【魔法×YouTuber】底辺魔道士ぼやき配信してたら、精霊のイイネで魔力が超インフレ!そして聖者になるチエリーさん【悩み解決・村落防衛・ダンジョン攻略】
第43話 告白の結果は? そして騎士ゴーレム召喚
第43話 告白の結果は? そして騎士ゴーレム召喚
「何です? サボる言い訳にわけの分からないこと言うんじゃないですよ?」
ククは上目遣いに怪しんでくる。
今後のこともあるので私はきちんと説明することにした。
「我々魔道士は、精霊さんから魔力をもらって魔法を使うんだ。それを
「ふうん……? ホントですぅ?」
ククは私の胸元の精霊石を覗き込んでる。
「では、今から始める――」
私は一呼吸置き、精霊石に手を触れながら語りかけた。
「精霊さん、お願いがある――。
私は精霊さんに認めてもらえるように、弱きものを救う修行をしている……。
しかし報酬度外視で依頼を受けてるから、さっぱり金にならなくて、私自身も生活が苦しい――。
所属ギルドも運営が下手くそで、今にも潰れそうな勢いだ――。
人助けのためにも資金が必要なんだ。
この危機を解決するために、宝探しにやって来た。
建国時代の聖者、ニャニャンの作ったダンジョンだ。
私はこの探索に挑もうとしているが、圧倒的に魔力が足りない――」
「話長いですぅ! さっさと終わらせるですよ!」
ククが落ち葉を蹴りながら口を挟んできた。
「いや、ちょっと黙っててくれ。大事なところだから」
「ホントに精霊なんかいるですか? 何も見えないですぅ~~」
びいん!
ククは私のチョーカーを引っ張った。
「おい、無茶するな! あっち行っててくれ!!」
私はククの方に顔を寄せて、チョーカーが切れないようにした。
私の瞳の中に、精霊たちのメッセージが降ってきた。
『あっち行っててくれだと? 魔力:-300』『黙ってろ、とも言ったよ? 魔力:-500』『なんか無礼だな。魔力:-700』
ククに言ったセリフに反応してるっ! しかも失礼な感じになってるゥ――!
「すっ、すまない精霊さん、今のは何でもないんだ。依頼人の女の子が割り込んできて、ちょっとおかしな感じになって――」
精霊たちに向かって弁解する。
「それは悪口ですか? あたしの悪口を言ってるですか? あたしの頭がおかしいと言ったですぅ!」
今度はククが反応した。
「あっ、いや。今のは精霊さんたちに説明しただけなんだ。決してきみのことをおかしいと言ったわけじゃ」
「嘘をつくな! 精霊の声なんか聞こえないですぅ! おまえはあたしを頭のおかしな子だって言ったですぅ!」
「そうじゃなくて! これは私の瞳だけに見える情報で!」
「くだらない小芝居をやるなですぅ! インチキ占い師の手口ですぅ! 嘘の儀式で追加料金を取ろうとしてもそうはいかないですよ!」
ホントひねくれてるなこの子!
「ククさん、落ち着いてッ!」
マリモが後ろからククを羽交い締めにして、引き離しにかかった。
ククはチョーカーを握りしめて離さないものだから、私まで一緒に引っ張られた。
「いててててててて! チョーカーが切れる!」
「あっ、すみません、チエリーさん!」
「こいつは信じられないですぅ!」
「ククさん、いい加減にして下さい! 護衛の者を信用しなくてどうするんです! そんなことでは宝は手に入りませんよ!」
「おまえまでこいつの味方をするのかっ! いくらもらったんだッ!」
「何てことを言うんです! もらうわけないでしょう! そのひねくれ心、お直しなさいッ!」
ギャー!! ギャー!! ギャー!! ギャー!! ギャー!! ギャー!! ギャー!! ギャー!! ギャー!! ギャー!!
二人は口論を始めた。
チョーカーは相変わらず握られたままなので、私は至近距離で口論を聞かされて耳が痛くなった。
瞳に光が走り、精霊のメッセージが届いた。
『話はまとまってからすること。魔力:-100』『チエリーさあ……。魔力:-300』『何か大変だね。魔力:+100』
なんとなく精霊も察してくれたらしい。
同情票もちょっとだけ入ったようだ。
しかし――。
『チエリー・ヴァニライズ
魔力:3900』
私の魔力は5700から3900へ減少した。
これ、大丈夫なのか……? 先がだいぶ不安になってきたぞ……。
「
私は呪文を詠唱した。
ゴゴン……!
地面の枯れ葉をかき分けて土人形がせり上がる。
それは土塊でできた騎士型のゴーレムだった。背丈は私よりも高く、重装備の鎧をまとった騎士そのものだった。
兜のバイザーの穴からは、眼光のように魔力の光が漏れている。
召喚に魔力は1000ほど消費した。かなりの消費だが、騎士一人分の働きくらいはしてくれるだろう。
私はたいまつに火を付け、ゴーレムに持たせた。
「さあ、行くぞ!」
ククとマリモに声をかけた。
魔力不足に悩んでいてもしょうがない。手持ちの魔力で何とかやるしかないと思った。
「まあ!」
マリモは騎士ゴーレムに感心して目を輝かせている。
「コヒュー……!」
ククは驚きのあまり、喉から変な音を出していた。
こうしてダンジョン探索が始まる――。
そしてこれは、底辺魔道士チエリーさんの最後の冒険譚となるのだった――。
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