第74話 第三回ラジオクローネ!①

────────────────────────────────

桜龍おうりゅうサクラ子@ぶいロジ!/イベントグッズ発売中!@oryu_sakurako

ここが魔王たちが住まうと噂のliVeKROneライブクローネ事務所……

デッケーですわ!!うちの事務所何個入りますの!?

そしてキレイですわ!!なんて恐ろしい場所……

#ラジオクローネ

────────────────────────────────


『楽しんでるなー』

『ぶいロジはぶいロジでいい事務所だから……』

『アットホームな職場です』

『金かかる企画しすぎなんよ』

『そろそろいい物件に引っ越してもろて』


───────────────────────────────────

猫音ねこねことか@ぶいロジ!猫カフェねこねこコラボ開催中!!@Nekone.kotoka

返信先:oryu_sakurakoさん

いいにゃー吾輩も遊びに行きたいにゃー!

サクラ子ー!!事務所乗っ取ってくるにゃ!!

───────────────────────────────────


『ろくに片付けをしないクソガキキャットを許すな』

『お?戦争か?』

『まずは自分の事務所の中片付けような』

『魔王二人に返り討ちにされる姿しか思い浮かばねぇ』

『社長が買った謎の置物まだあるんだろうか』


────


【ラジオ】第三回ラジオクローネ!ゲスト:桜龍サクラ子/ぶいロジ!【リーゼ・クラウゼ,黒惟くろいまお/liVeKROne】


 :待機

 :お邪魔しまーす

 :龍魔対戦会場と聞いて

 :いらっしゃい

 :というかまお様間に合うのか?

 :開幕茶番楽しみすぎる


「ここがあの魔王のハウス……ですわね!!」


 :きちゃ!

 :ここがあの女のハウスね

 :どういう設定なのか


「勇者サクラ子よ……よくここまでたどり着いた……リーゼ姫を助けたくば、この我大魔王まおを倒して見せるがいい」


 :ドラゴンミッションってこと!?

 :だれうま

 :実質ドラミソやんけ

 :大まおまお

 :大まおまおかわいい


「勇者サクラ子様!わたくしの事は気にせず倒してくださいませ!!」


 :リーゼちゃん姫ポジか

 :姫(魔王見習い)

 :なんなら魔王二人にドラゴンで全員ラスボスでもおかしくないんだよな

 :むしろわざと捕まってるまである


「小娘がさえずりおって……ところで勇者サクラ子よ、もし我が軍門に下るというなら……そうだな世界の半分をお前にやろう」


 :親の声より聴いた魔王の誘い文句

 :もっと親の誘い文句聞いて

 :親の誘い文句ってなんだよ

 :ここまでテンプレ

 :まお様楽しそうで草


「ワタクシは世界の半分なんていりませんわ!!ワタクシが欲しいのは……そう!大魔王まお!貴女……ですわ!!」


 :よう言った!!

 :やったれサクラ子!!

 :王道展開

 :ん?

 :ん?

 :なんて?

 :あら~^

 :キマシ!?


「ちょっと待ったー!!まお様はわたくしのものですわ!!」


 :ちょっと待って

 :そうはならんやろ

 :ええ

 :知ってた

 :結局こうなるのか


「我は誰のものでもないわ!二人まとめて始末してくれる!!」


 :姫と勇者夢のタッグ結成

 :ある意味王道展開

 :草


「ここまで応援ありがとうございました。ラジオクローネ先生の次回作にご期待下さい」


 :打ち切りエンドやんけ

 :このあと三人仲良く暮らしたんだよね

 :めでたしめでたし


「リーゼ・クラウゼと……」

「黒惟まおの……」

「「ラジオクローネ!」」


 ラジオクローネ劇場の一幕が終わりまお様と揃ってタイトルコールをする。


 今回はスタジオでの配信ということもあり、お互いコミュニケーションを取りやすいように机を三角形の頂点にあたる場所に設置してくれたので互いの表情も容易に確認できる。

 しかも、それぞれの目の前には配信画面を映したモニターが用意されているので配信の様子も一目瞭然だ。


 ラジオクローネ劇場は比較的王道というか、まお様を魔王、サクラ子さんを勇者、わたくしをお姫様に見立てた即興劇。他にも色々と前回のように設定ががっちり決まっているものや、セリフまですべて書き起こされているどこのゲームのシナリオですか?と聞きたくなるような印刷すれば相当分厚くなるであろう台本、さらに昼ドラさながらの愛憎劇まで選り取り見取りである。


 即興劇なので仕方ないことではあるのだが、サクラ子さんがいきなりまお様が欲しいだなんて言い出すとは思わずつい素の反応を見せてしまった。おそらく盛り上げるために言ってくれたのであろうし、コメントを見る限りその通りになっているのでまだまだ場数が足りてないなと反省しつつも進行していかなければならない。


「今夜もはじまリーゼ!ラジオクローネ第三回目!パーソナリティのliVeKROne所属魔王見習いのリーゼ・クラウゼです。皆様応援してくれますか?」


 :はじまリーゼ!

 :はじまリーゼ助かる

 :応援してるよー!


「今宵も我らのラジオに付き合ってもらおう、同じく魔王の黒惟まおだ。こんまお」


 :こんまおー!

 :義務こんまお助かる

 :まお様ー!!


「そして本日のラジオクローネには素敵なゲスト様がいらっしゃいます。さっそくご挨拶をお願い致します」


 :音量注意

 :鼓膜に備えろ

 :対ショック姿勢をとれ!!


「みなさんご機嫌よう!!ぶいロジ!から参りました桜龍サクラ子ですわ!!聞こえてますか!?」


 :クソデカ……じゃない?

 :鼓膜が無事だと……?

 :ご機嫌ようー!

 :なん……だと……

 :サクラ子大丈夫か?緊張してる?

 :タツ子なにか悪いものでも食べたか?


 サクラ子さんお約束の大声量に身構えていたのだがこちらに聞こえる声も若干大きい程度で普段を考えれば拍子抜けしてしまうというか、若干の物足りなさを感じてしまうのは感覚が麻痺してしまっているだろうか。コメント欄を見てもいつもと違う様子に戸惑い、心配するものまで出てきている。


「もうっ、みなさんワタクシの事を何だと思ってますの!!ぶいロジのスタジオならまだしもよそ様のスタジオのマイクに気を使わない訳ないじゃありませんか」


 :加減できたのか

 :いつもしてもろて

 :ぶいロジ!スタジオェ……

 :何本壊したと思ってるんだ

 :だからぶいロジのスタジオと事務所は……(察し


「気を使ってもらえるのはありがたいが変な遠慮は不要だぞ?こちらのスタッフもかなり準備していたようだからな」

「わたくしも全力のサクラ子さんの方がサクラ子さんらしいと思います」


 サクラ子さんの声量に備えていたのは何もわたくしたちだけではない。ぶいロジスタジオでマイクを何本も葬り去っただとか、防音室に入っているのにも関わらず二つ隣の部屋まで声が聞こえていたとか、それが功を奏して防音室を販売しているメーカーの案件が来た上に宣伝大使に任命されつつ製品開発に協力しただとか……。

 そんな数々の伝説に挑むべくliVeKROne側の技術スタッフも相応の準備をしているとは聞いていた。


「ではお言葉に甘えて……気にしないことにしますわ!!liVeKROneのスタジオ……どの程度のものかお手並み拝見といきますわ!!!」


 :草

 :勝負になってて草

 :スタッフ頑張れ

 :おれたちの鼓膜がスタッフにかかってる


 声量とテンションが連動していると言われても納得してしまうくらい、それらが一段階引き上げられる。耳に届く時点ではあまり変わらないように聞こえるのはスタッフの調整が優秀なのだろう、スタジオ配信という形にしておいて良かった。


「ということでラジオクローネに初めてゲストをお招きし、なんとこのスタジオでも初ゲストらしいです。サクラ子さん来てみてどうですか?」


「とにかくデッケーですわ!さすが魔王の居城……ここで日々階下の景色を見て高笑いしている様子が目に浮かびますわ!!」


「そんなことしてないですからね!?それに普段の配信はそれぞれお家でしてますし」


「していないんですの!?ワタクシ、さきほどやってみたら大変気持ちよかったのでやっているものかと……」


 :姿が目に浮かぶわ

 :やりたい

 :楽しそう

 :お前がやるのかよ

 :ここまでの感想デカいだけで草

 :サクラ子の方が魔王ムーブしてるんだよなぁ


 リフレッシュルームで突然窓に向かって高笑いをしていたなと思い返せばそういうことだったらしい、しかもその姿が妙に様になっていたのでよく覚えている。


「サクラ子お前そんなことをしていたのか、そんなに気持ちいいのなら今度我もやってみようか」

「でしたら配信が終わったら一緒にやりましょう!!」

「まお様!?サクラ子さんに乗せられないでください!」


 :草

 :この三人が揃うとリーゼが突っ込みか

 :なんか新鮮だな


「ふふっ冗談だよ、でも案外やってみればいい気晴らしになるかもしれないぞ?リーゼも一緒にどうだ?」

「まお様のお誘いならば……って、そろそろラジオクローネ劇場のお話をしますよお二人とも」


 :進行がんばれリーゼちゃん

 :進行放棄したまお様はなかなか手強いぞ

 :スパルタで草


 進行や突っ込み役はわたくしに任せているという事だろう、からかうようでどこか試されるような視線に気付きいつもなら乗ってしまうところだが進行へと軌道修正を試みる。


「今回は我がそのまま魔王だったな、前回に比べれば随分やりやすかったぞ」

「わたくしは囚われのお姫様でしたね、一応わたくしも魔王見習いなのですが……良かったのでしょうか」

「ワタクシは勇者!!魔王を倒すという事に関してはこの上ない適役でしたわね!!」


 :みんなかなりハマり役だったな

 :なんだかんだ綺麗にはまってた

 :まお様の奪い合い良いですわぞ~^


「ところでサクラ子さんまお様が欲しいというのはいったい……」

「世界の半分なんて黒惟まおに比べればちっぽけですわ!!そんなことより本人を手に入れれば世界そのものを手に入れたも同然ではありませんこと?」


 :これは告白では

 :大胆な告白はドラゴンの特権

 :深い

 :そうかな?そうかも


「言わんとすることはなんとなくわかるが……、我は誰の物にもなる気はないがな?」

「それでこそ挑み甲斐があるというものですわ!!」

「むぅ……お二人ともなんだか通じ合っていて羨ましいです」


 :まお様は手に入れる側だからな

 :てぇてぇ

 :まおサクはありまぁす!!

 :まおたつてぇてぇ

 :嫉妬するリーゼちゃんかわいい


 リスナーであったときならこのようなやりとりも「てぇてぇ」とコメント欄の面々と一緒にはやし立てていただろう。だけど実際に目の前でやられてしまうとどうしても羨ましいという感情が先立ってしまう、わたくしだって期間こそ短いがその分同期として濃い時間を共に過ごしてきたのである。


「リーゼも共に打倒黒惟まおを目指しましょう!!」

「まぁサクラ子の場合はデビューしてからこの調子だからな、慣れもするさ」


 別にまお様を倒したいとかそういう訳ではないのだが……、どこかずれてるサクラ子さんの発言を聞き肩を竦めて笑うまお様を見ればサクラ子さんと結託してその余裕ある態度を崩してみたくもなってしまう。


「それもいいかもしれませんね……、とそろそろお便りを紹介させていただきますね。今回サクラ子さんがゲストということで本当に多くのお便りを頂きました」


──────────────────────────────────

まお様リーゼちゃん、そしてゲストのサクラ子さんこんクローネ!

初のゲストがお二人とも仲がいいサクラ子さんということで

どんな話が聞けるか楽しみです!

今回のゲストが決まった経緯やエピソードがあれば聞いてみたいです!

──────────────────────────────────


「とのことですが、きっかけば龍魔コラボですね」

「次回の龍魔コラボの打ち合わせで誘われたので驚きましたわ!」


 :ほう

 :リーゼちゃんから誘ったんだ

 :まお様からだと思ってた

 :龍魔コラボほんとすこ

 :実質これも龍魔コラボ


「今回に関して我はほとんどノータッチだよ、リーゼに任せていたからな」

「ありがたいことに最近どんどんスケジュールが埋まりつつあって、次の龍魔コラボをどうしようかと思っていたのですが、ゲストを望む声も多かったのでいい機会だと思いまして」


 :天使ちゃんとのラジオから忙しそうだからなぁ

 :もっとゲスト呼んでもろて

 :リゼサク!?


「龍魔コラボは我も見させてもらったぞ、サクラ子が意外と英語が出来てて驚いてしまったよ」

「あれはリーゼが上手かったおかげですわ!」


 :わかる

 :あれはよかった

 :あいむだい(遺言)ほんとすこ

 :ドイツ語にポカンとしながら正解引くサクラ子よ

 :あいむだいがミームになっててほんと草なんよ


 あのコラボでサクラ子さんが発した「あいむだい」というシーンはミームになって海外の掲示板で広まっているとかなんとか……。


 その影響もあってかサクラ子さんの配信にも海外リスナーがよく見に来てくれるようになったらしく、サクラ子さんには配信で使える簡単な言い回しだったりスラング的なものをいくつか伝授した。


「サクラ子さんはとにかく臆せずコミュニケーションを取ろうとしてくれますからね、とにかく実践あるのみが一番の近道です」

「なるほど、サクラ子のそういうところは見習わなくてはな」

「それでは次のお便りに参りましょう……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る