第51話 聖者戦5:無敵騎士召喚呪文Ⅱ
ドオオオオオオオオオオオン…………!
ニャニャン式・
奴を倒すのに必要な魔力は、2,000,000。
私の魔力は240,887。まだ一桁足りないが、戦力差10倍にまで詰め寄った。
「ククさ――んっ! しっかりっ!」
マリモはすでにククの元へたどり着き、かぎ針から彼女の身体を引き抜こうとしている。
「…………」
ククはぐったりして元気がない。過呼吸のあまり、意識を失ったのだろうか?
無敵騎士ゴーレムは巨体ならではの大軌道で、ゆっくりと大剣を振り上げる。
あの大剣の一振りで我々は終了だ。地底湖にばらばらに転がるドラゴンの骨のようになってしまう。
いま、私に思いつく手は一つだけだった。
ニャニャン式・無敵騎士ゴーレムに対抗しうる、今この瞬間の最善手――。
それはニャニャンと全く同じ呪文――。
「
ドゴァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
私の背後の岩盤が爆発するように崩れ落ちる。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!
崩落を続ける岩の中から、岩を触媒に生まれ落ちた、超巨大な無敵騎士ゴーレムが姿を現した。
建物の10階にも達する、塔のような巨体。
バイザーの中に輝くのは、私の瞳と同じ、青色の魔力光。
産声代わりに大剣を握り、ゴーレムは歩み出した。
「行けええええええっ!」
私は魔道士の杖で前方のターゲットを指し示す。
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオンン!
ゴーレムは一足で地底湖に踏み込んで、大波を立てる。
ザァァァアアアアアアアアアアアアア!
「っ……!」
マリモはククに覆い被さり、押し寄せる波から守る。
ゴーレムの足は二歩目でククとマリモを追い越した。
まるで塔のような足裏が宙を行き、前方へと着地する。
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオンン!
ザバアアアアアアアアアアァァア!
またも押し寄せる大波。
私の無敵騎士ゴーレムは地を揺らし、波を引き連れながら戦いに向かった。
待ち受けるのは、バイザーの中に赤い魔力光を灯す、ニャニャンの無敵騎士ゴーレム。
二体の巨人が大剣を振り上げ、ぶつかろうとしていた。
私の無敵騎士ゴーレムは、背丈も体躯もニャニャンのゴーレムに匹敵している。ほとんど同じと言っていい。
ただ、ステータスだけが一桁少ない。
『チエリー式・
戦力:100,000
耐久:100,000』
『ニャニャン式・
戦力:1,000,000
耐久:1,000,000』
まともにぶつかったら勝つことはできない。
だが、こいつなら。
ククとマリモを救うための、
「
私は呪文を唱えながら猫の足跡を越え、地底湖に突進した。
魔力の光が走り、我々全員に7000の耐久を付与する。
『チエリーヴァニライズ
魔力:19887
耐久:7000』
『マリモ・マリメッコ
耐久:10130』
『クク・ピリカラニカ
耐久:7200』
ビュッ……! ガンッッ!
早速かぎ針が飛んできて、私は3000の耐久を失った。
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオンン……!
ズウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥン……!
ザアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァア……!!
雷鳴のような足音と、地揺れのような振動、そして嵐のような大波を起こし、無敵騎士ゴーレムたちが剣を交わす。
ギイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!
打ち合った剣から火花が飛ぶ。
飛び散る火花は炎のように水に落ち、水蒸気を発生させる。
ジュバババァァッ!
まるでそれは神々の戦のようだった。
「ククさん、ククさんッッ!」
マリモが大波にもまれながら叫んでいた。
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