第2話
突発性魔法能力発生症。
突然、空中浮遊や空間転移といった魔法としか思えないような能力を手にする病である。
数年前に見つかった新種で、発症した例も数える程しかない。
そのため治療法は全く開発されておらず、経過観察に留まってる状態だ。
今まで発症したのが全て10代前後の少女であるためか、誰が名付けたか通称が付けられていた。
––––––"魔法少女症候群"と。
4時間目に体育をするべきではないと僕は声を大にして国に訴えたい。
あと、5時間目は昼寝に変えるべきだと思う。
幼稚園児のように昼寝をして元気いっぱい6時間目を受けたなら、それはもうしっかりとピンっと背筋を伸ばしてやる気満々に居眠りができるというものである。
だが現実というものは厳しく、やりたくもないバスケをやらされている訳だ。
「なぁなぁ、蒼生」
「ん?なに、京太」
体育館の隅に座る僕の隣に座るのは京太こと、
高身長で顔もイケメンと絵に描いたようなモテ男だ。
僕みたいな陰キャとは住む世界が違うと思うのだが、0歳からの幼馴染と長い付き合いだから仲良くしてくれている。
全く有り難いことこの上ない。
バレンタインには甘い物が嫌いなコイツの代わりにお腹いっぱいチョコレートが食べれるしね。
さて、そんな完璧超人の京太だが唯一と言っていいマイナスポイントがある。
それは。
「やっぱり柳生ちゃんの胸揺れはいいよなぁ」
ものすごい"ド変態"なことである。
まあこれぐらいなら健全な男子高校生なら普通だろう。
現にチラチラと女子の方をみる男どもも全然居る。
だが京太の普通じゃないところはここからだ。
「やっぱり柳生ちゃんのピーをピーしてピーしてみたいよなぁ。それからピーがピーでピーしているピーをピーピーピーピー」
ご覧ください。
真昼間の、それも授業中とは思えないR-18トークを。
伏せ字にしなければお茶の間どころか世界中の女の子から石投げられそうな言葉である。
実際、この
超イケメンなのにそれを地獄クラスにマイナスするそれが日川京太という男だ。
聞くに堪えないトークを続ける京太をスルーしつつ、彼が名前を上げた少女を見る。
ふわふわした茶色のボブショートの髪の可愛い少女である。
そして、京太が言うように凶悪過ぎる一部。
今もバレーボールのコートの中でプリンかゼリーかと言う程揺れに揺れまくっている。
まさに完璧少女と言った具合である。
だが、僕の視線は隣コートの方に寄せられた。
そこにはちんまい美少女がいた。
というか木下さんだ。
授業で魔法を使うのは禁止されているため、彼女は小さな体を必死に伸ばしてボールに触れている。
彼女の運動神経がなせる技なのか次から次へとボールを拾い、相手のコートへ返していく。
と、隣からの視線に気付く。
「なに?京太」
「いやぁ〜?蒼生くんはやっぱり木下ちゃんが気になるのかなってぇ〜」
「なんだそのキャラ、うぜぇ‥」
ニヤニヤと僕を見てくる京太。
だが、当然ながら僕が彼女を見ている理由は別にあった。
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