エピソード03 It is SHOW TIME
民家に退避して2時間が経過した時、微かにヘリの駆動音が聞こえてきているのが分かった。
「久しぶりに、聴いたような気がする。けれど、空耳だ。もう、空を飛ぶ物は無いのだから」
ラジオを付けて、繰り返し流れる避難指示を聴きながらウトウトし始めた。しかし、ヘリの駆動音が鳴り止まない。
「空耳じゃ無いのか? じゃあ、一体・・・?」
民家の2階にあるバルコニーから顔を出すと、1機の
「
暫くすると、学校の方から銃声が聞こえて来たので壁掛け時計を見ると午後7時38分だった。
「やっぱり、戦闘になったか。 仕方ないな、まったく・・・」
残弾の少なくなったSAIGA-12Kを担ぎ、急いで民家を出て救援に向かった。
☆★☆★☆★☆
午後7時59分。探照灯がSOSのモールス信号を発している校舎の上空では、1機の
「――Damn It! (チクショウ!) なんだよ、この数は!」
「仕方ないだろ、エヴァンズ」
「Out of ammo! (弾切れ!)」
「――こっちもだ!」
「クソッ! この野郎!居すぎだろ!」
すると同時に
「おや・・・? 隊長!正門に人影だ!」
「嘘でしょ? まさか、
音無が隊員から双眼鏡を受け取り門の方を覗き見た時、俺――夏田カイトは正門でSAIGA-12Kの
☆★☆★☆★☆
俺はゆっくりと走り出して地上で大きく口を開けて落ちてくる隊員を捕食しようとしている死体共に近寄り残弾の少なくなったSAIGA-12Kの銃口を突き出して
「くたばれ、死体共!!」
即座に頭を吹き飛ばされて地面に倒れていく死体共に、俺は気が狂いそうな程にまで降伏を感じていた。
死なんて怖くない、有るのは快楽。撃てば撃つほど、動かなくなっていく死体共を見ていたら気分がハイになって行く、頭に直接アドレナリンが投与されていくみたいに。
だが、そんな快楽もSAIGA-12Kがあってこそ得られていたものだ。弾が無くなると同時に快楽が心の底に沈み恐怖が浮かんできた。でも、慌てない。コルト・パイソンがある。
「ハハハ! これでも喰らって居ろ!!」
コルト・パイソンを抜いて、近くに居た死体の頭部に
「Fucking zombie is! (クソゾンビ共!)」
そして背後に迫って来た死体の頭を、
「? なんだ?」
屋上を見ると先ほどのヘリが止まっており、白い落下防止柵の間から20式小銃を構えた女性の姿が見えた。
「あれは・・・? 誰だ?」
どこかで見覚えがある、あの金髪と巨乳はたしか・・・あっ。
しかし、久しぶりに出会った彼女の右隣にあるドアから死体共が押し寄せてきている事を知らないのだろう。だから、俺は近づいて来る死体共の間を神回避で避けながら走り、目の前に堂々と聳えるコンクリートの校舎壁をよじ登り始めた。
「What!? (なんだ!?)」
俺の奇行を見て叫んだ米海兵隊員は思わず壁を見て、「Oh my god, It is crazy! (なんて事だ、クレイジーだ!)」と称賛の声を上げた。
「はぁ・・・。 そりゃ、どうも」
落下防止柵までよじ登り終えると、音無は暫く俺を見ていたが呻き声を上げて目と鼻の先にまで迫って来ている死体にやっと気が付いて動揺していた。
「久しぶり――と、言いたいが・・・。 まぁ、この状況を切り抜けてからだ」
そう言うと俺は、コルト・パイソンを引き抜いて銃口を、口を大きく開けて俺の目の前に来た死体の額に付けて「Bye-bye, And it is SHOW TIME. (バイバイ、そしてショータイムだ)」と言って
異世界感染中 〜LAST SURVIVOR〜 @12{アイニ} @savior1of2hero
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