第113話 #liVeKROneクリスマスパーティ①

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liVeKROne【公式】@liVeKROne_official

今夜は20時から1日遅れのクリスマスパーティ!

#黒惟まお #リーゼ・クラウゼ 両名によるライブ配信を行います☆

歌あり企画ありのパーティで一緒に盛り上がりましょう!

感想は #liVeKROneクリスマスパーティ で!


▼待機所はこちら▼

vtu.be/HlrJroe2

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「まーおさまっ!」

「なあに?」

「ふふっ……呼んでみただけです」


 モーションキャプチャースーツに身を包みカメラの前に立ち、いくつも並んだモニターのひとつで自身の姿を確認していると横合いから弾んだ声で呼びかけられそちらへと顔を向ける。その視線の先には同じような出で立ちで嬉しくてたまらないといった表情を浮かべているリーゼが居て、チラチラとモニターに映る黒惟まおとリーゼ・クラウゼの姿を横目に見ては悪戯っ子のように笑みを向けてくる。


 今日はお互いのクリスマス配信も無事に終わったということでliVeKROneのクリスマスミニライブ配信の日。3Dお披露目配信はそれぞれやりたい事がありすぎたため共演を見送ることにしたがこのクリスマスミニライブ配信でようやく初めての3D共演が叶うのだ。そのこともあってか、リハーサルからここまでずっとリーゼは時折私の名前を呼んでは嬉しそうに笑みを浮かべ、モニターに映る二人の姿を眺めるということを繰り返している。


「もう、……今日何回目?」

「まお様はこれまで何回呼吸したか覚えていますか?」

「そんな某吸血鬼じゃあるまいし……」


 というか、悪戯に私の名を呼ぶ事と生命維持に絶対必要な呼吸という行為を同列に並べていいものなのだろうか……。そう思いつつも、私達のやりとりはしっかりとカメラで撮影されているようで「カメラの前では七回目ですよー」というスタッフの声が少し離れたところから聞こえてくる。


 これ絶対あとでオフショットとか言って公式にアップされるんだろうなぁ……。


 これまでだってお披露目配信のリハーサルの様子がお披露目後ちょくちょく公式SNSアカウントによって公開されていたり、ちょっとしたNGシーンも晒されてしまっているのだ。まぁ無論、公開前には確認の連絡は来るしそれを断るほど野暮でもないのだが。


「ほーら、最終確認するよ?今日は結構長丁場なんだから」

「はーい」


 浮かれっぱなしのリーゼの肩に手を置いてそれぞれの立ち位置に戻るように促せば、軽やかな足取りで持ち場へと戻っていく彼女。今日の配信はすべてがリアルタイムであり、収録済みのものを流してその間に休憩……なんてことは出来ないのだ。当然、リハーサルにかかる時間もそれ相応に長い。


 ほんと元気なんだから……。


 そんな長時間のリハーサルにも関わらず、当のリーゼといえばいつも以上にテンション高く元気いっぱいである。時折見せるそんなキャラクターだったろうか?と首を傾げたくなるような言動からは共通の友人である桜龍おうりゅうサクラ子の影響が見え隠れしているような気がしてならない。


 ただ、まぁ……。あれは私に心配させまいと振舞ってくれているんだろうなとは薄々感づいてはいる。無論初めての3D共演という共に待ち望んでいた事への期待感というものもあるだろうが、私が3Dお披露目配信で起こしてしまったあの騒動は未だに心の奥底で尾を引いているのだ。


 もし、また私が気を失うような事態に陥ってしまったら……。


 そんな不安はどうしたって拭い切れていない。またもう一人の黒惟まおがなんとかしてくれるかもと考えるのはあまりに楽天的すぎるし、あの性格の悪そうな彼女わたしの事だ「前回は配信を無事終えることを言葉尻でも請け負ってしまったから仕方なく出張ってやったのだ」とかなんとか言い出しかねない。


「では、最後に後半流していきまーす」


 スタッフからの掛け声を合図に、陥りかけていた思考の底から意識を引き上げちらりとスタンバイしているリーゼへと視線を向ける。今回は前回と違って色々と対策済みであるし、何よりすべての事情を知っている彼女がすぐそばに居てくれる。


 まぁそう言うとなんとも他力本願で情けなくなってしまうが……。私の視線に気付いたらしい彼女がこちらに向けてくれる笑顔を見れば、そんな思いも……不安も消し飛ばしてくれるのだ。


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【#liVeKROneクリスマスパーティ】1日遅れ?クリスマスはこれからだ!!【黒惟まお/リーゼ・クラウゼ】


 :待機ー

 :今日もクリスマスだ、いいね?

 :延長戦だー!!

 :とうとうまお様とリーゼちゃんが3D共演か

 :楽しみすぎる

 :公式があげたリハ動画てぇてぇすぎる

 :ライブと企画って何するんやろ


「はぁ……今年はサンタさん来てくれないのでしょうか……」


 :お?

 :きちゃ!

 :なんか始まった

 :リーゼちゃん?


「liVeKROne所属の魔王見習いVtuberとしてデビューしてもう三か月……とってもいい子にしていたはずなんですが……」


 :もう三か月かぁ

 :あっという間やったな

 :これってもしや

 :なんかこの展開聞き覚えがあるぞ


「はぁ……今年もなんとかクリスマスを乗り切ることが出来たか……まったく、人手不足だと言っているのに増員はされないし割り当てはそのままだしで上は何を考えてるんだ……」


 :なんかいきなり世知辛い話しはじめたぞ

 :あっまおサンタだ

 :やっぱりこれって……

 :ドブラックやんけ


「えっ!?確認ミスでとある女の子にプレゼントが届いてない……?いや……それはうちの部署の担当じゃ……。わかりましたよ……いきますよ」


 :人手不足によるミス……うっ頭が……

 :あるある

 :まお様こういう貧乏くじ引くの得意そう

 :残業……終電……うっ頭が……

 :俺たちは何を見せられてるんだ


「ここがその女の子の家か……って、しまった肝心のプレゼント引継ぎされてないじゃないか……」


 :プレゼント引継ぎミスしないでもろて

 :プレゼントって引継ぎされるもんなんだな

 :手ぶらはまずいですよ

 :この会社?ダメそうですね……


「その美しい声はサンタさん!?来てくれたんですね!」

「あっ、いや……我は、通りすがりの魔王だ」

「そんな立派な帽子をかぶっているのに?」

「これは……そう。クリスマスパーティの帰りなのだ」

「クリスマスは昨日だったのに?」


 :草

 :魔王はそんな通りがからない

 :メメタァ……

 :前提覆さないでもろて


「ぐっ……、ならば仕方あるまい……娘よ、我がサンタの代わりに望むものをくれてやろう」


 :唐突な魔王ムーブ草

 :サンタどこいった

 :世界の半分くれそう

 :そんなんリーゼちゃんに聞いたら……


「まお様ください」

「えっ」

「黒惟まお様をください」


 :知ってた

 :知ってた

 :そうだと思ってた


『こうして魔王見習いの娘とブラックサンタバイトの魔王は末永く幸せに暮らしましたとさ』


 :イイハナシダナー

 :バイトだったのかよ

 :バイトなのに残業……

 :お幸せに!

 :おめでとう!


「黒惟まおと……」

「リーゼ・クラウゼの・クラウゼの」

「「liVeKROneクリスマスパーティ!!」」


 :いえーい!!

 :この流れラジオクローネじゃねーか!!

 :俺たちが見せられてたのはラジオクローネ3Dだった……?

 :実質ラジオクローネ


 ここまで寸劇をやりきってようやく待機中から表示されていたクリスマスパーティの待機絵から黒惟まおとリーゼ・クラウゼが並び立つ玉座の間へと配信画面が切り替わる。


「いや、我らの3D初共演がこんなスタートでほんとに良かったのか?」

「3Dお披露目配信なんかがあって、前回のラジオクローネから随分間が空いてしまってしましたし。ラジオクローネ劇場にも大量のクリスマスネタが届いていたので……3D共演に関してもラジオクローネ3D版をという声も多かったみたいですよ?」


 :それはそう

 :ラジオクローネ3Dは確かに見てみたい

 :公録みたいな感じならいけるか

 :今度ちゃんとしてもろて


「それはまぁ、後々検討するとして……。まずは挨拶をしなければなるまい、初めて我らの姿を見ている者もいるかもしれないからな」

「そうですね!ではまお様からどうぞっ」

「今宵は我らのクリスマスパーティに付き合ってもらうぞ。liVeKROne所属の魔王黒惟まおだ」

「おなじくliVeKROne所属の魔王見習いリーゼ・クラウゼと申します。皆様メリークリスマス!」


 :メリクリー!

 :1日遅れでメリクリー!

 :きゃーまお様ー!!

 :こんまお!

 :はじまリーゼ!!


「こんまお。まぁあんな始まり方をしたが、我とリーゼ二人が3Dで共演するのはこれが初めての事だな。どうだ?感想は」

「はじまリーゼ~。それはもう感動で打ち震えています!!やっと!!まお様とこの魔王城に降り立つことが出来たのです!!本当に夢のようで……最高のクリスマスプレゼントです!!まお様はいかがですか?」


 :義務こんまお助かる

 :とってつけたような挨拶助かる

 :おめでとう!!

 :ずっと待ち望んでた

 :リーゼちゃんおめでとう~

 :お幸せに~


 まるで舞台女優かのように全身を使って喜びを表現しつつ本当に身体をプルプルと揺らしているリーゼ、だが果たしてそこまで配信上でわかるかは微妙なところだ。それでも、その様子は誰が見たって祝福してあげたくなるようで流れるコメントはどれも暖かい言葉ばかりだ。


「我にとっても念願の3Dだからな。一人ならまだしも同期として誰かが隣にいるというのはとても不思議な感じだよ、もし一年前の我がこの状況を見たらどんなに驚くことか」


 :たしかに

 :去年のクリスマスも大変だったけどw

 :もうあれから1年かぁ

 :わんちゃん3Dはあるかなぁと思ってた

 :企業所属からの3Dは読めなかった


 たしか去年のクリスマスは普通に平日であったし、その前後も特にお休みという訳でもなかったのでささやかにリスナーたちと祝った記憶があるが……。いや、急遽どうしても外せない残業が入ってしまってクリスマス中に仕事を終えてから帰宅して配信開始できるかどうかという奇妙なチキンレースが開催されたんだったな……。


 ちなみに結果は終電逃してタクシーまで使ったのに間に合わなかった……。


「たしか、クリスマス帰宅RTAしてましたね!!」


 :なつかしいなぁ

 :なにそれw

 :タクシーの中でSNS実況してたやーつw

 :結局間に合わなかったんだよなぁw

 :再走はよ

 :当然のごとく見てたのかリーゼちゃん


 恐るべし古参リスナーである。

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