第44話 栄光を! 栄光を! 神を讃えよ!(10)
「だから言ったじゃないかよぉ。あたしが雨乞いしたんだぜ。それなのに本番があるなんて言って練習なんかさせやがって!」
といばり散らすことができる。
カラーガードの演技をぎりぎりまで調整したけれど、練習不足で、本番できちんと演技できる可能性は低い。去年からの経験者の
そんなマーチングは見せられないと思うからこそ、向坂先輩はぎりぎりまで生徒会が一言でも「参加辞退を認める」と言ってくれることに望みをつないだのだ。でも、
あとは、雨がこのマーチングを中止してくれることだけが、向坂先輩の望みだ。
晶菜も、学校での練習には出ていないけれど、近所に住む
「
では、晶菜は、城まつりのマーチングが中止になることを願っているだろうか?
「中止はなしだよ、だって一年生ここまでがんばってるんだから」
と言った。
そうだ。
あの一年生三人は、アイドル研に連れて行かれ、ほんの数時間とはいえ、強烈なしごきを受けて英語の歌が歌えるようになった。それも、あのときの
それだけではない。上級生全員を含むカラーガード全体がごく初歩的な演技しかしないのに、この三人は、その歌を歌っているあいだだけとはいえ、体を目いっぱい動かして演技していた。
アメンという名かどうかは知らないけれど、雨を降らすのも、雨を止ますのも神様なのなら、どちらの願いにこたえてくださるだろう?
神様が、人間の熱意を喜び、
神様のためにいくら払ったかを問題にするなら、わからない。向坂先輩は、
しかし、「三人の一年生がこの程度の努力で満足しては困る」と試練を与えたいならば、神様はやっぱり雨を降らすだろう。
神様がどういう判断をするのか、晶菜にはわからない。
それなら科学で天気予報をしたほうがまだ天気の予想は立てやすい。
神様……。
神様、って?
晶菜は、おばあちゃんが毎朝毎晩お経を唱えている家に生まれた。町内会の子供会では駅前の
でも、同時に、自分で信じてきたかというと、少なくとも「信仰」と言えるところまでは信仰していないと思う。
だから、わからない。
神様って何だろう?
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