第43話 栄光を! 栄光を! 神を讃えよ!(9)
金曜日には雨はやんだ。
だから金曜日に練習ができたかというと、そうではない。
持ち運びのできない、または、できるとしてもしないほうがいい大型の楽器をトラックに積んで搬出するのが金曜日の仕事だった。
それでも、
そこで、当然、カラーガードもパート練習ぐらいはしたほうがいいのだろう。
本番に使うポンポンはトラックに積んでしまったけど、ビニール紐を切って束ねたような練習用ポンポンは使えるのだから。
ところで、
しかし、当然、カラーガードのパート練習はなかった。
だれもその唐崎仁穂子といっしょに練習なんかしたくない。
これで、
そして、金曜日、家に帰ってみると、ちょうど天気予報が
「今日の深夜から明日にかけて雷を伴う激しい雨となりそうです。梅雨末期の大豪雨となりますので、土砂災害などの大きな災害にじゅうぶんに警戒してください」
と言っているところだった。
日の長い一日がようやく真っ暗になるころに少しだけ雨が降り出した。でも、それは、服が湿るのを気にしなければ傘をささずにいられるくらいの弱い雨だった。
晶菜が寝たのは夜の一二時ごろだった。そのときにはもう少し強い降りになっていたけど、大林千鶴が上半身までずぶ濡れになっていた雨よりはずっと弱かった。
明日のマーチングは行えるのだろうか?
これより強くなれば中止だろう。
降り出したころの小雨にまで戻れば、決行されるかも知れない。
雨の勢いがこのままだと、やっぱり中止だ。
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