第77話 体験会
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黒惟まお@liVeKROne/20日21時から3Dお披露目!さんがリツイート
liVeKROne【公式】@liVeKROne_official
◆お知らせ◆
#リーゼ・クラウゼ #黒惟まお 3Dお披露目配信が
12月19日より2日連続で実施決定!
さらに配信当日には嬉しいお知らせも!?ぜひお楽しみに!
▼詳細はこちら▼
pr.release.jp/main/html/rb/p...
#liVeKROne
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プロダクション「liVeKROne(ライブクローネ)」3Dお披露目配信が決定
株式会社Connect2Linksはこの度Vtuberプロダクション「liVeKROne(ライブクローネ)」の所属タレント2名の3Dモデルお披露目配信を実施いたします。お披露目については、12月19日、12月20日の2日間、それぞれ本人のチャンネルにて順次実施いたします。
本3Dお披露目配信では、「liVeKROne(ライブクローネ)」所属の2人が3Dの身体を惜しみなく活かして、視聴者の皆様に素敵なパフォーマンスをお届けいたします。
この機会にぜひ、ご視聴・ご声援くださいませ。
・スケジュール
<リーゼ・クラウゼ 3Dお披露目配信 概要>
■配信時間:12月19日 21:00~
■配信Ch:Liese.ch リーゼ・クラウゼ
<黒惟まお 3Dお披露目配信 概要>
■配信時間:12月20日 21:00~
■配信Ch:【黒惟まお/魔王様ch】
※各タレントのスケジュールは予告なく変更となる場合がございます。予めご了承ください。
……
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黒惟まお@liVeKROne/20日21時から3Dお披露目!@Kuroi_mao
我の3Dお披露目配信は20日の21時からだ
色々準備しているので是非見に来て欲しい
今日はオフなのでのんびり作業しつつ
いつもの時間あたりで雑談配信の予定だ
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『オフとは』
『働いてるんだよなぁ』
『お披露目楽しみすぎる!!』
ラジオクローネでの3Dお披露目決定の発表から一夜明け、アラームに邪魔されることもなく自然に目を覚ませばお昼前。翌日がオフということもあって昨夜は家に帰ってからも3D化を祝うメッセージやラジオクローネの感想なんかを眺め反応しているうちについつい夜更かししてしまった。
なんとか二度寝の誘惑に打ち勝ち、事務所からの告知を拡散しつつ今日の予定についてメッセージを投稿すれば、色々な反応が返って帰ってくる。収録物もないし外に出たり何かの対応をしなくてはいけないということもない日は間違いなくオフと言っていいだろう。
配信や動画の素材を作ったり編集するのはもはや日常生活の一部となって久しい。それに配信自体も仕事というより元々が趣味で始めたことなので娯楽みたいなものだ。
配信部屋が暖房で温まるのを待ちながら軽食を取り、熱々のコーヒー片手にまだ少しだけひんやりとしている配信部屋へと足を踏み入れる。羽織ったブランケットをしっかりと身に纏わせパソコンのスリープ状態を解除しいつもの動画編集ソフトを立ち上げ最新のプロジェクトファイルを開くとプレビュー画面に映るのは黒惟まおの姿。
しかしその姿は普段の配信で見る2Dモデルのものではなく3Dであり、実際に私自身が動かしたときの映像だ。再生してみればステップを踏みながら耳馴染みのある曲を歌っている。
「まるで私じゃないみたい」
本当に楽し気に歌を歌いながら踊る黒惟まおの姿。歌っているのも踊っているのも私自身であるし、収録したときの光景もはっきり覚えているのだが改めて映像としてみると不思議な感覚というのはなかなか抜けてくれない。
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「こちらに着替えて頂いたらスタジオまでお願いします。もし着用する上でわからないことがあれば内線をかけて頂ければスタッフが参りますので」
「わかりました」
一通り撮影のための説明をしてくれた女性スタッフがスタジオの更衣室から出ていく。残されたのは私一人と持ってきた荷物と渡されたモーションキャプチャ用のトラッキングスーツ一式。
事前にどのようなものかと着用イメージなんかも教えてもらっていたのだが想像よりもなんというか普通だ。モーションキャプチャと聞いて真っ先に頭に思い浮かんだのは全身タイツ姿であったのだが……今どきはもっと洗練されているらしい。これならば普段ダンスレッスンで着ているレッスン着と気分的には大差がない。
黒惟まおの3D化というのはliVeKROneに所属するという話を受けた時からずっと進んでいたのだが、ようやくモデルが完成しお披露目に向けたテストと調整を兼ねた収録というか体験会が開かれることになった。
てっきり同じく3Dをお披露目するリーゼも一緒に行うものかと思っていたのだが、スケジュール諸々の関係で別々での実施。当の本人は何に変えても現場に来たがっていたらしいが案件の収録が入っているとなれば涙を呑むしかなく、少し前に収録先から悔しさの滲むメッセージが届いていた。
「これでいいかな?」
説明を受けた通りにスーツを着て姿見の前で変な所が無いか一応確認する。まぁ変なところがあればあとはスタッフが直してくれるだろう。
更衣室を出てスタジオに入るとすぐにスタッフに迎えられ軽くチェックを受けるが特に問題なし、されるがままに何か小さなマーカー?のようなものが全身にペタペタとつけられていく。なんでも昔はこのマーカーもここまで小さくなくて、全身に張り付けるとなかなか面白い見た目になっていたらしい。
マーカーを取り付けられている間にスタジオを見回すと多くのスタッフが慌ただしくモニターを見ながら何やら調整している姿が目に入る。これだけの人数が私のために動いてくれているのだと思うとその規模の大きさを実感する。普段の配信は自宅で一人だしスタジオでの収録にしてもここまで大規模なものは経験がない。
そんなスタッフの中に収録でお世話になってる人や機材について語り合った人の姿を見つけ目で追いかけていると誰かと談笑しているらしいマリーナの姿が目に入る。相手はスタッフだろうか……?ちょうどマリーナの影になっていてその姿を確認することができない。
「黒惟さん、準備できたので中央にお願いします」
「わかりました」
上下左右カメラに囲まれているキャプチャスペースへと足を進め言われた通りに中央で足を止める。無数のカメラに囲まれているというのはなんだか落ち着かなくて少しだけ身じろぎしてしまう。
「では映像出しますねー」
そう言われて目の前にあるただのグリーンバックを映していたモニターに黒惟まおの姿が現れる。資料として画像はいくつか見せてもらっていたがその立ち姿は普段配信で扱っている2Dモデルがそのまま抜け出してきたようにしか見えない。
「黒惟さん、動いてみてくださいー」
「あっ、はい」
あまりに私がモニタに映る黒惟まおの姿を凝視していたのだろう、声をかけられてようやくハッとして頷くと画面の中の黒惟まおもまったく同じ動きをする。ここまでは2Dモデルで慣れている事ではあるのだが、片手を上げてみると自然とその動きがトレースされている。
パッと見では遅延などもなくまるで鏡を見ているようだが、その姿は黒惟まおのもの。初めての体験であるがどこか既視感もあるなと思えば、それはアレだ。静の家でやっていた黒惟まおコスプレ撮影会だ。
もっとも比べ物にならないくらい画面の中に映る姿は黒惟まおそのものであるのだが、そう思ってしまえばいくらか気持ちは楽になる。
画面を見ながら軽くステップを踏んでみたりくるりと回ってみれば衣装であるドレスの裾がふわりと広がる。その様子と処理だけ見てもかなりのクオリティであることは素人目にも明らかだ。
「すごい……」
思わずつぶやいた口の動きもキャプチャされ黒惟まおも呟いたように見える。ずっと鏡のような画面を見続けていたせいだろうか、だんだんと画面の中の姿こそが自分自身の姿のようなそんな気さえしてくるのだ。身体を動かすと一緒に揺れるドレスや自身よりも随分長い髪の毛の重さまで感じてしまう。
「いかがですか、まおさん?」
「想像以上にすごくて驚いているよ」
いつの間にかこちらに歩み寄っていたマリーナの姿が目に入り問いかけに答えると、想定とは違う反応をされたと言わんばかりの表情を見せられる。どうかしたのか……と思ったところで先ほどの受け答えは
「ほんとに不思議で……思わず配信スイッチ入ってしまってました」
「それだけ、気に入っていただける出来栄えということでしたらスタッフも喜ぶでしょう。SILENT先生もいかがですか?」
「え?」
あははと笑いながら言わんとされていることに答えると、マリーナは満足したように頷きスタッフの仕事ぶりに称賛を送る。そしてスッと斜め後ろを振り返り、まるでそこにその人物がいるかのように呼びかける。
呼ばれた名前に驚きつつも視線の先を追うと……なぜかそこにSILENT先生こと静がいたのだ。
「静……?どうしてここに?」
「あら?てっきりSILENT先生がいらっしゃることは知っていらしたと思っていましたが」
「言ってなかった?」
「聞いてないけど……」
不意に現れた静はマリーナの隣に立って、とぼけるようなことを言いながら私の姿を上から下まで眺めそしてモニターへと視線を向ける。
「ん……大丈夫そう」
「SILENT先生のお墨付きとあればスタッフたちも本望でしょう、せっかく来ていただいたんですもの。技術スタッフが色々お話を伺いたいと言っていたのですけれどお付き合いいただいてもよろしいですか?」
モニターから再度私に視線を戻した静は小さく頷き、保留していたマリーナからの問いかけに答える。その答えはマリーナだけではなく周りで聞き耳を立てていたスタッフたちの耳にも届いたらしく、視界の端には小さくガッツポーズするスタッフの姿まで見える。
マリーナ曰く、SILENT先生の描いた黒惟まおの姿をいかに崩さずに3D化するのかというのが技術スタッフの命題であったらしく。SILENT先生が今日来るという事で技術スタッフ一同待ち構えているとのこと。
「わかった。それじゃあまた後で。まお似合ってるよ」
「ではSILENT先生をご案内するのでわたくしも後程」
私にとってはわかりやすいくらいめんどくさそうな顔をしている静であったが、私の顔を立ててくれたのか素直に頷いてから言葉を残してマリーナについて行ってしまう。
まさかこのトラッキングスーツが似合っていると言ってる訳はないだろうし素直な褒め言葉として受け取っておくことにしよう。まぁそれとは別に私に黙ってこの場に現れたことを後で問い詰めることは確定なのだが。
「あのー、今日の撮影データって頂けたりしますか?ちょっと撮ってみたいものがあって」
「ほぼ撮って出しの状態でも良ければ大丈夫だと思いますが確認しておきますね。その間にこちらの件なんですけども……」
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あのあと許可が出て撮影して手元に残った映像が今見ているものだ。撮影での一幕を思い返しながら映像を眺めているとついつい作業の手が止まってしまう。
ちなみに技術スタッフの元へと連れていかれたSILENT先生こと静であったが、持ち前の人見知りを全力で発揮したらしく最終的には私も呼び出される事態になった。あのときのスタッフの困り果てた顔とその原因である静の我関せずといった表情の対比はなかなかシュールであったなと思い返しながら作業を再開する。
あっ。そういえば結局、どうして私に黙っていたのか聞きそびれた……。
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