第19話 約束
【朝倉 水穂】
モールさんとイシサルがユーフレナルと共に消えてから3ヶ月が過ぎた。
我々、
佐倉先生を担任として、特別クラスとして授業を受けている。
1年間の宇宙船生活とはいえ、
ある意味恐ろしく高度な文明に触れていたともいえるので
我々の進級等については、様々な意見が出ていて
文部科学省内で未だ検討中らしい。
隕石騒ぎの前に、文部科学省から1年分の検討資料の提出を求められた時は
佐倉先生がユーに泣き付いて、それはもう大変だった。
3機の小型宇宙船に関しては、ロックを掛けて隠してある。
小形宇宙船には私たちの腕輪からしかアクセスは出来ない。
まあ、誰もユーフレナルが破壊されて
モールさんとイシサルが亡くなったとは思っていない。
問題はユーフレナルが何処まで転移されたかだ。
でも、・・・やっぱり寂しい
「朝倉さん、あなたまた泣いてますわよ」
と生徒会長に言われるまで気が付かなかった。
「生徒会長、すみません」
「朝倉さん、あなた、いつまで私の事を生徒会長と呼ぶんですか?」
そうでした、さすがに私立姫島女学園の生徒会は代替わりしていました。
「すみません、つい」
「もう、しょうがないですわね」
「まあ、それは、しょうがないさ」
桂川さんが笑っている。
桂川さんは、あの後お兄さんの
JAXAも職員総動員でユーフレナル発見の為に動いてくれて
地球の周辺で異常が無かったか、世界中の天文台に問い合わせてくれた。
しかし、どこの天文台からも、ユーフレナル発見の連絡は無かった。
あの時治療した、島本さんの妹の脚は無事完治して
今では、姉よりも元気に走り回っているそうだ。
その時、私たちの腕輪が一斉にピッという起動音を立てた
「え?」「なに?」「まさか」
『皆さん、お待たせいたしました』
「「「「「「ユー」」」」」」
『先ほど、太陽系内に到着しました。
現在、木星軌道付近を地球にむけて航行中です』
「モールさんとイシサルさんは無事なの?」
と生徒会長、いえ紗羅さんが聞きます。
『はい、無事です。 音声を繋ぎますね』
「みんな、ゴメンね。
いや~ あの隕石と一緒にとんでもない所に飛ばされてね~
帰って来るのに、こんなに時間がかかってしまった。
もうすぐ、そっちに行くからね~」
「私もモール様も無事ですので、安心してくださいね」
「モールさん、ちゃんと約束守ってくれたんですね、
ありがとうございます」
だめだ、涙が止まりそうにない。
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