第6話

 「あっ、えっと」「ったく、どこにあんだよ」「わかった、ソファーの下だ」「そんなとこにあんのかよぉ」「ぜったいそうだって」「そんなとこねぇだろ」(落トシテ、蹴ッ飛バシタンダ)(アブネェナァ、チャント保管シロヨ)(ナンカ、ソンナヨウナ)「どう、あったか」「ちょっと待って」(ソンナトコニ、アルワケネェダロ)「あったぁ」「マジで」「ちょっと待って」(ッタク、早ク見ツケロヨ)(アノ奥ナンカ怪シイ)「はやく見つけろよ」「わかってるって」(ドウシテコンナ大切ナ物ヲ失クスノカナァ)「あっ」「おい、あったのか」「あった」「あったか」「パケを見つけた」「おおぉぉ」(ヤッパリ、思ッタ通リダ……、ンッ、コレハ)(アッタカ、ホントニアッタカ)(アレッ)「よし、早く吸おうぜ」「ちょっと待って、埃がからんでいて」「中に侵入してねぇぇか、一緒に燃やして喘息になったり、アレルギーになったら嫌だぞ」「いや、けっこう巻かれているね」「ちゃんと掃除しろよ」「してるんだけど、隙間まで手が届かなくて」(シテネェダロ、コンナクセェノニ)(アアッ良カッタ、見ツカッテ)(ヤット吸エル)「あああっ」「なにっ」「ボタンだ」「はいっ」「ネタじゃなくって、ボタンが入ってる」「はっ、なんだよそれ」「おかしいな、どうしちゃったんだろ」「どうしたもなにもねえよ、服に付いていた予備だろ」「服なんか、最近買ってないのに」「前に落として、ソファーの下に潜ってたんだろ、阿呆」「そっか、それかぁ」「はあぁ、ネタじゃねぇのかよ」(へへへ)「馬鹿じゃねぇの、死ねよ」「ごめん、違ったみたい」「違ったじゃねぇよ、はやく見つけろよ」「ははははは」(ナンダヨコイツ、頭腐ッテンジャネェノ)(マンマトハマッタ、思ッタトオリダ)「なに笑ってんだよ」(ソリャ笑ウサ)(ナニ笑ッテンダヨ、ナンニモオカシクネェヨ)「じゃぁぁん」「はっ、なんだよそのありがちな出し物」(へへへ、ヤッパリ引ッカカッタ、あどりぶノ勝チダ)(糞ッタレ)「やっぱりソファーにあったんだよね」「糞、こんな時にそんな演出いらねぇよ、それより早く吸おうぜ」「よしきた」「じゃあ崩して、すぐ巻くから」「オッケー」(ヤット吸エルヨ)(アアァァ、良カッタ)(仕事終ワリノ一服ダゾ、ココマデキテ失クシタナンテ、しゃれニナラネェェヨ)(失クシタラウルサカッタダロウナ、ケッコウ入ッテルシ)(前ニ失クシタコトガアルカラ、ツイ勘グッチマウ)「はい」「あいよ」「で、どう、カニゾウさんの他に、目立った人は呼べそうなの」「んっ」(手始メノいべんとダカラ、ソンナニ出サナクテモイイケド)「んんっ」「あまりよそから呼ばずに、地元のみんなが楽しめればいいと思うけど」(他ニイネェンダヨ、マダ)「今の時点でも、十分おもしろくなりそうじゃん」「んん」「実力ある人よりも、結束力が場を盛り上げるんだから」(ンナノハ、ワカッテンダヨ)「地元から始まるきっかけとしては、うまくいきそうじゃん」(アクマデ、地元ダケノ、身内ダケガ楽シメルぱぁぁてぃぃデシカナイケドナ)「みんな早い頃から活動しているし」「まあね、ほら」「ああ、はい、火」(ハアァァ、オツカレノ一服ハ、ヤッパタマンネェェ)(ホント、オツカレ)「ああぁぁ、超いいぃぃ」(ウマイ)「やっぱうめぇぇな」「はい」「あいよ」(ヨクヤッテルノハワカルケド……)(コノママジャ良クナインダヨ、タダノ身内贔屓ダケノ馴レ合イデ)(チョット意気込ミ過ギダッテ、気持チハワカルケド)(結局、始メガ肝心デ、ソレガコケレバ、ソコデ終ワルンダヨ)(先ヲ見据エテイルノハワカルケド……)(皆、マダヌルインダヨ、れぇぇべるノ方向性ヲ決メル、大切ナいべんとナンダカラ)(先走ッテモ、ワカラナイ人ニハツイテイケナインダッテ)「ほら」「あっ、はいはい」「まあ、悪くはならないよ、このままなら」「ん、うん」「カニゾウさんという、レーベルの柱となるアーティストを披露するには絶好の機会だし、それで地元の奴らや他の誰かが刺激を受けて、切磋琢磨して盛り上げることも考えられるから」「ん、まあね」。

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