実際は恥ずかしさと二人の官能スベスベ肌に、気絶したり目覚めたりしていただけだったり。

 今、裸で仰向けな愛らしいショタ王子様の左右では、ヌードのマコトとユキが、魅惑的な裸身を起こしていた。

「お早うございます、ショタ王子。朝食の前に、汗を流してしまいましょう」

「は、はい…」

 マコトの揺れる巨乳や、ユキのくねられる細いウエストが、目の端でチラチラと視線を誘ってくる。

 それでも、目を閉じる事よりも、視線を向けない努力をするベキだと考えて、そう頑張る王子様。

 マコトが朝食のオーダーをして、王子様はまた二人に連れられて、浴室へ。

「うぅ…」

 従者以外の女性たちの前で裸でいるのは、やはり恥ずかしいショタ王子。

 さり気なく裸の腰を隠したりしても、二人は特に注意などしない。

「それでは」

 と、暖かいシャワーで美顔から流されながら、やはり二人の香りは素敵でドキドキしてしまうと、王子様は高鳴る鼓動とは違う、不思議な安堵を感じ始めてもいた。

 湯に流されながら、伏せた愛顔で目を開けると、二人の滑らかな腿や尻尾、大きなお尻や小さく細い足首などが、視界に収まる。

 二人とも、やっぱり裸。

 とか考えてしまうと、恥ずかしいけれど、もっと見たい、とか感じてしまった。

 そんなショタ王子の戸惑いとは別に、ユキが王子様へ告げる。

「ショタ王子様。お目汚しでなければ、どうぞ 私たちをご覧になって下さいな♪」

 無垢なお姫様のように愛らしい笑顔で、ユキは嬉しそうに恥ずかしそうに、白いウサ耳とウサ尻尾をピクピクっとさせていた。

 そんなユキに、マコトは。

(ああ、完全に 楽しんでいる)

 と、パートナーの心情を当たり前に見抜く。

 とはいえ、マコトも不思議と、この王子様には見られても不快ではないというか。

 むしろ見られてもそれが自然のような気がしていて、そしてそれがナゼなのか、やはりまだ解っていなかった。

「ユキの申し上げる通りです、ショタ王子。ボクたちの身体でよろしければ、ご鍛練にご活用くださると ボクたちにとっても嬉しいです」

 語尾が砕けてしまったのは、マコトもショタ王子との距離が縮まっているからだ。

「は、はぃ…」

 二人に励ましを貰ったものの、だからといって、二人のヌードを堂々と見られる少年ではない。

 とにかく、魅惑的でドキドキしてしまう足下だけでも、見慣れなければ。

 と、王子様は真面目な努力を重ねていた。


 シャワーを終えて、二人で王子様の身体を拭って浴衣を着せると、朝食は既にテーブルへと並べられていた。

 マコトとユキはバスタオル一枚の姿で左右へと陣取り、やはり交互に食事のお手伝い。

「あ、あの…よくよく考えてみれば…なのですが…その…」

 王宮の食事では、王子も自分で食べている。

「もちろん、承知しておりますわ♪ ですので」

「これも鍛錬なのです」

 と言われると、やはり谷間も露わなバスタオル一枚のケモ耳美少女たちによって、左右から食べさせて貰うしかなかった。


「本日のスケジュールは、惑星ギュルオーンでの 海洋生物観察でございます」

「ギュルオーンですか…っ♪」

 食事が終わって、マコトとユキが特別捜査官としての正式スーツであるメカビキニに着替えて出てきて、スケジュールを伝えた。

 と、王子は二人の露出過多なスーツ姿を恥ずかしがるよりも、海洋生物の調査にワクワクしている。

 初対面の時に、同じ姿の二人を見て従者の後ろに隠れてしまった過度な恥ずかしがりから考えると、随分と慣れてくれた様子だ。

 マコトもユキも、ショタ王子の真面目な鍛錬姿勢と一緒に、自分たちの努力も功を成しているようで、素直に嬉しい。

「うふふ。王子様、ご覧くださいませ♪」

 そう言って、ユキはその場で、クルりと一回転。

 白いウサ耳が靡いて、ゆるフワな髪が凪がれ、大きな双乳がプルんと弾み、パツパツなTバックヒップがタプんっと揺れる。

「え…あぁ…っ!」

 あらためて見せられると、意識してしまい、耳まで真っ赤に上気するショタ王子。

 しかし。

「うぅ…」

 恥ずかしくて閉じそうな目を頑張って開いて、魅せてくれているお姉様に恥ずかしい思いをさせないようにと、フラフラしながらも懸命に注視だ。

「ふふ…それでは、参りましょうか」

 そう言って、背後から王子の肩へと両掌を置くマコトの、縦長なヘソも剥き出しで引き締まったスベスベ腹部が、王子様の後頭部へと優しく触れていた。

「は、はぃ…」


 支配人たちが涙で見送るホテルを後にして、宇宙港から艶真珠色なメカ白鳥にて出発。

「惑星ギュルオーンまでは、通常の超高速航行にて、三時間ほどでございます」

「はい! あぁ…楽しみですっ!」

 ブリッジの中には、パイロットシートのユキと、コ・パイロットシートのマコトと、ゲストシートに腰かけて予習に余念のないショタ王子。

 惑星ギュルオーンは、その惑星の正式名称としては、少し違う。

 太陽を中心とした公転軌道に対して、人類型の生命体が居住している惑星が、ギュルオーンの本星。

 太陽を挟んだ公転軌道の正反対、同じ軌道の裏側を全く同じ速度で公転し続けているのが「ギュルオーン・B惑星」と呼ばれる惑星だ。

 三人が向かっているのは、このギュルオーンB惑星である。

 通称B惑星は、惑星表面が海水のみという、海面積がほぼ百パーセントの惑星である。

 なので陸生生物はほとんど皆無で、魚や貝類などの海洋生物のみが存在していた。

 それでも、宇宙では希少というほど珍しくはなく、この手の惑星は発見してから数世紀にわたって生物調査や資源調査などをした後、外貨獲得の為にリゾート惑星として、ある程度の解放をされるのが通例である。

 このギュルオーンB惑星も、そういう惑星の一つであり、ショタ王子が実際に訪れた経験の無い惑星である事から、とても楽しみにしているようだ。

「ショタ王子、到着いたしました」

 マコトの言葉で、王子様は自分の席の前に設置されている、小型モニターを注視。

「わあぁ…なんて、綺麗な…っ!」

 水だけの惑星は、太陽の光を受けて、真球体のように艶めいている。

 青い海と、白い雲と、極点付近は巨大な氷が浮いている。

 この両極点に浮かぶ溶けない氷の上にのみ、海から上がって進化した生物たちが、僅かに繁殖していたりする。

 いわゆる大陸どころか小島などの一切が、見当たらなかった。

 B惑星への寄港は、すでに通達してあるので、マコトが惑星ギュルオーン本星との通信で入星許可を得て、B惑星のステーションへとそのまま直行。

 衛星軌道上に浮かぶステーションも、惑星の外観を邪魔しないように表面を光学迷彩にて、惑星と同じ感じに変化をされていた。

「あ…緑色の信号が…」

 惑星の正面で、四角い緑色の枠が光って、更に光の点線が伸びて来る。

「はい。あの信号が、ステーションのゲートとなります♪」

「ショタ王子、ご覧を」

 ユキの説明と一緒にマコトがスイッチを操作すると、正面モニターの画面にフィルターがかかり、光学迷彩はそのままで、ステーションのシルエットが緑色の線で浮かび上がる。

「わぁ…あの輪郭が、ステーションなのですね」

「はい♪」

 ユキが軽やかにメカ白鳥を飛翔させながら、ステーションへと入港。

 接岸をして三人が下船をすると、迎賓用の港口には、惑星ギュルオーンの外交長官が直々に、出迎えに来ていた。

「ようこそ、おいで下さいました。アレンシヨターリュ王子様」

「ご迷惑をおかけいたします。アルガンゼル外交長官殿」

 緊張も無く、優雅で欠礼のカケラもない、地球本星換算で十歳とされるショタ王子の優雅な挨拶に、若いヒゲの外交長官が、感激をする。

「おおぉ…なんと身に余るお言葉を…っ! このアルガンゼル、一生の誉に御座いまするっ!」

 高身長で筋肉質で強面の外交長官は、ショタ王子が生まれた時に、外交副長官として惑星サンサー・ラランドへと出向していて、産まれたばかりの王子と対面を許された経緯があるという。

 そういう意味では、十年ぶりの再会でもあった。

「あの時の、まさしく天使のような赤子でいらしたショタ王子様が…このようなご立派な若君へと、ご成長をされて…ううぅ…っ!」

 感激の涙を禁じ得ない、髭の強面外交長官である。

 後ろに控える外交職員や、ステーションの初老な責任者、更には長官付きの女性秘書官たちも、ショタ王子の美しい愛顔を直視して、萌えている。

 それだけでなく、背後で護る麗しいケモ耳美少女捜査官たちにも、職員の男女は区別なく、熱い視線を隠せずにいた。

 中性的で美しい王子様のようなマコトの美顔が、無垢なお姫様のようなユキの愛顔が、護衛と言う任務に隙の無い引き締まった表情で、輝いている。

 銀河に広く知られる二人のメカビキニは、大きなバストも上下左右がタップりと肌を魅せていて、ボトムのフロントもローライズなV字で、更にお尻はTバックよりも肌色成分が多い。

 得に男性職員たちは、ショタ王子の愛らしさを認めつつ、やはり二人の魅惑的な正式スーツに釘付けであった。

 これでは、誰を迎えに出たのかわからない。

(まったく)

(くすくす)

 全身に四方から突き刺さって来る男性たちの熱い視線を、マコトは呆れ、ユキは楽しんでいるようだった。


                    ~第十四話 終わり~

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