第7話
「ん、まあね」「このままいけば、自転車回収だけで、スピーカーを流しての回収はなくなりそうですね」「まあ、すぐとはいかないだろうけど、確実な依頼件数が増えれば、あとは効率良く回収すればいいだけだからな」「それなら、誰でもできそうな仕事ですね」(ちゃりんこヲ集メテ回ルダケノ、ナニモ面白味ノナイ仕事ダケドナ)「いいじゃん、うまくいきそうで」「おい、軽そうなのばかり持ってねぇで、重いの持てよ」「馬鹿じゃん、さっきから持ってるよ」(予想通リダケド、マダマダ足リネェ)「スピーカー回収だけじゃ、やっぱり安定しないですよね」「そうそう、このままじゃみんな変わらないから、早くそれぞれが自分の活動に専念できるよう、雇った人に任せられるような仕事を作っていかないと」(ソンナウマクイクカナァ、今ノママデイイヨ、ドウセ回収ニ行カネェシ)「そうですよね、みんなのやりたいことで、この会社がうまくいけば」(音楽デ事業ヲ興スナンテ、理想デシカナイトシテモ)(ミンナ夢見過ギダヨ)「それが目的の集まりだからさぁ、やっぱりただの労働じゃなくて、持ち味を活かした集合体として会社を成りたたせないと」「そうですよね」「おれは特にないんだけど」「いいんだよおめぇは、ネットで商品売ってりゃ」「それで悪くねぇけど」「ただ音楽でやっていくとなると、やっぱり難しいからなぁ、おまえみたいに目的と商売が堅実だと助かるわ」「いえいえ、バイク直すのが好きなだけで、それがみんなの助けになれば」「これ、超重てぇんだけど」(無駄ニ金ヲ吸ワレナケレバ、ベツニイイケド)「おお、待て、今手伝うから」「あっ、それ糞重いですよね、自分が回収したんですよ」「こりゃやべぇぇな」「マジかよ、これ一人で」「ええ、一人で」(イカレテルヨ、コンナノ一人デ持ツナンテ)(ヤッパ、コイツハスゲェナ、一番頼リニナルゼ)「でも、今度のイベントは、うまくいきますかね」「だいじょうぶだろ、首尾よく行動しているし、回収でさぼることはあっても、本命の仕事だから勝手に人を集めるでしょ」「そうですよね、あの人は、やけに人望が厚いから」(ごみ屋ジャアマリ使エナクテモ、ソッチデ売上ヲアゲテクレレバ)「あれじゃねぇ、やっぱり脂肪があるから」「ははは、そういう関係ですかね」(肉厚ハ、タシカナ包容力ダゾ)「まっ、だいじょうぶでしょ、地元だし、人は集まるからハコ代はまず赤にならないだろ」「無駄だって、イベントなんて、趣味でやればいいのに」「おめえだって、バンドで出る予定なんだぞ」「出ねぇぇって、ぜってぇぇ出ねぇぇから」「やっぱり出るんじゃないですか」「おまえもだから、ドラム練習しとけよ、直前に合わせるだけのジャムバンドになるから」「ええぇっ、自分もですか」(ホント、意味ネェェヨ)(全員巻キ込マネェト、一体感ガ出ネェダロ)「無理だって、ぜってぇぇ出ねぇぇから」「自分も遠慮しておきます」「強制だよ」「じゃあ事務の女性も、パートのお爺さんも出るんですか」「それはないな」「なんでよぉ、ずりぃぃって」(一緒ニ出演サセレバイイノニ)「社員じゃなくて、あの二人はパートだから」「関係ねぇって」「これは社員だけの仕事だからな」。
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