第55話 神の真実は進み行くなり(1)

 あれから夏が来て、夏が去った。

 あのころ、夕方、いつまで経っても日が沈まないのではないかと思っていた。いまは、それが嘘のように早く日が沈む。

 晶菜あきなは浅い眠りから目を覚ました。時刻を確かめる。午前二時二九分。

 目が覚めたのはスマホのメッセージの着信音でだった。

 今晩はとくに多い。眠っているあいだも何度も着信があったのを聞いた。聞いて目が覚めて、すぐにまた眠りに戻った。

 また部長が何か言っているのだろう。

 もう自分には関係のないメッセージたちだ。

 それとは違う種類のメッセージが混じっているかも知れないと思って、最初はいちいち確認していたけど、ベッドに入るころにはそれもやめていた。

 高い窓に、外の街灯や、たまに通り過ぎる自動車のヘッドライトが映っている。

 ベッドから見上げる窓は雨に濡れている。

 あの日と、同じように。

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