エピソード01 SAIGA-12K
翌日、いつものようにヤツラの声が俺を目覚めさせた。
「朝から元気だな、こいつらは」
「ウアァァァァァァ・・・」
「ハァアァァァァァァ・・・」
「クゥワッ、クヮ、カ、カ・・・」
口を大きく開けて捕食しようと必死になって居るヤツラは、体育館屋根に作った要塞にたどり着けない。何故なら、
「
しかし、人間は空腹と渇きを知っている。だから、夜までに食料と渇きを癒す飲料物を探しに行かないといけない。
「ああ、クソ・・・。貯水タンクがなくなったか、最悪だ」
重い腰を上げて壁を乗り越えると、屋根に上がり「さてと、今日も――多分生き残っているのが俺だけだと思うから意味ないと思うけれど・・・SOSの光源を付けるか」と言いわざわざ広島に行きヤツラが蔓延っていた護衛艦くまのから拝借した探照灯の電源を入れてモールス信号を撃ち込み始めた。
「――・・・。ラ、レ、ラ――っと。これでよし・・・、さてさて。探しに行こうかな」
軽く伸びをしてグラウンドに向かった時、時刻は午後4時を指していた。ちなみに、日暮れは午後7時30分だ。
「・・・、4時か・・・。日が暮れるまでちょっとしか無いけれど、まぁ。何とかなるはずだ」
SAIGA-12Kを背負い護身用として常にホルスターに入れて持っている
☆★☆★☆★☆
現実世界で仮に、俺のようなリアルサバイバルゲームが始まったらどうするのだろう。電話が使えず電車やバスなどの公共交通手段や電気・水道、ガスなどの生活に必要なライフラインが寸断されたら人は生きていけないだろう。
だが、そうなっている現実世界はここにある。俺が居る世界だ。
死んだ人間が生き返ったと思えば、脳みそを求めて徘徊し始める。まるで、
「ああ、くそ。 ここも無いのか・・・」
今、飲料物を探している。でも、もう無いのかもしれない。
近所のスーパーや大型ショッピングセンターを漁ったが、「水」のミの字さえ見えない。
「いっそ、家屋を漁ってみるか・・・いや、それはそれで怖い」
中に入ってゾンビ化した住民に襲われたら、狭い家屋の中だと逃げ場がない。それに鍵がオートロック式だとそれこそTHE ENDだ。
「ははは・・・、もうゲームオーバーだな。これは」
乾いた笑い声で帰路に着くと、時計の針が午後7時25分を指していた
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