ミッション:彼氏のお部屋チェック

 最初のミッションで、彼氏の部屋に忍び込むことに成功した。次のミッションは、これ。


 ■ミッション:彼氏のお部屋チェック


 和くんの部屋は典型的なワンルームの洋室みたい。部屋の広さは8畳くらい? 将来半同棲みたいな生活ができる十分な広さかどうかチェックしてみたりして……


 和くんはベッドで寝ているみたい。外はまだ真っ暗だから、室内も真っ暗。ただ、ベッドに和くんが寝ているのはぼんやり見える。


 他人ひとのニオイがする。男性の家のニオイって感じ。


 ここで一応チェック!


 万が一にも「実は横に浮気相手も一緒に寝てましたー」みたいなオチはごめんだわ。


 チェックチェックチェック!


 人影は一つ。よし! 大丈夫! 寝相は……あんまり よくないみたいだけど、ま、いいか。


 部屋はいかにも男の子の部屋って感じ。ゴミ屋敷でなくてよかったけど、脱いだ服や雑誌、飲んだ後の空き缶などが床に落ちている。後で片づけて女子力をアピールするっ!


 キッチンは1畳ほど。玄関扉を開けて部屋に続く廊下がキッチンスペースを兼ねている。コンロは1口、しかも電気。火力は弱い……けど、想定の範囲内。


 冷蔵庫は小型の1ドア。ほとんど食材が入っているとは期待できない、これも想定の範囲内。よし! ダメージ受けてませんけど!?


 お部屋チェックミッション完了!



 ■ミッション:キッチンチェックと料理の準備


 さて、まずはステップを確認しよう。


 1.料理をつくる

 2.和くんを起こす

 3.一緒に朝ごはんを食べてラブラブする


 実にシンプル。シンプル・イズ・ベスト。


 料理を作るには、まずは冷蔵庫の材料をチェックしないと。


 そーっと冷蔵庫を開けると、真っ暗な廊下に静かな光が落ちた。和くんの方に光が届いていないか少し部屋を覗き込んで確認する。問題ないみたい。


 それでは……



「(冷蔵庫の中身チェーック!)」



 誰も見てないし、聞いてないけど、テンション上げていこう!


 万が一、作り置きの料理のタッパーなんてあったら他の女がいることを示している。和くんは料理ができないって言ってたし。


 ゆっくりと冷蔵庫の扉を開けて、冷蔵庫の中身は……ほとんど空! あるものは……ビールの缶2本と牛乳パック1個。男の子の部屋らしい。少し笑みがこぼれた。


 少し中身を詳しく見てみよう。


 生姜チューブ……これは空なの? 容器!? これは容器を冷やしているの⁉ 他には……牛乳パックも空! これも容器を冷やしているの⁉ 


 次、これは……台所用洗剤!? いつから!? いつから台所用洗剤は要冷蔵になったの⁉ 


 極めつけはお皿。いつから冷蔵庫は食器棚を兼ねる世界線になったの⁉


 ま、まぁいいわ。男の子だからそんなこともあるでしょう。


 たまごの一つもあったら使わせてもらおうと思って冷蔵庫を開けたけれど、めぼしいものは無かった。空の容器は後で捨てさせてもらおう。私は静かに冷蔵庫の扉を締めた。


 材料は、マイバッグを持参したからそこに全てある。


 一応、「え」を意識して、ネギが1本マイバッグから出るようにして持ってきたんだけど、よく考えたら和くん寝てるし見る人いなくね!? しかも、お料理にネギ使わないし!


 キッチン・チェック・ミッションはこんなものね。


 そして、流れるように次のミッションに移行するわ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る