第2話 雨乞い計画(2)
「知らないのかよ。雨だからアメンの神様、とか言ってるんだと思ってるだろ、おめえら!」
そういう発想があるのか。
ぜんぜん気がつかなかった。
そのアメン神のことは世界史で習った。
たしかに古代エジプトで信仰された神様で、たとえば「ツタンカーメン王」もほんとうは「トゥット・アンク・アメン」といい、その名のなかに「アメン」というこの神様の名が入っている。また、アメン神は「アンモン神」とも呼ばれ、羊のような
この教室で、椅子に座っているのは
その全員が、いまの唐崎のことばに対する反応にまた困っている。
その三人に向かって、唐崎は勝ち誇って言い続ける。
「いいか? 古代エジプトで最高に」
「さいっっこーに」と言って、強調したのか、たんにいばっただけなのか。
「信仰された神様には、アメン神とラー神があるんだぜ。ラーは王家を守護する太陽の神様だから、アメンは雨の神様に決まってるだろうが。古代エジプトは多神教だから、神様のあいだにも役割分担があるんだよ!」
どういう理屈だろう?
役割分担があるとしても、太陽の神様とペアになるなら、たとえば月の神様とか、大地の神様とかではないか?
「話、元に戻すけどさ」
郷司先輩が言う。
「出場辞退が認められないから、イベントを中止にしたくて、イベントを中止にするために雨が降ってほしくて、雨を降らせるために
「しようがねえんだよ、バカ」
唐崎が言い返す。
「バカ」とはよく言ったものだと
ここに集まっているのは、
晶菜もいちおうその幹部グループにつながっている。
ところで、いま、そのフライングバーズは、その幹部に反抗的なメンバーを大量に抱えている。
そのせいで、か、どうかは知らないが、ここでは「そのせいで」ということにしておこう。
そのせいで練習がちっとも進んでいなくて、いま現在の仕上がりは最低レベルだ。
そのフライングバーズは、毎年、
いま、その城まつり本番まで二週間を切っている。
仕上がりが最低レベルのこんな状態で出場はできない、というので、幹部たちは城まつりへの参加を辞退することを決めた。
ところが……。
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