第11話

 「オケェ」(出演デキルラシイナ)「あああぁぁっ」(マルデ獣ダ)「出演できるって、二人とも」「おお、よかったじゃん」「これで一通りのタイムテーブルはできあがったよ」「わりとすんなりいったじゃん」「まあね、規模も大きくないし、遊びみたいなイベントだから」「それでいいんじゃない、初めだし」「まあね、これくらいでいいんだろうね」(最初ハ楽ナンダヨ、ワリト、慣レテクルト、身内ハ来ナクナルカラナ)「予定通りいったから、なかなか盛り上がるはず」「みんな仕事があるからなぁ、最近は地元の連中で集まることもなかったし、間違いなく人は集まるだろうね」「そう望むところだよ」「トンちゃんも回してくれるし、高校の奴らも出るし、最近はツアー同行に忙しい凄腕のグリムも出てくれるし」「いやぁ、ほんと助かるよ、グリムはさすがに図抜けているから」「間違いなく同窓会みたいになるだろうね、クラブに通うこともなくなったから」「そうだね、まず盛り上がってなんぼのイベントだから、どんなに良い内容でも、人が集まらないと」「おっ、電話だ」「あっ、あの人は通話中か」「おれがでるよ」「ああぁ」「もしもし、お世話になっております……」(ソウダ、マズ多クノ人ニ集マッテモラッテ、自分達ノ動キガ始マルコトヲ認知シテモラワナイト、イクラ良クテモ知ラレナケレバ何モナラナイ、広告ガめいんノいべんとデモアルンダ、内容ハ第一ダケド、選ビスギナイヨウニ、多クノ、幅広イ層ノ客ヲ呼ブンダ、ひっぷほっぷアガリヤ、ばんど育チナンカノ細カイ出自ヨリモ、今ノ時点デドノヨウニ自分達ノ音楽ニ惹キツケラレルカダ、ソウ、今回ノいべんとノらいんなっぷハ、明確ナ方向性ノナイ身内ダケノ集マリノヨウナじゃんるガ定マラナイ内容ダケド、コレデイインダ、ココカラ始マリ、削ッタリ、加エタリ、修正シナガラ形ヲ整エテイクンダ、ソレホド実力ノナイDJデモイイ、客サエ呼ベレバ……、とんチャンナンカ、間違イナク盛リ上ガラナイ、黴臭イひっぷほっぷヲ流スハズダ、ソレデモ、アノ、同ジくるぅぅダッタ町田ノ外レノ音楽連中ハ皆来ルダロウ、相模ノ高校仲間モ同様ダ、ソイツラヲ、かにぞうサンヤ、性格ハヤヤ難ガアルトシテモ、すきるノ高イぐりむナンカデ質ノ高サヲミセテ……)「でかそうなチャリンコ回収が入ったよ」「おおおお、それはすげぇ」「いいかんじだよ、最近はこっちから営業しなくても、口コミで知って依頼してくれる業者があるよ」「たしかに、昨日もそんな業者があった」「直接の営業じゃなくてさぁ、そういう口コミで広がっていることを肌で感じるっていうのは、やっぱ心強いよ」「件数はまだ多くなくても、まったく反応なしじゃないから、すこしずつ増えていく予感がするよ」「ほんと、そうあって欲しいよ」(音楽ト違ッテ、生活ノ必要ノ、隙間ヲ見込ンダ動キダカラナ、反応ハ得ヤスイ)「今のままじゃだめだからな、やっぱ、早くみんな独立できるようなベースを作らないと」「たしかに、スピーカー回収に頼っていたら、ずっとこのままだし」「それが地道で、基本としての営業であっても、やっぱり個人客が多いし、さぼるのも見えないし、まじめに回収してくる奴からすると、不公平に思ってもしかたないしな」「全員が凄腕の回収マンというのは、無理だしね」「理想は大口の仕事が予定を埋めていくことだけど、すぐには難しいから、一本だけに絞るのも悪くないんだけど、色色なところから集めて全体としての大きな売り上げをとらないと」「まあね」「その一つの地盤としての、不動産業者からの放置自転車の回収だから」「ほんとそうだよ」(ッタク、アイツガ中途半端ニ会社ヲ作ルカラ)(昨日モ聞イタ話ダナ)(ドウシテコウナッタカ、責任感ガマルデナイカラむかつく)(営業とぉぉくノヨウニ、ツイツイ語ッテシマウノハ、ソレダケ真面目ニ考エテイル証拠ダ)(音楽事業モ、アテニハナラナイカラ、共倒レシナイヨウニ固メネェェト)(俺モ、音楽デドウニカシテ、ごみ屋ノ仕事カラ離レタトコロデ会社ノ力ニナラナイト)「そうそう、見たっしょ、このフライヤーの原本、どう思う」「んんん、まあ、悪くないんだけど、ちょっと……」「まずいよ、これ」(いべんとノいめぇぇじト全然合ッテイナイ)「いったいどういう頼みかたをすれば、こんなのができるんだ」「相手も、ちょっとな……」「昔のゴミ屋のチラシが悪くなかったからって、同じようにしたんじゃ、考えが浅すぎる」「もうすこしいいのを期待していたんだけどな」「昨日も、あからさまな防御態勢をとるように、攻撃的な口調を出してきたから」(本人モ気ヅイテイルンダロウナ)「めんどくせぇよ、説得するの」「まあ、でも、しかたないから、別を作ることにするよ」「そうしたほうがいいって、これじゃあ、誇大広告になる」「誇大というよりも、被害だよ」「被害妄想による、被害拡大」「まあまあ」「フライヤーもそうだけど、演奏はどうなの」「めちゃくちゃだけど、あれでいいんじゃない」(アレデイイノカヨ)「うまいとか、整っているとかは、そもそも求めていないから、あんなかんじを想定していたよ」「まあ、そう言うなら」「指の速さと、音量だけはいいからね」(自由ニ動キスギテ、煽リヲ入レルトコロヤ、あどりぶデらっぷスルトコロガナインダヨ)「もうすこし静かにするところも必要だけど」「そう、それ」「なによりも、チューニングしてもらうのが第一だ」「おぞましい、ドブ川のようだったから」「あれは、まともな耳をしている人は、誰でも気持ち悪くなる」「そうなると、ライブは混沌というよりも、ただの騒音になる」「それも、ひどく具合の悪くなるような」「フライヤーも演奏も、もう一度忠告しよう」「そうだね、必ず反発するだろうけど、まるで聞き入れないわけでもないから」「わがままもほどほどにしてもらわないと」。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る