第10話

 「ほんと、遅いね」(ヤッパ出ナイカ)「なにやってんだ」(マッタクドウシテ、仕事ナラ絶対遅レナイノニ)「やっぱ電話に出ないね」「集合時間も、場所もちゃんと伝えたでしょ」「ああもちろん、聞いていたっしょ」「うん、返事してたね」(アレダカラ、モウ忘レテンダヨ)「吸いすぎて、忘れてんのかなぁ」「そうだろう」「仕事帰りに淵野辺公園に寄っているから、まだそこで練習しているのかも」「前もあったしな」(マダくらりねっとヲ吹イテンジャネエノ)(練習熱心ダカラネ、マダイソウダ)「何にしろ、もう来なそうだな、電話に出ないんじゃ」「そうだね」「もういいんじゃない、今はグルーヴに任せて、最後の流れを作っていこうよ」「そうそう、あとで伝えればいいとして、ジャムしよう、なっ、ボンジーもそれでいいっしょ」「悪いね、せっかく遠くから来てもらっているのに」「でもさすがだね、音圧といい、音の鮮明さといい、迫力が申し分ない」(アア、スゲェヨ)「ボンジーがいるから、よほどのことがない限りうまくいくでしょ」「いや、マジで、超頼りになるよ、音がいいから、何を乗せても気持ちいいし、どんどん出てくるよ」(ヤッパリ土台トナル音ガアルト、違ウ)「おれも、適当にできるから超楽しいよ」「ちょっとうるさいくらいだけど」「いいじゃん、派手にやれば」「今は練習だから、わざとやってんの」「ほんとかよ」(絶対嘘ダ、適当ダロ)「そりゃそうだよ、あまり鳴らすとどぎついでしょ」「いやいや、そんなフォローいらないから」(でびゅぅぅシテイルノニ、腰ガ低クテ、ホント人ガ良サソウダ)(ソッカ、チョットウルサイノカ)(マアマア、本番デハソンナニ無理シナイダロウ)「でもこんなかんじでいいんじゃないの、時間ももったいないし、クラリネットは抜かして続けよう」「そうだね」(最後ダケシッカリスレバイイ、ぼんじぃぃガイルカラ、音ノ外レタくらりねっとモ、混沌ヲ表ス良イ効果ニナルダロウ)「じゃあ、入りは、静かさを保って」「オケェ」。

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