第78話 天使と振り返り①
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黒惟まお@liVeKROne/20日21時から3Dお披露目!さんがリツイート
今回特別にディレクターズ・カット版をお届けします!
聞き逃した方も一度聞かれた方も何度でも聞いてください!
#SERAPHIMラジオ
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黒惟まお@liVeKROne/20日21時から3Dお披露目!@Kuroi_mao
我が出演した #SERAPHIMラジオ のアーカイブが公開されたので
今夜、特別ゲストに天使沙夜を招いて一緒に聞きながらラジオを振り返ろうと思う
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『天使ちゃんコラボきたー!!』
『まじか!?』
『ディレクターズ・カット?』
『配信まで聞くの我慢するか迷う』
3Dお披露目配信の準備に追われる中、聞いていたとおりにゲスト出演したSERAPHIMラジオのアーカイブ公開がされたようだ。それに合わせて、計画していた企画の告知をSNSで行う。
もともと一人で行うつもりであったラジオの同時視聴企画であったが、先方から尺の関係上カットせざるを得なかった部分を追加したディレクターズ・カット版公開の確認と共に企画への参加が打診されたのだ。
許可をもらっていたので企画については先方の知るところであったとは思うがまさか打診が来るとは思っても見なかった。
◇
「へぇ、こんな風になってんだ」
「そういえばこうなってからは初めてだっけ」
配信部屋で興味深そうに機材たちを眺める天使沙夜ことつかさ。それこそ私が黒惟まおになる前はよく部屋に遊びに来ていたし、天使ちゃんの宅録を行っていたので録音機材たちには見覚えがあるだろうが、配信機材に関しては初見のはずだ。
「それにしても相変わらずそっち方面はまったくなのね」
「昔から詳しいやつがすぐそばにいてくれたからな」
そう言いつつニヤリと笑って見せるつかさは昔からこういった機材や動画投稿といったことにあまり興味を示したことがなかった。だからこそ天使ちゃんの歌動画は魔王チャンネルで投稿していたし収録も動画編集もすべて私の手によるものだ。
そして、今日のコラボ配信のために私の部屋につかさが訪れているのもそういった事情から。別につかさは声だけの出演だし、何か適当な立ち絵を出して通話ソフトを使ってのコラボにしようと思っていたのだが、当の本人はスマートフォンで参加しようとしていたと聞いて急遽呼び出したのだ。
たしかに普段会話する程度ならそれでもいいかもしれないが流石に配信に載せるには音質が悪すぎる。せめてパソコンにコンデンサマイクとまでは言わないが適当なマイクを繋いで……と色々考えてみたが、なんとマイクを持っていないという。たしかに思い返してみればつかさとの通話はいつもスマートフォン音質であったのだ。
「それで普段はどうやって配信してるんだ?」
「ええと、とりあえずここに座ってくれる?」
つかさを普段配信で使っている椅子に座らせて配信ソフトを立ち上げる。
「おお!黒惟まおだ!」
画面に現れた黒惟まおの姿に驚いたような声を上げるつかさだが、その動きに合わせて画面の黒惟まおも驚いたような表情になる。それを見たつかさは頭を左右に振ったり口をパクパクしてみたりして実に楽しそうに黒惟まおを動かしている。その様子は初めて私が体験した時のようでなんとも微笑ましい。
「楽しいでしょ?」
「楽しいけどなんか不思議な気分だな、なんつーかあたしがあたしじゃないっていうのは」
うーんと不思議そうに首を傾げるつかさであったが、同じように首を傾げる黒惟まおを見て私も同じ感想を抱いている。
「それじゃ本番は
「それじゃ話しづらいでしょ?配信は向こうで二人並んでやる予定だから」
────
【同時視聴】SERAPHIMラジオを天使と共に【黒惟まお/liVeKROne・天使沙夜】
:待機
:こんばんは!
:楽しみすぎる
:先に聞いてきたけどめっちゃ追加されたぞ
:同時視聴って初めてー
「今宵は魔王と天使に付き合ってもらうぞ、liVeKROneの魔王黒惟まおだ」
:こんまおー!
:まお様ー!!
:こんばんわ~
:はじまった!
「こんまお。SNSでも告知した通りゲスト出演したSERAPHIMラジオのアーカイブが公開になったので約束通り同時視聴をしようと思う。そして、今日は素敵なゲストが来てくれたようだ」
「こんまおー!天使沙夜でーす、まおのリスナーさんお邪魔しまーす」
:沙夜様こんまおー!
:天使ちゃんこんまおー
:こんまおー
:その挨拶気に入ってるよねw
:SERAPHIM買ったよー
つかさが挨拶すると共に黒惟まおの隣にデフォルメされた天使沙夜のミニキャラ立ち絵を登場させる。それは過去に私がデザインしたものが元になっているもので今となっては各種グッズにスタンプとなかなかの人気っぷりであるらしい。
「まずはSERAPHIM発売おめでとう、かなり売れ行きもいいと聞いているが」
「沢山の人に聞いてもらってるみたいでほんと嬉しいよ。まおもかなり宣伝してくれてたろ?ゲストにも来てくれたし」
「ゲストに呼ばれたからには少しくらい貢献しなくてはな、それに沙夜きっかけで配信に来てくれる者もいてこちらこそありがたいよ」
:アルバム一位おめでとう!!
:ラジオでまお様にハマりました!
:沙夜呼びになってる!?
「ん?あぁ沙夜呼びになってるってよく気付くなぁ」
「あぁたしかその下りは放送では流れていなかったからな、たぶんアーカイブには使われているんじゃないか?」
たしかに呼び名の件についてはカットされていたしリスナーからすれば突然のように聞こえたのだろう、ディレクターズ・カット版はほとんどノーカットだと聞いているので同時視聴でその経緯については明かされるだろう。
「ではそろそろ同時視聴を始めようか、この配信ではラジオの音声は流れないので各自で再生の準備をしておいてくれ。こちらで聞いている時間はタイマーで表示するのでそれに合わせてもらえば大丈夫なはずだ」
:準備OK!
:タイマーうまくできるかな?
:はーい
:いつでもOK!
「ではタイマーを少し進めて……開始の合図をするのでそこで合わせるかタイマーを目安にスタートしてほしい、合図は沙夜にやってもらおうか」
「せーのっでいいか?」
:再生押しちゃった
:フェイントやめてもろて
:スタートかと思ったw
うっかり私もせーので再生ボタンを押すところだった。
「フェイントはやめてもらってもいいか?」
「いや、そんなつもりはなかったんだけど」
「せーので押すからな?頼んだぞ?」
「おっけー、じゃあ。せーのっ……って言ったら押すんだぞみんな」
:ふざけんなwww
:今のはわざとだろwww
:完全にフェイントで草
「……沙夜?」
「悪い悪い、つい。な?」
:これはまお様もひっかかったな
:草
:沙夜さまお茶目すぎる
今度こそ完全に騙されて再生ボタンを押してしまったので再生バーを元に戻しながら悪戯な笑みを浮かべるつかさを睨み付ける。そんな私を見てからからと笑う彼女は昔からそういう奴なのだ。
「次やったら我が合図するからな?」
「次はちゃんとやるって。それじゃ、いくぞ?せーのっ」
『天使沙夜のSERAPHIMラジオ、このラジオはあたし天使沙夜の新アルバムSERAPHIMの発売を記念した四週連続のラジオ番組です……』
今度こそ合図に合わせて再生ボタンを押すことができた。そして動画の再生時間があらかじめ進めておいたタイマーに追いついたところでタイマーも再度動かし始める。
「よし、これでいいな。あとはお互いこれを聞きながら好きに話していこうと思うが」
「こういう同時視聴?っていうのやるの初めてなんだけど、まおはやったことあるのか?」
「メンバー限定の配信では映画の同時視聴をしたり時々やっているな」
「メンバー限定?」
「メンバー限定というのは……って今ここで説明するものでもないからそういうものがあるとでも思っていてくれ」
:メン限同時視聴はいいぞ
:メンバー限定配信はいいぞ
:メン限まお様はいつもよりポンコツだったりフランクでいいぞ
:メン限晩酌を一生待ってる
そういえば最近は配信自体の数が多くなったせいでメンバー限定配信の比率が結果的に下がってしまっているなと思い至る。もう少しメンバー限定コンテンツを充実させたほうが……と考えかけたところで今日の配信で考えることではないなと話を打ち切る。
「へぇ、いやーなんかこうやって改めて聞くとなんか恥ずかしいな」
「放送も聞いたんだろう?」
「放送は一人で聞いてたからさ、こうやってまおと沢山のリスナーさんと一緒に聞くっていうのはなんか恥ずい」
:なるほどなぁ
:沙夜さまかわいい
:大勢の前で歌ってるのにそういうもんなんだ
「回を増すごとに喋り慣れていたし実際沙夜はパーソナリティ向いていると思うぞ」
「まおにそう言ってもらえるのは嬉しいけどさ、さすがにまおの方が向いてるだろ」
「そんなことはないさ。たしかに配信で喋ること自体には慣れているが我だってコメントあってこそだよ。すぐに反応が確認できるし話題もそこから選ぶことができるからな」
:あーたしかに
:一人喋りはまた違うもんな
:俺たちのおかげってこと!?
:まおはワシが育てた
「逆にあたしからしたらこんなに早いコメント欄からよくコメントを拾えるなって思うよ、しかもゲームとかしながらだろ?」
「なんというかやっていれば慣れるものさ」
「そういうもんかねぇ」
:それは思う
:ゲームしながらはコメント見れないわ
:壺RTAしながらコメント読んだりするからな……
よく言われることだがゲームをしながらでもコメントは案外見れるものだ、さすがに集中するような場面では難しいが……。とラジオはオープニングのSERAPHIMが流れ終わり、黒惟まおが登場する。
『liVeKROne所属のVtuberでヴァーチャル魔王の黒惟まおだ』
:まお様きちゃ!!
:きゃーまお様ー!!
:こんまおー!
「この時の挨拶いつもと違ったよな?こんまおも言わなかったし」
「沙夜のラジオだし多少は遠慮するさ、いくら最近話題にあがるようになったとはいえVtuberを知らないと言うものも多いだろう?」
「あーだからVtuberについての説明とか追加して欲しいって言ってたんだな?」
:よそ行き魔王様
:まお様で初めてVtuber見ました
:天使ちゃんのファンならまだ知ってる方だと思う
たしかに天使沙夜のルーツを知るような昔からのファンだったり、そういったインターネット文化に精通しているものならVtuberについて詳しくはなくても聞いたことはある程度ならば沢山いるだろう。しかし、天使沙夜の人気が高まるにつれて若いファン層だったりはインターネット文化に触れてこなかった者も多く今回のラジオをきっかけにVtuberというものを知ったというものも多いはずだ。
「ラジオをきっかけに少しでもVtuberというものを知ってもらいたいと思っていたからな。まだまだ発展途上だがこれからもっと盛り上がる……盛り上げていきたいと思っている」
「そこで自分だけじゃなくてVtuberを盛り上げたいって言うあたり、流石だなって思うよ」
:さすが魔王様!
:ほんと界隈好きだよなまお様
:さすがVtuberファン
姿かたちにとらわれずなりたい自分になれるという夢のようなコンテンツという意味で、Vtuberという文化はとても優れているしこれからもっと伸びていくと信じている。そんなありように自身の夢を叶えてもらった一人として、私を勇気づけてくれた先達のためにも少しでも貢献というのは大げさかもしれないが一助になれればとはいつも思っているのだ。
「そんな大したものではないさ、今回の共演について色々反響があったと思うが沙夜はどうだった?」
「いや、ほんと驚くくらいまおをゲストに呼んだことをファンのみんなが喜んでくれてさ。もっとはやく色々なことに誘えば良かったと思ったよ」
「まさかこんなに歓迎されるとは我も思ってなかったよ、リスナーやファンには随分やきもきさせていたのだなと気付かされた」
:ずっと待ってたからな
:全員空気読みしてたからな
:こうやってコラボできるようになって本当に嬉しい
:同窓会みたいなもんだからな
:これからは気軽にコラボしてもろて
『いやーあのケーキ美味しかったからなぁ、アルバム記念に今度作ってもらおうかな』
「そうだケーキ!今日コラボするからって思い出のケーキ焼いてくれたんだよな」
「それは沙夜があれから事あるごとに言ってきたからだろ……」
:まお様のケーキ!?
:いいなぁ
:てかオフコラボだったのか
:食べたい
:美味しかった?
「ちゃんと写真撮ってるからあとでSNSにアップするよ、いやー久しぶりにまおの手作りケーキ食べたけど絶対腕上げてるだろ?めっちゃ美味しかったし見た目もたぶんお店にあってもおかしくないぜ?」
「それは言い過ぎだと思うが……昔に比べてキッチンも道具も良くなってるからなそのおかげだと思うぞ」
:そんなにか
:写真楽しみ
:どんなケーキなんだろう
ラジオをきっかけに大きく注目を浴び、それが様々な案件だったり視聴者や登録者数の増加に一役買っているのは間違いないのだ。仕方なく……といった態度を装ってはいるがそういったきっかけをくれたつかさには感謝しているし、ケーキのひとつやふたつくらい焼くのはお安い御用。それにとても美味しそうに幸せそうに食べてくれるので作りがいもあるというものだ。
『なんと今回、サインする色紙はお二人からすれば馴染みのある先生の描き下ろしイラストの複製色紙です!』
「このサプライズはやられたって感じだったよな。ほんとに一切知らされてなかったんだぜ?」
「これで二周年の時にサプライズされた我の気持ちが少しはわかっただろう?静のしてやったりという表情が目に浮かんだよ」
:ほんとこれは驚いた
:この三人組が揃うのはほんと運命
:いつか三人でコラボ配信してほしい
ちらりと配信部屋に飾ってあるこの時の色紙に目を向けその色紙にイラストとサインを描いた人物の顔を思い浮かべる。きっとつかさも同じだったのだろう視線が交差し自然と笑い合ってしまう。
「これでやられてないのが静だけだろ?今度二人でサプライズしかけてやろうぜ?」
「きっとこの配信も見てるかあとで見るだろうからここで言ってしまったら意味ないと思うぞ」
:それはそう
:絶対見てる
:普通にSNSで拡散してたし
SILENT✓:楽しみだなー
:草
:やっぱり見てるやんけw
:SILENT先生もよう見とる
:マッマもよう見とる
:三人揃ったやん!
だから言わんこっちゃない……。
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