#30 透明な悪魔を追って

「誰だ?この緑波目也ってのは」


 月が昇り始めた夜、自宅に帰って早々に相模礼司はアタッシュケース内部に入っていた物を眺めていた。アタッシュケースに掛けられていた四桁の暗号。これはアタッシュケースについていた二つのキーホルダーがヒントだった。一つ目の望遠鏡と二つ目のローマ数字の『I』。これらが示すのは初めて天体観測を行った年。そう結論付けた礼司はそのアタッシュケースにその年を入れてみるとあっさりとその鍵は開いた。そして中に鍵が、事件へとつながる鍵が存在していた。


「もうちっと捻っても……いや、お前が天体観測を始めてやった年なんざ俺以外知らんかもう」


 開いたアタッシュケースの中には三冊のノートが存在していた。いずれも大学ノートでサイズはA4である。

 一冊目。見た目はボロボロで古く、一部の角は破けていた。中には敏明が学生時代にいじめやからかいを受けた生徒の内容がびっしりと書かれていた。だが途中で終わっている。

 二冊目。色あせているが最後まで書かれていた。恐らく彼が教師としてから書かれたものだろう。ノートの表紙には『問題児ノート』と書かれていた。

 三冊目。新品同様で中身はまだ書かれ始めたばかりのもの。これにも同様に問題児ノートと題が書かれていた。以上の三冊がアタッシュケースに入っていた。

 問題児ノートの内容は読んでみたところ、どうやら自分に逆らう生徒や素行不良といった生徒の所在が記されているものであった。それを見て礼司は弟のねちっこさに改めて頭を抱える。


「妙に根深い所あったけどここまでやるか普通?」


 ため息を吐きながらそれぞれのノートをパラパラとめくって確認する。その時、礼司はその中の二冊目のページの途中に赤い正方形の付箋が張られていることに気づいた。三冊目にもあったのだが付箋にはメモが走り書きで記載されていた。


「日付は……真新しいなこれ。事件の四日前か?」


 付箋には事件前日の日付。そして――


――要チェック。親を困らせてこうなった可能性あり。近いうちに訪問


「なんだ?『こうなった』ってのは……」


 頭を掻きむしりながらもうちょっと具体的に書いてくれよと思い、ノートの内容をさらに読み込む。

 首を傾げながらノートに記載されていた緑波目也という人物に関する情報を眺める。


――夢見がち、親御さんに連絡して抑え込みに成功。卒業して浪人することなく予想から少し下だが進学に成功。現実を見る事こそが大事だと理解させられているかは不明


「何考えてたんだあの馬鹿。若いうちは夢あってこそなのに」


 目を細めた。摘み取ってしまえという弟の思想に。


「現実を見るのは大事だけどよ、夢を見てからでも遅くは……」


 教育関係者ではない礼司にとってはあまり理解できなかった。


「……いやだからこそこうしたのか?」


 だが礼司は敏明が夢を見る人を恨む理由が一つだけ思い当たる。

 まだ彼らが学生だった頃のこと。敏明は教師を目指していない頃。礼司は高校一年で敏明は中学二年生。


「他には……数か月前に会った奴がいるのか」


――家が近いので訪問。暴力沙汰を起こした経験もあり、しっかりと見る


「よくまあ首を突っ込んでいくなアイツ。俺がいるとはいえ」


 久賀埼仁(クガサキ ジン)という人物の存在がノートにはあった。書かれていた内容は学校でいじめだけでなく暴力や警察沙汰になることを起こしていたらしい。それでもノートによれば卒卒業したと記載されていた。


「こいつはどうだ……?いかにもって感じではあるが」


 僅かながら犯人と思われる人物たちが礼司の前に急に数人も出て来た時、礼司は胸の鼓動を不思議と感じていた。


――やはり事故なんかじゃない。アイツが犯人であるわけがない。きっとそうだ。誰かがやったんだ


 さらには確信を抱きながら。


「しかこの手の奴はなんか前に担当したことあるようなないような……」


 頭の中で過去の出来事を漁るように思い返していたその時、部屋に着信音が響き渡る。


「なんだ?」


 電話を手に取って画面を見るとそこには高校の名前が表示されていた。


「もしもし?」


「突然すみません。水野です」


「ああ、先生ですか。こんばんは。どうしましたか?」


 電話をかけてきたのは昼間にこのアタッシュケースを引き取る際に世話になった水野先生だった。帰り際に連絡先を渡していたため向こうから電話は掛けられるようになっていた。


「ああいえ。少し気になったことがあってですね……球磨崎先生が数日くらい前にある生徒、というよりOBですね。その子の名前を挙げてまして。確か名前が――」


「……緑波目也ですか?」


「え?ああ!そうです」


 強く相槌を打って答える水野は話を続ける。


「実はその生徒に近いうちに会いに行くって言ってまして……。現状が気になるとかどうとかで」


「はあ……どんな生徒だったんです?」


「なんというか……記憶の断片の情報で申し訳ないのですが――」


 そこから水野は当時の緑波目也について話を始めた。

 生徒だったころの彼は球磨崎敏明が担任を務めるクラスの生徒の一人で成績は真ん中ほどの生徒だったという。彼と敏明の間に確執とも呼べる出来事が年明け辺りにあった。緑波は当時進路表にランクの高い大学とそのための教科を記したプリントを敏明に渡したのだがそれを敏明は突き返したのだという。理由としては成績不振であったため。その後、突き返されたプリントを彼はまた敏明の前に渡したが当時自分が学校の為に進めていた計画に気を取られていた彼はその時のストレスもあってか彼の両親に電話して止めさせたのだという。次の日、彼は震えた手で修正したプリントを渡してきたのだと。


「……それは、本当なのでしょうか?」


「私も当時の出来事を完全に覚えているわけではないのですが……あの日、緑波君の家族に電話で怒っていたのは覚えているんです」


「……そうですか。わかりました」


「ところで、なぜ緑波君の名前が?まさか――」


「いいえ。単に弟が、球磨崎先生が愚痴っていた時があったんですよ」


 苦笑いをしながら礼司は答える。

「そうですか。すみません」


「もしやその情報を教えるために?」


「ええ。まあ。当時の彼には……目也君にはもう少し味方してあげたかったと思ったんです。他に選択肢を渡していれば……なにか違う打開策はあったのではと。私が代わりに見てやればよかったのですがそういう勇気がなくて。彼、とても不満げにここを出たのを私見てたんです」


「それは……忙しいとか理由はありますよ。それに彼が、緑波君がいつまでも引きずってるとは思えませんよ」


「だといいんですけど……」


「あ、すみませんそろそろちょっと用事があるので切ります。また何かございましたら連絡ください」


「ええ。お忙しい中失礼しました」


 電話をこちらから切ると礼司はそのノートのページに書かれた情報を再度読み直す。先ほどの話を思い返しながら。


「動機としちゃあ十分だが……一度会ってみるか?敏明のやつ、緑波に会ってたって話だし。それに――」


 ページをめくる。問題児ノートと題されたそのノートの一ページをできるだけ眺めながら。


「ここまでやってたんだ。この中にいるかもしれねえんだ……!」


 必死の形相でノートのページをめくり見る。一瞬、めくる手の甲が煌めく。指輪の光だった。


(いるなら捕まえないとまた大変なことになる。そうだよな……水葉)






「え!?兄さん結婚するの!?」


「ああそうだよ」


 見開いた眼で突然の吉報に驚く球磨崎敏明の前には気だるげに熱いお茶を飲む球磨崎礼司がいた。

 二十五年以上前。町の喫茶店で球磨崎兄弟は久方振りにあって近況を話し合っていた。


「相手はどんな人?やっぱり職場の人?」


「いいや、職場の人じゃない。その人の親戚の娘さん。気が付いたら見舞いさせられてよ――」

 礼司はテーブルの上に置かれたトーストを一枚かじりながら話を続ける。


「お前、見舞いとか興味あるか?って上司に突然振られてな。で、最初は遠慮しますって断ったのさ。だけどどうしてもといわれてな……今後の為にやっといてほしいとかで。世話になってるからつい受けたんだが」

 当時、刑事にもなって間もないころにその出来事は訪れた。礼司の上司には親戚に娘がいるのだがいい年して結婚相手がいないのだという。家もそれなりに裕福で自分から選べるくらいには立派だったのだという。


「それで見合いして……兄さんが言い出したの?」


「最初に言い出したのは向こうだよ」


 ため息を吐いてコーヒーをすする。


「名前は?」


「相模水葉(さがみみずは)。年は俺とあまり変わらんよ」


「どんな人?」


「あー……じゃじゃ馬姫ってのか?ああいうの。言い出したら聞かないというか……こっちの言い分なんて何のそのな人さ」


「な……何それ?」


「知らんわ。結局受けちまったが」


 喫茶店の外の太陽の煌めきを見る。自分にそんなこと言った彼女の意見を思い出しながら。


「プロポーズは兄さんから?」


「ああ、好きって言われたのは最初向こうからだったが」


「顔良いもんね兄さんは」


「うるせぇ」


「……あれ?じゃあ受けたってことは兄さん名前変わるの?」


「ああ、しばらくしたら相模礼司になる。まあなんだ、多分そんなに今までと生活とかは変わらんはずだ」


「そういやどんな人なの?奥さん……になる人って」


 敏明のふとした疑問をぶつけた瞬間、それまで渋い顔をしていた礼司はさらに頭を抱えだす。


「いや……わからん。お転婆で猪突猛進ってのか?それで自分に正直で。俺以上に警官に向いていて……正義感が強いってのか?例えば見合いして付き合いだした頃なんだが」


 礼司は一つのエピソードを上げた。まだ付き合いだして間もないころ。

 その日、夕食を外のレストランで一緒に取った二人は帰り道の駅まで歩いて一緒だったという。街灯がついていた夜道、近くで悲鳴のような声が聞こえた。刑事である礼司はいの一番に近くまで向かうとそこには男子学生一人とそれを囲い込むように数名の学生が彼に迫っていた。所謂カツアゲであり、遠くでため息をこぼしながらその場に近づこうとした時だった。水葉がダッシュで彼の隣を走り抜けてその場に割り込んだのだ。


(アイツ何して――)


「やめなさいこんなこと!!」


 突然その場に割り込んできた謎の女性に互いに困惑するしかなかった。


「なんだテメェ?」


 割り込んだ彼女に口を先に開いたのはヤンキーだった。片手に握っていたカイザーナックルに力込めながら彼女を威嚇するも彼女はどうじなかった。


「ほら、もう帰っていいわよ」


「おいあんたそいつを勝手に返すなよ。友達なんだからさ」


「こうやって囲ってオラつくのが友達なの!?」


 不良の戯言に水葉は強い剣幕で切り返す。


「てめぇ……!」


 水葉の正論にキレた一人が殴りかかる。それを水葉は瞬時にかわし、殴りかかった腕をつかむと勢い良く投げて見せた。叩きつけられた仲間を見てぎょっとする不良たちだがすぐに一人がこのやろうと言って彼女にタックルを仕掛けようとする。


「しまっ――」


  その時、さらにタックルが襲い掛かる不良に命中した。礼司だった。


「やめねーかクソったれ」


「なんだよ今度は正義の味方気取りか!?」


「気取りじゃねーよ」


 スーツの下に忍ばせていた警察手帳を見せる。それを見た不良たちは顔を青くしてその場から逃げた。


「なんだあっけない」


 そう言ったのは水葉だった。勝ち誇ったような顔をしている彼女にやれやれとなって礼司は釘を刺すように言う。


「あのなあ……お前は女なんだからもうちょっと――」


「女だから何よ。強い方がいいじゃない」


「……はいはい」


 頭を搔きむしりながらえへんとした態度で彼女は答えた。同時に見せた笑顔に勝てる気がしないと礼司は思った。


「て、事があったのさ。他にも道探し手伝ってたり色々あったけど」


「な……中々にしたたかだね」


「だろ?」


 笑いながら当時を振り返る。今思えばアレも結婚に至る理由だったと振り返りながら。


「式はいつやるの?」


「あー…………半年後くらいか?予約とかあるし」


「そっかー。俺参加できるかな?」


「心配するな。俺たちの家庭の事情はあるだけ話したよ。気にしないってさ。俺が好きだからってよ」


「……強いね。その人」


「ああ。本当に強いよ」






 気が付けば鈍く光る指輪を眺めながら礼司は当時を振り返っていた。もういない人を思い浮かべるその表情は険しい。


「なあ水葉。俺はどんな顔してアイツらに謝った方がいい?俺は救われた人間にどうしてこうも何もしてやれずに――」


 不意に視界がゆがむ。涙が出ていた。


「俺は……なんでまた生きているんだ?どうやって死ねばいい?」


 おえつ交じりの声で死に方を模索する礼司は左手に涙をこぼし始めていた。


「つれえなあ……一人は」






 一人ってのは楽だ。もう誰にも邪魔されないから。それでいて静かで騒がしくなれる。

 誰かに邪魔されることのない人生。本当に目指していたのはただそれだけだったのかもしれない。

 でもそうはならない。絶対的な権力も力も何もなかった。あの神が眼前に降り立つその日までは。


「……あれ?」


 寝起きのぼんやりとした中でふと時計を見る。時刻はすでに朝の十二時を示していた。


「あー……もうこんな時間か」


 ゆっくりとベッドの上から降りて背伸びをすると彼はテレビを付けて洗面台に向かった。

 緑波目也は復讐を終えてからずっとこの調子。バイトにもいかずただ空っぽともいえる日々を、何もない日々をいたずらに過ごしていた。当の目的であった復讐を全て終えた彼は舞い込んできた遺産などで生活をしていた。


「流石にそろそろ動かないとあの優しい叔父さんたちにどやされそうだな」


 テレビ内の番組が告げた日付はバイトをやめてから二週間近く、最後の復讐からは一か月以上が経過していた。普通の人間なら就活もままならぬままに終えてしまった為本来なら来月からの生活費がどうとかで慌てているはずなのだが彼の場合はそうでもない。復讐をして生活を潤す。なんと歪んだことか。


「あーそれにしても……どうしたもんかなこれは」


 体の奥底からは何も感じなかった。今日も、昨日もおとといも。何にも。焦燥感もなくただ植物のように日々を過ごす彼には今の自分がいかに透明で恐ろしい存在であるという事実を突きつけられることもないため透明で悍ましい怪物という姿は映ることはない。


「さてと。今日は流石に何かして前に進もうという意思を示さないとな」


 復讐を終えてから彼の状況は一変した。まず湯島夫妻は彼が心配だと言って彼に定期的に連絡をお願いしたいと言ってきた。目也はそれに対してできるだけやりますと答えた。仕事が見つかってからは難しいかもしれませんと言いながら。


(遺産もまあ……そこまであるわけじゃないしな)


 彼の手元に残った遺産は少なくはないが一生の分があるとは言えなかった。だからこそ将来の為にある程度稼ぐ必要が、仕事に就く必要はあった。


「確かに仕事は大事。もしかしたら夢中になれるものがこの先に会ってそれでもっとお金が必要ってのもあり得そうだからな」


 テレビから流れる音声をよそに彼はキッチンへと向かった。そこには新しい家具がおかれていた。機械に取り外しができる透明な容器が付けられていて長方形の切替式ボタンが下部に三つついてる家具。というよりは家電である。


「なんで神様はこれを俺にくれたんだろうか」


 買ったのではなく貰ったもの。それも恩義ある神、メト・メセキからである。


――これどう?コーヒーメーカー。これでさ、おいしいコーヒー飲めるんですって。もしよかったら貰ってくれないかしら?今度来た時に飲ませて頂戴な


 これを貰うときの神様の言葉。その言葉の内容もあってか目也はコーヒー作りが日課になっていた。


「まああのお方の考えなんて眷属である俺には理解しえないのだろうけどな」


 近くに置いてあったコーヒー豆と水道からの水を機械にセットしてボタンを押す。


「……次の仕事どうするかなあ」


 コーヒーができるまでの間、そんなことを考えていた。


「それでどうするかな。その後。結婚はしないとして」


 その後のことも考えていた。


「……どうやって死ぬのかな、俺。やっぱり病気かな」


 最期までのことも考えていた。暗い顔で。


(神様によれば俺も……魔人でも寿命を迎えれば死ぬって言ってたけど――)


 首を傾げながら機械から立ち込める煙をにこやかに見ていた。


「まあいっか。そこまではまだ遠いし」


 自身の最期について棚に上げて出来上がったコーヒーを飲もうとカップにそれを注ぎ、砂糖を小さじ半分に入れて飲み始める。


「うーん……この豆も悪くないな」


 入れていたアメリカンの豆からできたコーヒーの味を吟味しながら彼は突然に笑みを浮かべた。


「ああ、いいもんだなあ本当によぉ……!」


 とてもとても邪悪な笑みを。


――とっても良いもんだなぁ。こうして復讐を終えて……スッとして生きていく。何かを成そうとした人間とその仲間を蹂躙して殺害して生きる日々。言うなれば奴らの棺桶の上で堕落して生きる日々。俺は最期までこうして『ただ単に生きていく』。あの世があるなら奴らは自分たちが何もできずに死んだその様と比較して相当悔しがるだろう。何もできなかった自分たちと俺を比較して。それで終いにはよぼよぼになった俺を見てさらに憤慨するだろうなぁ。そして怒りのままをぶつけるだろうがその時はあの世だから俺にはどうってこたぁねぇ。あの時のように邪魔して笑ったアイツのように俺はただげらげら笑ってやればいいのさ!


 堕落した日々を殺した連中を思い浮かべながら過ごす。その形の復讐を成している今に対してゲラゲラと笑いながらコーヒーを飲み干す。そうしているとふと空腹感に襲われた。


「あ、そういえばまだ飯がまだだったな」


 食事を取ろうとして着替えを済ませるとコーヒーの残りを神様についでに貰ったタンブラーという容器に入れる。それをカバンにしまい込むと部屋のコート掛けに掛けられていた銀の懐中時計を取り出す。時計を開くと相変わらず時計は正確に時を刻んでいた。


(戻らないから大きく進む。それが常識だろあの馬鹿教師はそれがわかってないから惨めな死にざま晒したんだよ)


 怨敵の末路を思い返しながらそれを上着のポケットにしまい込むとそのまま外に出る。


「朝食……というよりブランチか?」


 アパート外の道路に出る。偶々なのか、正午なのかこの寒い日々の中でまだ暖かい方だった。


「ああ、すみません」


「はい?」


 突如、アパートの近くで目也は声を掛けられる。目也の瞳に映ったのは初老で髪はまだ黒く、スーツの上からコートを着た男性。


「ちょっとよろしいでしょうか?ここに緑波さんという方がいると聞いたのですが」


「え?ああ、自分ですが……何か?」


「すみません。私、刑事の相模と申します」


 相模と名乗ったその男はコートのポケットから警察手帳を目也に見せた。その顔はにこやかで対照的に目也は嫌そうな顔をしていた。


(なに……!?何故――)


 緑波目也はぎょっとした。何故刑事がここにいるのかと。温かみのあった外に突如寒気が走り出した。

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