異世界感染中 〜LAST SURVIVOR〜

@12{アイニ}

第一章 現代

プロローグ 現代大感染世界

 俺は薄目で周りを見てヤツラがいない事を確かめた。


「いってて・・・」


 背中が痛い、でもゆっくりはしていられない。早く、安全地帯セーフゾーンに行かないと。夜になったら襲われる。


 それでも、化け物級の聴覚と嗅覚で襲われるよな。


「とにかく、逃げ続けないと・・・」


☆★☆★☆★☆


 俺が居るのは、どこかの校舎だ。


 なんで、こんな状況なのか?まぁ、端的に言えば某感染ゲームと同じ事だろう。


 どこかの国の研究所からゾンビウィルスが漏れ出て、僅か一週間の間に世界192ヶ国の国が崩壊したことだ。

 ん? 「なんで、お前は生き残っているのか?」って?


 まぁ、コネと運で生き残りましたとしか言えないよ。


 半分嘘で半分本当だよ?


 さてと、一人でブツブツ声を出して話していられる時間は限られているから、あんまり相手に出来ないわ。すみません・・・。


「――とにかく、腰が曲がりそうに無いし、近道用の梯子はしごは断念して体育館内から向かうか」


 痛みが背中から悲鳴を上げているが、我慢して一歩を出してゆっくりと歩き出した。


 顔を出すように太陽が校庭や校舎を照らし出し始めた頃、俺は掻き集めたスクラップから作った安全地帯セーフゾーンに到着した。


「はぁ・・・はぁ・・・。 やっと、着いた。 ――っ、いてて」


 背中に手を伸ばして容態を確かめようとした時、背中に鉄の感触があった。


「あれ・・・? なんだコレ?」


 取り出して見ると、セミオート式散弾銃のSAIGA―12Kがあった。


 なんで、銃規制の凄い日本に有って俺が持っているのか。最初は分からなかったが、徐々に思い出してきた。俺の友人に警察の特殊部隊であるSATに所属している細身で俺に対して中学から優しい性格の沖田川おきたがわ曽良そらと日系アメリカ人の母親と日本人の父親との間に生まれた巨乳美女で英語と日本語を話せるバイリンガル美女の音無おとなしフラベール秋猫あきねから護身用としてプレゼントされた物だったわ。

 確かあの日の後、秋猫の方は洋上に避難した海上自衛隊とアメリカ海軍の艦隊旗艦である改良型航空母艦1番艦アイオワに家族と共に避難したんだっけ。


 曽良は知らない、あいつはサバイバルゲームの知識で生き残っているのだろうか?

 二人とも女性で、スタイル抜群だった。それに、今の俺を見たら、なんと言うのかな?


☆★☆★☆★☆


 太陽が出て真上に来たぐらいに俺は、鮮血や混乱だけがよ残った静かな住宅街に出て食料やスクラップ、使えそうな車両などを探し始めた。


 腰に三日ほど前に薬局から盗ってきた湿布しっぷを貼り、SAIGA―12Kを構えてリュックサックを背負い軽く準備運動をしてから来たから、問題ないだろう。


「――はぁ、やっぱり補充する人が居ないと、物がもう無いな」


 コンビニを出て酒と煙草タバコ、乾電池などを入れたビニール袋を開けて中からアルコール度数の高い酒を取り出してせんを開けヤツラが苦手とする火を起こすために準備に取り掛かり始めた。


 首に掛けていたタオルに酒をかけて、ライターで火をつけて即席現代版松明の完成だ。


「さてと・・・。 ここからどうしよう?」

 しかし、悠長ゆうちょうに考えている時間がない。


 太陽を見ると、西日に成りつつあるので急いで拠点に帰ることにした。

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