エピソード02 ZE・THU・BO・Uとコルト・パイソン

 午後7時30分、飲食物が見つからなかった為、安全地帯セーフゾーンからグラウンドを見つめていると地面に横たわっていた死体達が起き上がり真っ直ぐにここを目がけて集まってきた。


「今日も、死闘の始まりだな」


 SAIGA―12Kを携えて自作した有刺鉄線ゆうしてっせんを張り巡らせている防衛ラインに飛び降りて、「Came on! Let is FIGHT! (来いよ! さぁ、戦おうぜ!)」と言い引金トリガーを引いた。


 時刻は、午後7時32分。


 噛まれたら即死のデスゲームと称された夜戦が、今始まった。


☆★☆★☆★☆


 死体達との死闘デスゲームが始まって、約1時間後の午後8時32分。


 現在の状況は・・・、ZETHUBOU中!!


「おいおい、何体いるのさ!」


 死体達が仲間のしかばねを超えて無限に襲ってくる現状で、俺は残り1弾倉マガジンとなったSAIGA-12Kを死体達に向けて乱射していた。


 しかし、死体共の動きが止まらない。遂には防衛ラインを包囲され始めた。


「クソッ! 最悪だ!」


 防衛ラインを放棄して、体育館の壁をよじ登り安全地帯セーフゾーンまで撤退すると弾数が少なくなったSAIGA-12Kを壁に立てかけて腰に装備していたホルスターから4インチモデルの回転式拳銃リボルバーであるコルト・パイソンを抜いて壁をよじ登って来た死体共の顔を、俺は容赦なく撃ち抜いて行った。しかし、弾薬という物には限りがある。


 2時間も奮戦していれば、備蓄していた.357マグナム9×33ミリR弾も残り6発となった。


「クソッ、たった6発でざっと2000体を相手に――だと!? これがゲームなら、ムリゲー&クソゲーだぞ」


 立てかけてあったSAIGA-12Kを持ち出して、安全地帯セーフゾーンから出ると屋根に駆け出して校舎内に退避しようと中に続く唯一の出入り口に駆け寄ると、階段を駆け上ってくる影が見えたと同時に扉が勢いよく開いて中から体操着を着た死体が駆け上がって来た。


「おいおい、マジかよ・・・。 もうこれはオワタ状態じゃン!」


☆★☆★☆★☆


 空が白み始めた時、俺はグラウンドに大の字になっていた。


 俺は薄目で周りを見てヤツラがいない事を確かめた。


「いってて・・・」


 背中が痛い、でもゆっくりはしていられない。


 早く、別の安全地帯セーフゾーンに行かないと。


 夜になったら、襲われる。


 それでも、化け物級の聴覚と嗅覚で襲われるよな。


「とにかく、逃げ続けないと・・・」


 足を引きずりながらもなんとか立ち上がり、校門の正門を固く施錠して住宅地へと逃げ始めた。


 俺――夏田なつたカイトは、背後を振り返り動かなくなり屋根の上や防衛ライン跡で横たわっている死体共を一瞥して、「世界は、狂ってしまった・・・。多分、生き残りは俺だけだな」と呟いて近くに民家に逃げ込んだ。

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