第2話 夢で知る先祖
「首が取れる夢を3回見たら、あんた命が無いからね」と高校の時のクラスメートに脅され、2回も見てしまった私は、何とかせねばと母に、またしても聴きに行ったら、な、なんと母方のご先祖様は武家だったことがわかりました。
母が言うには「武家なんてもんは、首刈り族のようなことをしてきたわけだから、あなたに話すのはやめておこうと思っていた。」と。
「お母さん、その武者はなんて言う武士だったの?」と聞いたら「大昔、織田信長のお父さんに支える家臣で下方貞清という人だよと・・・」と、母方の姓は下方と言いました。
早速高校の時は、偶然、歴史研究部というのに入っていたので、担任の先生に、この話をしました。そしたら次の週になって、先生が物凄い勢いで教室に入ってくるなり「おい!おまえのお母さんの家系は凄い人だったぞ〜」って、先生の方が夢中になり、調べてくださいました。
話してくださるのには、当時愛知県立図書館まで行って調べたら家系図まで出てきてコピーまでしてくださいました。
戦国当時、賤ヶ岳(しずがたけ)7本槍という1番最初に突進して行った武将にいた1人だったそうで、その時の手柄から、織田信雄に気に入られ、昭和の第二次世界大戦が終わるまで、武家として受け継がれてきた家柄だったそうです。そして、さらに驚いたのが、その家系図の文章の中に、「首実験」と称して、戦争で取ってきた相手方の首を持ってきて、一旦浅い井戸のような所に入れておき、戦争が終わると、その首を並べて数えて、その取ってきた手柄を決めるということをしていたそうです。
うわぁ、教室の後ろのロッカーに並べられた首の夢が、再び浮かんできてしまいました。もしかしてその夢というのは遺伝子の記憶?なのかもと、そう納得しました。
母が産まれた頃は、家に女中さんもいて、戦争で焼ける前の家は立派な屋敷があったそうです。家の敷地内にお墓が建っていたということですので、かなり広い敷地、それも名古屋市のど真ん中にあったようです。
ですが、戦争で家の周りは火の海になり、何もかもが燃やされてしまったので、ほんの少しだけ、土の中に埋めておいた、つづらの中に写真とかは残ったそうですが、残されたものは本当に僅かなものになってしまったそうです。名古屋市上空はアメリカのB29という戦闘部隊が来て焼夷弾を打ち込んでいったそうです。
その火の海から命からがら逃げてきた家が、私が育った家でした。二軒つづきの長屋の片方の家でした。ここは母が娘の時に働いていた時の上司の家だったそうですが、戦争が始まって、奥さんをご実家に返すから空いた家を母の家族に使ってもいいように言われたので、引っ越してきた家だったのそうです。
たった二間だけの小さな家でした。トイレは外付けですし、その当時は井戸で水のやりくりはしていたようです。だから使わせてもらえて、母の家族はとても感謝したそうです。
私が産まれた時もまだトイレは汲み取り式、戦前からある家だったので、天井もうす汚れ、とても汚い感じの家でした。トイレ近くの屋根には私が産まれた頃に焼夷弾の跡がついてるくらいの家でした。
これも母独自の考え方で、母は幼い時から乳母や女中が居て育てられたけれど、普通の「民衆の生活がしたかったとか、私たちには一切昔の優雅な話しは封じていたそうです。
武家のへんなプライドを私たちに持たせたく無かったそうです。
それから数年後・・・それ以上の詳しいことがわかったのは、私と縁のあった夫が調べてくれました。母の家系の人は誰1人詳しく調べようともしなかったので、主人が調べてくれて、下方家というのは、長野県の松本城の城主小笠原という家系にまでだどりつきました。
世が世なら母は、お姫様だったという事です。
えーっと、それら先祖のことを調べたおかげなのか、3回目の首が取れる夢は見ないで済みました。
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