第36話★戦うメイド!!

(マリモのイラスト)

https://kakuyomu.jp/users/fuwafuwaso/news/16817330650999666545



耐久付与呪文ディフェンス・エンチャントッ!」


 私は呪文を唱えた。魔法の光が走り抜け、物理攻撃を無効化する耐久力が身体を覆う。


『チエリー・ヴァニライズ

 耐久:200』


 ガイイィィィィン!!


 メイドのほうきは私の頭で跳ね返る。


「~~~~ッッ!?」


 メイドは驚愕の表情。金属のごとき魔法防御に動揺したようだ。


 だが気を取り直し、


 ガンッ! ガンッッ!


 メイドは踏み込み、さらに連撃を打ち込んでくる。


 しかし私は涼しい顔。


「……っ!?」 


 ガン! ガンッ! ガン! ガン! ガンッ!


 メイドは戸惑い、汗を浮かべながらほうきを振り下ろす。


 何が目的かは知らないが……。魔道士相手にほうきで戦いを挑むとは、無謀の極みと言えよう。


 私が付与した耐久は200。騎士の鎧並みの堅さだ。


 メイドのほうきなど10発打っても耐久を1削るのが精一杯というところだろう。


 このまま余裕で打たれ続け、メイドが実力差に打ちひしがれたところで、真意を聞き出すこととしよう……。




 ガンッッ!!




 私は一応、瞳の中のステータスを確認した。


『チエリー・ヴァニライズ

 耐久:110』




 おッ、おいいいいいいいッ!! 耐久90削れてんじゃん! この子めちゃくちゃ強いぞ! 私の予想の100倍強いッッ!




 ガイイィン!




『チエリー・ヴァニライズ

 耐久:100』




 危ね危ね! 一撃で10削ってやがる!


 私は心臓がバクバクしてきた。


 メイドが振り上げたほうきの柄は、鈍色の光を放っていた。


 金属……!? 何あれ、仕込みほうきなの? 


 よく見るとほうきの先の毛が取れて、凶悪な金属の塊が覗いていた。


 メイスじゃんあれ!!


 


 ガンッ!!




『チエリー・ヴァニライズ

 耐久:90』




 また10削られた!


 メイスで殴られたらそりゃこうなるわ。騎士の鎧だって穴空くわ。


 このままではいつぞやのウルミ戦のような目に遭うことは必定ッ!


「くっ……!」


 私はベルトから魔道士の杖を引き抜いて、臨戦態勢に入った。


 耐久付与呪文ディフェンス・エンチャントの重ねがけをするか、攻撃に移るか。どちらかに出ないと目覚めたら墓場だったってこともなくはない。


「……!!」


 メイドは私の反応を見て距離を取る。 


「きみ、それは危なくないかね……?」


 私は凶器攻撃を牽制した。


「大丈夫です、寸止めしますから」


「してないようだが? めちゃくちゃ打たれてるようだが?」


「私の初撃に反応出来なかった人には、寸止めします。あなたは魔法を使った――。だから遠慮なく打ちました」


「そういうことか……」


 私たちはにらみ合い、お互いの出方を探った。エプロンを着けたメイドがメイスを構える姿、なかなか絵になっていた。


「あなたはだいぶできるようですね……」


 メイドが言った。


「まあね。魔道士だからね……」


「流派はどちらで?」


「ただの国立魔法学園卒さ……」


「私はコメット幼稚園卒です……」


「幼稚園の名前ではないんだ。魔法学園だ」


「分かっています。これは隙を誘うための戯れ言――」


「なんだと?」


 ダンッ!


 メイドは踏み込みながら叫ぶ。


雑巾破壊剣ダスターバスターッッッ!!!」


 横凪に回転斬りを仕掛けてきた。


 ビュオンッッッ!!!



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