☆第五話 芸術鑑賞☆
宇宙港への着陸から乗降用の接岸橋までは、港のコントロール任せである。
なので二人は、与えられた務めへと移った。
「では、アレンショターリュ王子様、お召し替えを」
「え…っ!」
一応とはいえ、お忍びでの公務となるので、王族衣装のまま外出をさせるワケには、当然ゆかない。
なので、王子の着替えなど一式も預かっている二人は、少年の着替えも手伝う事となっていた。
シートから立ち上がったマコトとユキの、大胆露出なメカビキニの広くて白い腰の肌が、目の前へと迫って来る。
「い、い、い、いぇあのっ–ぼぼ僕はっ、自分でっ–」
慌てふためくと、年相応に「僕」となる。
そんな一人称に、同じくボクっ娘なマコトは少し親近感を感じ、ユキは可愛いと感じたり。
「いけませんですわ。王子様のお召し替えのお手伝いも、私どもの 務めにございます♪」
と、無垢なお姫様フェイスを何やら楽しそうな笑顔で輝かせるユキ。
(メイドっぽい事が 楽しいんだね)
と、マコトは中性的な王子様フェイスを美しく悩ませた。
ゲストルームの荷物から、オシャレに明るいユキが、年下王子様の外出着を選択して見せる。
「これが宜しいですわ♪」
ブラウン系の落ち着いた上着に、白いシャツ。
下は紺色のスラックスで、質素だけど上品にコーディネイト。
パっと見ると、お姉さんとお出かけをする一般少年の服装だ。
「で、ではそのっ–きき着替えますのでっ、お二人はそのっ、席を外し–」
真っ赤になって俯く少年王子を、露出過多なメカビキニのお姉さんたちが、前後から挟み撃ち。
「さあ、リラックスなさって くださいな♪」
「ボクたち…コホん…ワタクシたちに、お任せ下さい」
「~~~っ!」
肌面積も大胆なお姉さんたちに挟まれた少年は、恥ずかしくて身動きが出来ず、もうジっとカメのように固まったままだ。
「失礼いたします」
そう言いながら、ユキが王子の、和装な正装を解いてゆく。
「あ、あわわ…っ!」
いつもの秘書の女性が相手なら、シッカリと着衣をしていて、しかもショタ王子自身が慣れている。
しかし今、ニュースなどでしか知らない銀河一なケモ耳美少女捜査官の二人に挟まれて、衣服を脱がされている状況。
しかも、王子の身長に合わせて膝をついているので、ウッカリでも目を開けたり顔を上げてしまったら、大きなバストの深い谷間が目の前である。
「うぅ…っ!」
王子は必死に目を閉じて下を向いて、恥ずかしさに耐えていた。
そんな頑張りも可愛らしくて、マコトも、ハンサムな王子心がより王子へと近づいてゆく。
「アレンショターリュ王子様。王族たられるあなたが 女を目の前にして俯いておられては、国民から笑われてしまいますよ」
「そ、それは…あわわっ!」
マコトの言葉に何かを言いかけて正面を見据えたら、ユキの柔らかそうな巨乳谷間が数センチと直近で、王子はまた慌てて目を伏せてしまう。
しかもバランスを崩して後ろへと転げそうになって、裸の背中がマコトの巨乳でポユんと受け止められたり。
「わああっ–ごごごっ、ごめんなさぃ…っ!」
恥ずかしがりなうえ、とても真面目なショタ王子。
マコトは、優しく返す。
「お怪我をなさらず、なによりです」
バストバウンドを許された少年は、しかしやっぱり恥ずかしくて、拳を握りながらキツく目を閉じ続けていた。
そんな、太古のマネキンな如く身を固くしている王子様なので、他者の着せ替えに慣れていないマコトでも、スイスイと着替えさせる事が出来たり。
「さぁ、アレンシュターリュ王子様。お召し替えが 完了いたしました」
と言いながら、ユキが王子をデジタル全身鏡の前へと促す。
「あぁ…」
ユキが纏めたコーディネイトは、いつもの王室では出てこない庶民的なセンスであり、ショタ王子も新鮮な着衣に感動している様子だ。
(うふふ…可愛いですわ♪)
(まぁ 否定しないよ)
「では王子様。失礼ですが、私どもも 着替えをさせて頂きます」
と言いながら、マコトとユキは大胆にも、王子の前で着替え始めた。
「えっ–あっ、待ってくださいぃ…っ!」
部屋の扉の開け方を知らないショタ王子は、銀河に謳われるグラマー美少女たちの生着替えが始まっても、部屋から出る事など叶わない。
マコトのブラパーツが外され、ユキの白い巨乳がタプんっと溢れる頃には、王子様は扉へ向いて、耳まで真っ赤に上気していた。
「私どもが、勝手に失礼を働いておりますので♪」
「ご覧になっても、よろしいのですよ」
「ぃぃいいいいえええぇぇぇぇっ!」
ケモ耳美少女二人組の観覧許可を、王子様は精いっぱいに声を絞り出して、背中で応える。
「ふふ…」
二人はそのまま、年下王子様と同室をしながら、着替えを完了させた。
二人の衣装は、ボディラインを隠さない大胆なシルエットだ。
共通な薄い上着の下は、マコトがへそ出しローライズなホットパンツ姿で、ユキはへそ出しで丈も超ギリギリなミニスカート。
マコトのブーツやユキのローファーも、見た目は一般的だけど、ショタ王子に用意された衣装も含めて、全ての衣装パーツは警備用の特殊装備だ。
用意されているビークルを、捜査官の習慣として安全チェックをしてから搭乗をして、宇宙港から美術館へと出発をする。
「それでは、発進いたしますわ」
ユキの操縦で、ビークルは高速道路を静かに進んだ。
周囲の車は、一般車に偽装されたピカランジェロ警護隊の車両である。
王子様が小柄なので役に立つかはともかく、ヘッドレストは横幅も広い防弾仕様。
ユキは操縦をしながら前方と右側に注意し、マコトは左右と後方に意識で警戒をする。
(まぁ、警護隊もいるし。このピカランジェロは友好惑星なんだけど)
敵性勢力の襲撃など皆無だろうけれど、それでも、警護の心構えは変わらない。
「………」
ある意味で初対面な美少女二人から伝わってくる緊張感や、美しくも鋭い周囲への眼差しに、女性が苦手なショタ王子も、つい見惚れてしまったり。
二十分ほど高速道路を走って、ビークルは美術館へと到着。
実は休館日なのでお客はおらず、ビークルは閉じられた正門ではなく、職員用の裏口搬入ゲートから、駐車場へと招かれた。
「お待ちしておりました」
ビークルから降りると、初老男性の美術館長と、美術館員の制服を纏った男性警護員たちが、鋭い視線で周囲を警戒しつつ、王子様に対して失礼の無いよう丁寧な挨拶。
「本日は 私の為に、お手数をおかけしてしまいます」
とか、男性が相手だと恥ずかしさを感じる事がないためか、スラスラと上品な挨拶をされるショタ王子だ。
(やれやれ)
(うふふ♪)
三人の鑑賞スケジュールは、警備隊に全て護られ、注視されている。
それは王子様も二人も、当たり前に承知して行動をしていた。
ショタ王子の美術鑑賞にも、女性慣れの為のプログラムがあった。
「こちらで御座います」
男性の美術館員が案内をしてくれるのは、裸婦のコーナー。
「…はぃ…」
抽象的な裸婦画や立体像から始まって、少し写実的な裸婦像や、静物などと一緒に描かれた裸婦画など。
「………」
この時点で、愛顔が真っ赤なショタ王子。
対してマコトたちは。
「素敵な裸婦画ですわ♡」
「芸術って、ボクには よく解らないな」
と、それぞれの感想を口にしていた。
写実的な裸婦像たちから、裸婦の写真のコーナーを経て、芸術の勉強という修行が終了をする。
ご褒美として、すぐ隣に併設されている水族館へと、三人は招かれた。
「わあぁ…っ!」
壁一面や、三階分の高さな天上までも覆う巨大な水槽に。マコトとユキは圧倒されて、ショタ王子は感動の笑顔でキラキラしている。
「あれは、地球本星のウナギですねっ! あっ、あれはピカランジェロのムンク・フィッシュではないですかっ! なんと不思議な姿形…っ!」
「…女性の姿形は 恥ずかしくて見られないのに」
「本当に、生物がお好きでいらっしゃいますのですわ♪」
好奇心に溢れる子供そのものな、しかし知的欲求が刺激をされて、素直な喜びの年下美王子。
そんな愛らしい姿に、マコトもユキも、庇護欲な愛しさをあらためて感じたり。
そして王子は。
「……ぁ……」
水槽に反射して、半透明に映る、マコトとユキ。
それはまるで、伝説の人魚を想わせる程に不思議で妖しく、更に伝説のセイレーンの歌声を想わせるような、心を掴まれる程の神秘的な生命体。
恥ずかしがりな年下少年が、水槽に泳ぐような二人の姿に見惚れている事を、マコトもユキも気付いていなかった。
~第五話 終わり~
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます