第75話 第三回ラジオクローネ!②

【ラジオ】第三回ラジオクローネ!ゲスト:桜龍おうりゅうサクラ子/ぶいロジ!【リーゼ・クラウゼ,黒惟くろいまお/liVeKROneライブクローネ


「それではふつおたはこのあたりにして、コーナーにいきましょう!リーゼの見習い魔王相談所!」


 :相談所きちゃ!

 :いえーい!

 :意外と真面目な相談所

 :今回はどんなのきてるかな


「このコーナーでは見習い魔王であるわたくしリーゼ・クラウゼがリスナーの皆さまからのお悩みを解決していくコーナーですが、今回はゲストにサクラ子さんもいらっしゃるので最初にサクラ子さんのお悩みを解決したいと思います。そのあとはまお様と一緒にジャッジ役になってもらいます」


 :サクラ子の悩み……?

 :あるのか?

 :悩みがないのが悩みとか言いそう

 :全部パワーで解決してそう


 今回の相談所はゲストがいるので特別仕様、といっても最初にゲストの悩みを聞いたあとはいつもの流れ。ただリスナーからのものと違って、どんなものが飛び出してくるのかは未知数なので少しだけ緊張する。


「サクラ子、コメントに悩みなんてあるのか?と言われているぞ?」

「そこまでは言いませんが、確かにあまり悩んでる姿というのは想像できませんね」

「ワタクシにだって悩みのひとつやふたつくらいありますわ!」


 :チクらないでもろて

 :想像できん

 :ほう

 :なんだろう


「では魔王見習いであるわたくしに聞かせてください、サクラ子さんのお悩みとは?」

「ワタクシの悩み事は……うちの事務所にある謎の置物ですわ!!」

「置物ですか……?」


 :あれか

 :置物?

 :あーあれね

 :社長がどっかから買ってきたやつ


「あの置物はいつのまにか事務所に居たんですの……最初は玄関にあって、次見たときには廊下……そしていまは事務室の中に」


 :ホラーやんけ

 :SCPかな?

 :居た?


「その置物が何か問題なのですか?ええと、スタッフさんがサクラ子さんのSNSから画像を……はい、これみたいですね」


 :トーテムか?

 :でっか

 :いやこれ邪魔やろ

 :ど真ん中で草


───────────────────────────────

桜龍サクラ子@ぶいロジ!/イベントグッズ発売中!@oryu_sakurako

邪魔っですわ!!

pic.upload.com/okimono

───────────────────────────────


 スタッフによってサクラ子さんのメッセージと共に謎の置物の画像が配信画面に載せられる。一般的な事務室の写真であるが、そのど真ん中に原色で派手に彩られたトーテムのような背の高い置物が鎮座している様子は異様である。


「これは……」

「まお様何かご存知なのですか?」

「いや、気の所為だろう……気にしないでくれ」


 :知っているのかまお様!?

 :こういうのまお様詳しそうだし

 :思わせぶり?


 その写真を見てまお様が首を傾げながら何かを思い出そうとする素振りを見せていたが緩く首を横に振る。


「たしかに少し不気味で邪魔かもしれませんがどういった悩みが?」

「この置物が置かれてから、スタッフの間では仕事中の疲れが取れたとか、難しかった案件が決まったとか、いくらでも働けそうだとか言われていて」


 :トーテムすげぇ

 :良かったじゃん

 :幸運の置物だ

 :いくらでも働ける……?


「ここまで聞くといいことばかりだと思いますが……」

「ワタクシには特に何も起こらないのですわ!!時々拭いたりキレイにしてあげているのに!!」


 :草

 :邪魔といいつつキレイにするあたりいい人もとい龍だよな

 :それは果たして悩みなのだろうか


「ええと、その置物の御利益?がないのがお悩みということでよろしいですか?」

「ズルいですわ!」


 :悩みがかわいい

 :悩みなさそうで良かった

 :やっぱサクラ子はこうじゃなくちゃな


「なんともサクラ子らしいというか……」


 少し呆れたように笑うまお様につられて、ズルいと主張するサクラ子さんがどうにも幼い子供のように見えてしまう。想像していたものとはまったく異なる相談内容だが、悩み事として相談してくれたのだしっかり答えなくては。


「その御利益が出始めたのは置かれてすぐなのですか?それとも何かきっかけがあったり……サクラ子さんが拭き始めたからとか」

「たしか……事務室の真ん中に置かれてからですわね……。たしかにワタクシが拭き始めてからですわ!!なのに周りのスタッフばかり……」


 もしサクラ子さんが言っているように何らかの効用が本当に出ているのであれば、その力の源があるはずだ写真だけではわからないが置物の意匠からは何らかの魔術的なものを感じなくもない、であれば……。


「おそらくですけど、その御利益の元はサクラ子さん自身ではありませんか?」

「どういうことですの?」

「この手の置物は単独でそういった効能を出すとは考えにくいですし、触れることで置物を媒介してサクラ子さんの魔力……というか力が周囲に分け与えられているのかなと思いまして、まお様はどう思いますか?」


 :スピリチュアルやね

 :つまりサクラ子を崇めれば御利益がある……?

 :ちょっと宝くじ買ってくる

 :サクラ子さまー!!


「たしかに筋は通っているし、自分にだけご利益がないと考えるよりもまわりにいい影響を自身が与えられていると考えたほうが建設的ではあるんじゃないか?それにサクラ子の周りの人間に御利益があるということは巡り巡ってサクラ子自身にもいい影響を与えると思う」


 :なるほど

 :たしかに

 :情けは人の為ならずやな

 :いい話だった


「なるほど……、その考え方は確かにありですわね!ワンフォーオールオールフォーワンですわ!!」


 :なっつ

 :サクラ子あの手の話好きやし

 :きれいにまとまった


 すべては推測であるし本当にそのような効果があの置物にあるかはわからないが、まお様の言う通りだと思う。なんなら置物なんてなくてもサクラ子さんは周囲の人に元気を与えているのだから沢山の桜人さくらびとたちから慕われているのだろう。


「これでアドバイスになったでしょうか?」

「ええ!モヤモヤしていたのがスッキリしましたわ!!」

「それは良かったです、ではここからはリスナーさんたちのお悩みに答えていくのでまお様と一緒にジャッジと共にアドバイスをお願いしますね」


────────────────────────

朝ごはんをパンにするかご飯にするか悩んでいます

どっちがいいでしょうか?

────────────────────────


 :でたわね

 :好きな方食え定期

 :今回は朝食かよ


「前回も似たようなお悩みを見た気がしますが、もしかして同じ方からでしょうか……」

「それほどに思い悩んでいるんだろう」

「これは大変難しいお悩みですわね……」


 :朝食べてないや

 :まお様はご飯派だよな

 :リーゼちゃんはどっち派なんだろう

 :サクラ子ってたしか……


「ちなみにわたくしはパン派です、朝は軽くトーストとコーヒーで済ませてしまうことが多いですね。ではわたくしからのアドバイスですが……きちんと朝食べているだけで偉いです!どちらでもきちんと続けてくださいね」


 :それはそう

 :今度からちゃんと食べるわ

 :朝食食べられて偉い!!


「果たしてアドバイスと言っていいのか疑問は残るが……たしかに規則正しい食生活というのは重要だからな。リーゼはパン派といいつつ結構寝過ごしてしまっているんじゃないか?まぁ我もあまり人の事は言えないのだが……サクラ子はその点、朝に配信していることも多いししっかりしてそうだな」

「ワタクシは毎朝かならず果物とヨーグルトにプロテインですわね!!朝にやるLFAループフィット配信は格別ですわ!!二人共こんど一緒にやりましょう!」


「「遠慮しておく」きます……」


 :即答で草

 :ぴったりで草

 :揃いすぎやろ


 まお様に痛いところを突かれ苦笑を浮かべながらも話を振られたサクラ子さんの方へと顔を向ければとてもいい笑顔で朝配信のいいところを語っている。サクラ子さんの朝LFA配信は発売当時から続いている有名な企画だ。最大負荷を雑談しながらなんなくこなしていく様子は見慣れたリスナーにとってはいつもの光景であるのだが、初めて見る人にはなかなかのインパクトを与える。


 そのイメージもあってか、運動用の体操服……古き良きブルマという配信用の衣装まで用意されているのだ。大胆に見せつけられた健康的な太ももは桜人たちの視線を奪って仕方ないとよく言われているらしい。通常の衣装からしてホットパンツであるのでそんなに違わないのでは?というのは禁句である。


─────────────────────────

来年進学で遠く離れた土地に一人で行くので

思い切って自分を変えたいと思っています

今は引っ込み思案でなかなか周りに馴染めなくて……

うまくいくようなコツはありますか?─────────────────────────


 :大学デビューってやつかな?

 :コミュ強そろってるしいい回答聞けそう

 :もうそんな時期かぁ

 :自己紹介……うっ頭が……


「環境が大きく変わるというのはいいきっかけになりますね。わたくしもお二人に比べればあまり得意な方ではないのですが……、あまり無理して変わるということを意識しなくてもいいと思います。環境が変われば自ずと変わってくる部分もあるでしょうし、現時点で変わりたいと意識できているのであれば周りに合わせて無理をするよりも自然体でいたほうが魅力は伝わるのではないでしょうか」


 :なるほどなぁ

 :たしかに

 :無理すると続かないしなぁ


「全面的にリーゼに賛成だが、まぁそれだけではアドバイスにならないか。引っ込み思案ということで難しいかもしれないが遠慮というものを一度捨ててみるのも手かもしれないぞ?我も人との距離感をはかるということに関しては苦労した記憶があるが……そんなことはお構いなしにどんどん来る相手を知ってからはあまり深く考えないようになったな。引っ込み思案と自分で思っているならば多少遠慮を捨てたところで人によってはなお遠慮しているように映る場合も多いと思うよ」


 :めっちゃサクラ子の方見てて草

 :サクラ子に出会ったらそうなるよなw

 :まお様でもそうなのか

 :自分が思ったよりっていうのはある


「ワタクシからはとにかくアタックあるのみですわ!!自分はこういう人間です!!というのをアピールできれば出会いもありますし、合わない人というのはどうしても出てきてしまうのは仕方ありませんわ!それでもアピールを続けていれば相手の気が変わるかもしれませんし最後は根気の問題ですわ!!」


 :さすがすぎる

 :退かぬ!媚びぬ!!省みぬ!!!

 :桜龍に逃走はないのだーー!!

 :帝王思想

 :三者三様で面白いな


……


 次々にリスナーから届いたネタのようなものから真面目な悩みに答えていく。基本的にサクラ子さんのスタンスはとにかくポジティブシンキングかつ力技が多く、何か困難にぶつかってもひたすらに押す!押してダメならさらに押す!!である。

 中にはさすがにそれはゴリ押しでは?と思うようなものもあったがなんとなくサクラ子さんが言うと許せてしまうし、その前向きな考え方は悩み相談というものに対してかなり向いているように感じる。その上、まお様が現実的なところに落とし込めてくれるのでわたくしも安心して答えていけるのだ。


「サクラ子さんがそう言うとそれでなんとかなってしまうような気がするのですごいですよね」

「サクラ子自身そうやってきたんだろうなという妙な説得感もあるからな」

「二人がきちんとフォローしてくれるからですわ!」


 :わかる

 :元気になるよな

 :やっぱゴリ押しよ

 :力こそパワー


「沢山のお便りありがとうございました!見習い魔王相談所ではあなたのお悩みをお待ちしています」


 :さて……

 :ついに

 :はじまるのか


「では次のコーナーに参りましょう。全世界、全魔界のまおにゃんファンの皆様お待たせいたしました!」

「……、まおにゃん対策本部」


 :待ってた!!

 :相変わらずのタイトルコールで草

 :まおにゃーん!!

 :ゲストがいてもやるの容赦なさすぎて草


 いよいよ、今回ラジオのメインとも言えるコーナーを始めよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る