第8話
「これは社員だけの仕事だからな」「そんなこと言ったって、だりいもんはだりいよ」「まあ、そう言うなよ、少しやるから」「ぜってぇぇだからな」(文句言ウダケデ、ヨホドジャナキャ断ラネェカラナ)「でもさぁ、もしトンちゃんが断ったらどうすんの」「断らねえだろ、そんな面倒なことじゃねぇし」(デキル人ハイイヨナ、慣レッコデ)(相変ワラズみどるノひっぷほっぷダロウケド、アノ周辺ガ客デ来テクレルシナ)(マダDJヤッテタンダ、知ラナカッタ、スゲェナ、ヨホド暇ナンダロウナ)「たぶん引き受けるよ、賄賂も用意したし」「いつから吸うようになったんだ、そんな人に見えなかったけど」「たしかになぁ、真面目で固そうだけど……、やっぱトンちゃんも好きなんじゃねぇの」(ソリャ、好キジャナキャ吸ワネエヨ)(タシカニ、吸ウヨウニナッタノハ意外ダナ)「今じゃヘビースモーカーなんでしょ」「月に三十グラムは消費するらしいな」「すげぇな、どっから金が出んだろ」「さあな、まあ、そんなかんじだから、出演料プラスであげれば、快く引き受けてくれるだろ」「金だけじゃねぇぇ、手に入れる手間とリスクがあるから、プレゼントはいいよな」「だろぉ」(オレモモラエンノカナ、じゃんべトカ、適当ナ楽器デ叩イテリャ、デキネエコトモナイカモ)(オメエェハイツモ買ッテキテモラウダケダロ、取リニ行クコッチハ、毎回気ヲ使ウンダゼ)「にしても人使いがあれぇぇよ、自分がオファーしに行けばいいのによ」「他に仕事があるしな、カニゾウだっけ、そいつに会ってから、デビューしたって奴にも会うみたいだから、時間がないんだってよ」「ああ、そう」(ソンナ奴ラドウデモイイケド)「おれはそもそも、イベントに賛成してねぇし」「まあいいじゃねぇの、一緒にやるんだから」「やりたくねぇよ」「運命共同体だよ、社員になったんだから」「ああぁぁ、失敗したよ、バイトにしときゃよかった」「おめぇに働き口なんてねぇだろ」「いくらでもあるよ」「中卒が、偉そうに言うな」「おめぇだって、高校中退じゃねぇか」「入学はしてんだよ」「バカ学校じゃねぇか」「バカでも学校行かねぇよりずっとましだろ」「おい、今信号赤だったぞ」「マジで」「ちゃんと前見て運転してくれよ」(オオ、ヤベエヤベエ)(喋リナガラ横向クカラ、アブネェヨ)(学校ナンテ、関係ネエヨ)「そろそろ、吸わない」「ああ、そうだな」「都内と違って、ここら辺ならだいじょうぶっしょ」「そうだな、こんな山ならパーカーも検問もねぇだろ」「もう我慢できねぇよ、巻いていい」「待て待て、もう巻いてあるのが、あるぜ」「よしきたっ」「けど、吸ったからって、だんまりするなよ」「はあっ」「ちゃんと出演してもらえるように、プレゼンらしい口出しを差すんだぞ」「ああ、ああ、そういうこと、わかったわかった」(アテニナンカシテネェケド)(適当ニ相槌打ッテリャイインダロ)「おい、音消せ」「おう」「ほらよ、火はあるか」。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます