第10話 遥か昔のエジプトの儀式(4)
「それでは、みなさんも雨を
ネフェルティティさんが激しい踊りをストップさせて言った。
このひと……。
これだけ激しく体を動かして、息が切れていない。
この踊りだけではない。体を動かし慣れているのだろう。
「みなさん、立ち上がってください」
「あなたはこっちへ来て」
「あなたはここ」
という声が聞こえている。ネフェルティティさんがメンバーに立つ場所を指図しているらしい。晶菜の順番が来たけれど、ネフェルティティさんは
「あなたはここでいいわ」
と言うので動かなかった。
回るスポットライトが消えていて、光がほとんど入らないので、ネフェルティティさんの顔立ちはわからなかったけど、背丈が高いことはわかった。
「それでは、何をするかをお話しします。まず、わたしたちの信仰では、天は完全無欠の
ネフェルティティさんが全員のところを回って正しいかどうかチェックしているらしい。
「ああ、そう
と言われているのはだれだろう?
「はい。その形を崩すことなく、頭の上に上げてみましょう。そのまま両手を上げて」
また一人ずつチェックをする。
「はい。あなた、もうちょっと上がいいですね。はい、あなたはがんばりすぎです」
晶菜は
「はい。あ、もう少し角度をつけて、天の上から太陽が照りつける感じが。はい」
と言われた。前に向けて円を見せるようにではなく、円が自分の頭に直角になるように、という角度らしい。
「はい。次は、大地は四角ですので、いまの指を入れ替えて、左手の人差し指の先に、右手の親指が当たるように、右手の人差し指の先に左手の親指の先が当たるように。それで四角を表現しましょう。今度は円くするのではなく、できるだけ四角く」
長方形になるけど、いいのだろうか?
それに、天が円いのはいいとして、大地は「四角」なの?
ネフェルティティさんが回って確認する。
このひと、雨乞いの
そのあと、空から雨が降るイメージとして、手のひらを下に向けて上から下へと空間を
この動きを、天、雨が降る、大地、植物が伸びる、という順で、七回、その七回一セットを三回繰り返すという。
つまり、二十一回だ。
まあ、いいけど。
カラーガードとしてはいい練習だろう。
「もさもさ」の単純な動きすらまちがえる
「はい、では、準備はいいですか?」
ネフェルティティさんは、最初にいた位置で言う。晶菜は最初から動いていないので、晶菜の前だ。
ヴェールが横の視界をさえぎるので、ほかのメンバーがどうしているかはわからない。
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