第76話 秘めてた思いと重大発表

【ラジオ】第三回ラジオクローネ!ゲスト:桜龍おうりゅうサクラ子/ぶいロジ!【リーゼ・クラウゼ,黒惟くろいまお/liVeKROneライブクローネ


「このコーナーでは皆様大好きなまおにゃんをいかにしてこのラジオのゲストに呼ぶか、実現に向けて皆様と一緒に考えていくコーナーでしたが、前回お知らせした通りわたくしとまお様で勝負してわたくしが勝てばまおにゃんゲスト決定となります」


 :がんばれリーゼ!!

 :リスナーの希望が託されてる

 :勝負なにするん?


「ゲストが来ているのにわざわざやることもないと思ったんだがな……」

「勝負の行方しっかりと見届けさせていただきますわ!!」


 :サクラ子も参戦か?

 :2対1でもいいぞ!

 :絶対にゲストに呼ぶという強い意思を感じる


「サクラ子さんには勝負に協力していただいたりジャッジしていただこうと思います、ちなみにサクラ子さんはまおにゃんに会ったことはあるんですか?」

「残念ながらワタクシもお会いしたことはありませんの……大変かわいらしい方と聞いているのでいつかは……と思っているのですが」


 :サクラ子もノリノリで草

 :会ったことないかー

 :レアキャラだからなぁ

 :まお様の表情草


 サクラ子さんに話を向けると心得ているとばかりに話を合わせてくれる。普段はからかわれる側なのでまお様をからかえる場面というのは貴重なのだろうわざとらしく首を傾げたりしている様子はとても楽し気だ。もっとも、からかわれているまお様は恨めし気にサクラ子さんへと視線を向けていてその様子が配信画面上にも反映されており笑いを誘っている。


「好きに言っていればいい、我が勝てば何も問題ないのだからな」

「では、勝負の内容を発表させていただきますね!題して"ゲスト様おもてなしバトル!!"どういうものかというとまずはこちらのお便りをご覧ください」


 :いえーい!

 :ほう

 :おもてなし?

 :サクラ子をもてなすってことか


────────────────────────────────

まお様とリーゼちゃんの勝負ですが

リスナーやゲストをより喜ばせたほうが勝ちというのはどうでしょう?

たとえば告白シチュエーションを演じてみたり

いいところをひたすらに褒めてみたり

────────────────────────────────


 :なるほど

 :これ告白されたいだけなのでは

 :勝負もできてゲストもリスナーも幸せになれる良案


「これをベースに他にも色々いただいた内容を合わせてバトルしていきます」

「リスナーの願望が透けて見える気がするが……勝負となれば本気でさせてもらうからな」

「ワタクシはどちらが良かったかを判定すればいいんですわね?」

「はい、お願いします」


 最初はアンケートなど使ってリスナーにも審査に協力してもらうつもりであったが、「そんなことしたら内容よりもゲスト出したさにリーゼが選ばれるだろう」とまお様から言われてしまい却下されてしまった。

 たしかに言われてみればこの件に関してはまお様はアウェーもいいところなのでそうなる可能性は非常に高い。そういう意味でも勝負事に置いては公平なサクラ子さんほど適任はいないであろう。


「ではまず最初のお題はこちら」


───────────────

一緒に遊びに行きたい場所は?

───────────────


「これをテーマによりどちらが良かったかをジャッジしてもらいます。ではわたくしからいきますね?……サクラ子さんはアクティブなイメージが強いので一緒に身体を動かせるような体験型の施設ですね。サクラ子さんとならとっても楽しめると思います。たくさん身体を動かしてそのあとは美味しいご飯を食べて……充実した一日になること間違いなしです!」


 :おーいいね

 :体力お化けのサクラ子に付き合うの大変そう

 :リーゼちゃん意外とアクティブ?

 :これは陽のチョイス


「なるほど……では我はゆっくりと星空でも眺めに行こうか。プラネタリウムでもいいんだがこれからの季節は空気も澄んでいるのでせっかくならどこか遠出して視界いっぱいの星空を寝転がって共に眺めたいな」


 :めっちゃロマンチックやんけ

 :これはまた対照的だな

 :完全に落としにかかってる


 まお様と二人きりで遠出して夜の天体観測……肌寒い空気の中で肩を寄せ合って一緒に暖かいコーヒーなんか飲んだりして語り合う……。なんて素敵なんだろう……一瞬勝負を忘れてその光景を想像しうっとりとしてしまう。


「……ではサクラ子さんより魅力的だと思った方を教えてください」

「難しいですわね……。うーん……今回は、リーゼを選びますわ!!」


 :お

 :やった!!

 :まず一勝!!


「やった!理由をうかがっても?」

「ワタクシ、こちらに来るまではよく星空を眺めていたので是非連れていきたいオススメのスポットがあったりしてそちらを選ぼうとも思ったのですが。体験型の施設でリーゼがどこまでワタクシについてこられるか気になりますわ!!」

「リーゼ、サクラ子にその方面で付き合うのは本当に大変だぞ……」


 :サクラ子意外と星座とか詳しいんだよな

 :これはリーゼちゃん大変だわ

 :理由が理由で草

 :理由がアスリートのそれなんだよな

 :まお様実感こもってて草


 サクラ子さんが星空をよく眺めていたという話は初耳だった。まお様は当然それを知ってのチョイスだったのであろう、今回はなんとか興味がそれを上回って勝つことができたが油断ならない……。そして、まお様の言葉を聞く限りもしサクラ子さんと遊びに行くことになったときには色々と覚悟しなければいけなさそうだ。


────────────────

無人島に一緒にいくならどっち?

────────────────


 :おもてなし……?

 :草

 :いきなり毛色変わって草


「いきなりすごいお題になったな……、まぁ我から行こうか。まず料理は任せてもらっていいと思うぞ、あとは……無人島で通用するかは微妙なところだが家事全般はそれなりに出来ると思う」


 :この魔王家庭的である

 :女子力高いんだよな

 :こんなんいい奥さんじゃん

 :つよい


「うぅ……これは分が悪いです……。ええと……頑張ってお料理覚えます!お家の事も出来ます!……たぶん。サクラ子さんが心休まる場所になるように置物とか作ったり……」


 :かわいい

 :がんばれ

 :これは……

 :相手が悪いわ


 どう考えたってこの手の技能でまお様に勝てる気がしない。なんたって一時期、お世話になっていたくらいだ。それならばと他にアピールできるポイントがないかと色々考えてみるが無人島という特殊な環境では活かせるような事も思いつかず……聞くまでもないが一応勝敗を決めなくては。


「では勝敗を聞こうか」

「これはまおさんですわね」

「ですよね」


 :残当

 :そりゃね

 :このお題はしゃーない


 これはお題からして勝ち目がほぼゼロに等しかったので気持ちを切り替えていくしかない。まだまだ勝負は始まったばかりだし勝敗が並んだだけだ。


……


 それからもリスナーから送られたお便りを元にしたお題が続き、なんとか一進一退の攻防を繰り広げる事が出来ているが時間的にも次のお題が最後になる……。


「ではこれが最後のお題ですね……」


──────────────────

相手に思いの丈をぶつけてください!

──────────────────


「とうとうこれが来たか……」


 :告白きちゃ!!

 :最後にふさわしい

 :むしろこれを待ってた

 :これで決まるのか


「これはワタクシもドキドキしてしまいますわね」

「どっちから先に行く?」

「わたくしからでもいいですか?」


 付き合いの長さから言っても、まお様のほうが断然有利だろう。それに相手のを聞いた後、冷静に出来るかと聞かれれば自信はないので先手必勝!ペースを崩される前にやりきるしかない。勝ち目は薄いかもしれないが素直な気持ちを告げればいいのだ。


「Vtuberとしてデビューしたばかりのわたくしをコラボに誘ってくれた頼れる先輩であり……初めてのVtuberのお友達……。あの配信でサクラ子さんからもらった言葉は本当に嬉しくて今でも鮮明にわたくしの心の中に残っています。……預けているリベンジの機会をしっかりモノにして見せますので覚悟していてくださいね」


 :てぇてぇ

 :これはいいライバル関係

 :あのコラボから始まったんだなぁ

 :これが龍魔の絆

 :次の対決が楽しみだ


 同じVtuberの先輩でもまお様相手に感じる気持ちとはまた違った感情。それをうまく言葉には言い表せないが、初コラボでのやりとりはすべて色濃く心に残っている。取れ高を捨ててまで勝負にいったあの時も、その思いを拾い上げ称賛して認めてくれた。その心意気にこちらも心を打たれたのだ。

 まだ、思い出として語るには経った時間は短いかもしれないが随分昔の事のようにも思えるし、つい昨日のことのようにも思える不思議な感覚。素直な気持ちを言葉にしながらも次回のことを考えると自然と笑みが浮かび、挑戦的な眼差しを向ければあちらからも笑みと共に同じような眼差しが返ってくる。


「ワタクシも次の対決を楽しみにしていますわ!」

「ではまお様お願いします」

「この後というのもなかなかプレッシャーがあるが……まぁいこうか少し長くなってしまうかもしれないがそこは許してほしい」


 そう言うとまお様はゆっくりと一度目を閉じ小さく頷いてから語り始める。


「初めは……そうだな。いきなり勝負を仕掛けられて驚いたよ、しかも調べてみれば話題になりつつあった事務所のVtuberだったからなおさらにな」


 :懐かしいなぁ

 :デビューしていきなり絡みに行ったからなw

 :知り合いかと思ったらそうでもなかったし


 あの当時のことはわたくしも覚えている。ぶいロジの新人がいきなり個人勢の魔王に絡みに行ったと思えばコラボの約束を取り付けてきたのだ、界隈では過去の繋がりなんかも詮索されたがまったくもって見当たらなかったらしく面白おかしく語られていた。


「勢いに押されてコラボをしたが、すぐに我以上に伸びる逸材だとわかったしコラボもそれきりだと思ったんだが……」


 最初のコラボで誰が呼んだか龍魔コラボ、それは回数を重ねていくうちにすっかり定着し今のわたくしたちのコラボにも引き継がれている。


「思いのほかしつこくてな、いつしか周りからもかわいい後輩を持ったみたいな風に見られていることを知って正直まいったよ、たつ子はすぐに我なんか追い抜いていったし我よりよっぽど配信者として才能があると思っていた。我はただデビューが早いだけなのにな、と」

「そんなこと……」

「まぁここは語らせてくれ」


 嫌がるような言葉に反して語るまお様の口調は優しくどこか楽し気だ。ただ少しだけ自嘲の色を感じたのはサクラ子さんも同じだったのだろう思わず口を挟んでしまう。しかし、それも大事な思い出なんだと言いたげに言葉を重ねられれば口をつぐむ他ない。


「いつだったかな、たしかあれはスパブラ対決の切り抜きが思いのほか注目を集めた頃か。我がたつ子を完膚なきまでに叩き落としてたからな見る者が多くなれば我の態度が気に入らない者も出てきたのだろう。まぁ色々言われてしまってな」


 :あぁあれか

 :あの切り抜きほんと好きで今でも見ちゃうわ

 :あーあったなぁ……


 たしかにあの切り抜きは当時のまお様からすれば一番有名だったかもしれない。サクラ子さんを翻弄し弄ぶように次々と叩き落していく様と吹き飛ばされるサクラ子さんの悲鳴やリアクションがテンポよくまとめられていて本当に面白いのだ。

 ただ、まお様が当時使っていたキャラは初心者狩りにも使われていたキャラだったとかで悪意あるまとめ方をした切り抜きが作られそちらも同様に再生されたこともあり……、荒れたとまでは言えないかもしれないが色々とあった。


「タイミングが悪いことにちょうどその頃悪い事が重なってな、今だから言えるが活動について悩んだよ。このままでいいのかとね」


 :そんなことあったのか

 :あーね

 :まお様……


「そんなこともあって少しの期間いくら誘われてもコラボを断り続けた時期もあったんだが……やっぱりしつこくてな。突き放すような言葉をかけてしまったにも関わらず……本当にしつこくてとうとう根負けしてしまったよ。今思えばあれが転機だったのかもしれないな」


 たしかに言われてみれば一時期まったくコラボが行われない期間があった。その後何事もなくコラボは再開されたので単に忙しかったのだろうかとも思っていた気がするが……その事情については初耳だった。


「だから今の我があるのはたつ子のおかげでもある。もしあそこで折れてしまって見放されていれば今の我はここにいなかったかもしれないからな。だから、サクラ子には感謝しているし尊敬しているよ。かわいい後輩がこんなにしっかりしているんだからデビューが早いだけの先輩としても頑張らないといけないと常々思っている。これからも互いに高め合っていこうサクラ子」


「まお様……」

「まおさん……」


 :めっちゃエモいやん……

 :いい話すぎる

 :泣いた

 :まおたつしか勝たん


「それでは今回の勝敗を……」


 正直あんな話を聞かされてしまえば、その積み重ねられた思いと信頼の前には自身の思いなどまだまだであるとそう思い知らされた。そしてそれ自体を比べることはどう考えたって野暮というものだが企画としては聞かざるを得ないのだ。


「ワタクシにとってはどちらも何物にも代えがたい大切な思いですわ!そこに優劣をつけるなど……と言いたいところですがこれは勝負……そうは言ってられませんわね。しかしワタクシにはどうしても決めることができそうにありません。リスナーの手にその判断を委ねたいと思いますわ」


 :アンケか?

 :それはそう

 :俺たちの出番か

 :お前らわかってるな?

 :え、めっちゃ悩む……


 ここまで来たらサクラ子さんの思いを汲んで引き分けという考えも浮かんだが、リスナーに決めてもらうというのも配信ならではでいいだろう。まお様にもそれでいいかと視線を向けると無言で頷いてくれる。そしてその様子を見てすぐに準備してくれたのだろう、何も言わなくてもスタッフからは準備できましたの声が配信には乗らない形で届く。


「それではこれから配信上でアンケートを取りたいと思います。これはあくまで勝負をつけるためのアンケートなので皆様も深く考えず感じたままに投票してもらえれば」


 :了解!

 :俺は感動した方に入れたぜ!

 :このアンケ魔王が勝つわ

 :両方魔王なんだよなぁ

 :二人とも魔王定期


─────────────────

Liese.ch リーゼ・クラウゼ・*,***票

よりグッと来た方は?

[リーゼ・クラウゼ]

[黒惟まお]

─────────────────


 わたくしの言葉と共に配信サイトではアンケートが開始されたようだ。目の前にある画面上ではすごい勢いで投票数がカウントされていっているが、配信アカウントでは投票していないので途中経過はわからない。


「そろそろアンケートを締め切るそうです。結果はコメント欄に出るんでしたっけ」

「たしかそのはずですわ」

「まぁこの速さだと見逃しそうではあるが……」


 :お?

 :おお

 :すげー

 :ま?


 スタッフによりアンケートが締め切られその結果がコメント欄に出てくるが一瞬で大量のコメントによって流れていく。一瞬見えたのはかなり接戦のように見えたが……。リスナーたちは投票していることもあってかすでに結果がわかっているようだ。


「結果はサクラ子さんに発表してもらいましょう。スタッフさんから結果聞きましたか?」

「たしかに聞きましたわ……」

「では発表お願いします」

「アンケート結果は……両者50%でドローですわ!!」


 ゆっくりと頷いたサクラ子さんの口から出た結果にまさかとまお様と顔を見合わせる。


「ということはこれで本当にドローですわね」

「こんなこともあるものなんだな」

「えぇ……本当に」


 予想では、わたくしの勝ちにしてまおにゃんゲスト出演を狙うリスナーもいるのでいい勝負をしつつも負けると思っていた。それほどにまお様が語ったエピソードは素晴らしかったし今まで語られてこなかった分貴重な話だったのだ。それが綺麗に五分五分……予想以上にまおにゃんを望む勢力が強かったのか、わたくしの語る思いが評価されたのか……真相はわからないがこうなった以上結果は受け入れるべきだろう。


「それでは今回の勝負はドローということでまおにゃんゲストの行方は次回以降に持ち越しですね」

「なんとか首の皮一枚繋がったか……」

「まさしく大接戦でしたわ!!」


 :あと一歩だった……

 :惜しかった……

 :俺たちの夢が……

 :でも後悔はない

 :次がある!!


「ということでまおにゃん対策本部特別編でした!!さて、そろそろ番組も終わりの時間が近づいてきましたが……ビッグなお知らせの前に……ラジオクローネといえばまだやっていないことがありますね?」


 :お?

 :生歌!!

 :三人で歌うの!?

 :きちゃ!!

 :もしかして動画も


「もちろん歌いますよ!」

「ワタクシも楽しみにしてましたわ!」

「今回の選曲はサクラ子に任せたが、我もこの曲が真っ先に思い浮かんだよ」


 盛り上がるコメントを見ながら、目の前ではスタッフが慌ただしく歌うための準備を整えてくれている。座ったままでも歌えないこともないのだが気を使ってくれたのかあらかじめスタンドマイクがきちんと用意されている。


「三人で歌うとなればこの曲ですよね。知っている方も多いと思います」


 曲について話しているうちに歌う準備は整い三人ともおもむろに立ち上がる。それに合わせてスタッフの手により配信画面は三人のラジオブースからスタジオ風のものへと切り替わりそれぞれの前にはマイクが並ぶ。それぞれがヘッドホンをつけ立ち並ぶ姿はまるでスタジオでの収録のようである。


 一度お互いに顔を見合わせ頷き合い、全員の準備が整ったことを確認するとスタッフに向けて合図を送る。軽快なドラムスの音と共に伴奏が始まり、続いて入ってくるのは和楽器とそれに合ったメロディ。その曲は古来より伝わる日本の神話を元にしたそんな曲。


 :あーこれか

 :確かに三人といえばこれよな

 :きちゃ!!


 歌い出しはまお様の低音ボイスが響き渡る。そしてその歌詞は先ほど聞いたエピソードを考えると偶然にしてはかみ合いすぎている。そして、まお様のパートが終わればわたくしのパート。これもまたVtuberになる前……まお様に出会う前の自身を歌っているようで、続くサクラ子さんの力強い歌声で紡がれる言葉に勇気づけられるところまで一致するのは偶然にしては出来すぎなくらいだ。


 パートの振り分けはほとんど本家に準拠している。そのうち誰がどのパートを歌うかは主にそれぞれの音域で割り振ったのだが、サクラ子さんについては絶対にこのパートしかありえないとまお様が言っていたのを思い出し確かにその通りだと納得する。


 終始サクラ子さんのパートは力強く誰をも勇気づけてくれるようなそんな温かみがある言葉ばかりで本当にぴったりだ。


 まずは自分を愛することから始めよう。そうすればきっと他のすべてを愛することができるようになる。そんなメッセージが込められた歌はなによりも大切なことを教えてくれる。そんなことを思っているとあっという間に楽しい三人での歌唱の時間は終わりを迎えてしまった。


 :改めて聞くとほんといい曲なんだよなぁ

 :さっきの話聞くと歌詞がリンクしすぎててやばい

 :まお様やリーゼちゃんを引き釣り出してくれたのがサクラ子ってことか

 :いい歌や……


「さて今回も例に漏れず歌ってみた動画をこのあと投稿する、ちなみにビッグなお知らせはこれじゃないからな?」


 :やったー!

 :助かる

 :とうとうお知らせか


 今回もなんとか急ピッチであったが歌ってみた動画の作成は間に合わせることが出来た。歌を収録するだけの二人と違い、今回も動画編集を請け負ってくれたまお様には頭が上がらない。流石にスケジュール的にも他の人に……とも言ったのだが。ラジオクローネの動画についてはこだわりがあるようでそこだけは譲ってもらえなかった。


 そしてもちろんお知らせというのはその動画のことではない。最後の最後にようやく発表することができる。


「では発表いたします。この度、liVeKROne所属二人の3Dお披露目が決定いたしました!!」


 :3Dだあああああああああ

 :3Dきちゃー!!!!

 :ま?

 :はやない!?

 :おめでとう!!

 :とうとうまお様が3D!!


「詳しい日程については後日事務所から発表がありますので楽しみにしていてくださいね」

「ようやく発表できたな」

「二人ともおめでとうございますわ!!」

「皆様もサクラ子さんも本当にありがとうございます」

「こうやってみなに喜んでもらえるとこのラジオで発表できて良かったと思うよ。ありがとう」


 ようやく発表することができてわたくしとまお様ばかりではなく周りのスタッフもホッとしているように見える。サクラ子さんはその中でも自分の事のように満面の笑みで喜んでくれているので祝福のコメントと共に実感がわいてくる。


「では最後に本日ゲストに来てくれたサクラ子さんに感想をうかがえれば」

「何より楽しかったですわ!!……実を言うと発表についてはあらかじめ知らされていたのですが、発表の場に居てリスナーの方々と一緒に喜びお祝いできたのは何事にも代えられない喜びですわね!!」

「そう言っていただけるとわたくしも嬉しいです」

「ではこれで本当に時間だな、そうだ言い忘れていたがうたみた動画はいつも通りこのあとプレミア公開なのでサクラ子も合わせて一緒に見ようじゃないか、今回はリーゼのチャンネルの予定だ」


 :了解!!

 :情報量が多すぎてやばい

 :ゲストにうたみた動画に3D発表とか


「それでは最後の挨拶はおつクローネでいきましょうか」

「わかりましたわ!」

「それでは次回また会おう」

「「「おつクローネ!」」ですわ!!!!」


 :おつクローネ!!

 :おつクローネ~

 :プレミア公開にのりこめー

 :移動だー

 :サクラ子ありがとー!!

 :3D決定おめでとう!!

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