第18話 巨大隕石転移作戦

JXTV JAXA特設スタジオからの中継映像


「え~JAXAからの情報によりますと、

 輸送艦ユーフレナルによる巨大隕石転移作戦は順調に進んでいて、

 現在は隕石付近で同速度に到達したとの事です」


 「今回の作戦の解説にJAXAの聖川代表に来ていただいています」


 「JAXA代表の聖川です」


 「さて、今回の作戦は転移ユニットを並列使用と言う事ですが、

  この転移ユニットとは何なんでしょうか?」



 「はい、今回輸送艦ユーフレナルは、

  連邦を出発する際に通常の積載量では足りずに

  外部に6個の補助コンテナを取り付けて出発しました。


  当然ながら船の質量も増大して、船に搭載された転移装置では

  転移することが出来ませんでした。


  それを解決するために使われたのが、この単発式の転移ユニットです」


 「なるほど、大質量を転移させる為の物なんですね」


 「はい、地球到着まで1年の間に消耗した物資や探査機器のもありますので、

 現在ユーフレナルから補助コンテナはすべて撤去され破棄されていています。


 現状は船に搭載された転移装置で十分転移が可能です」


 「では、この転移ユニットはその用途に使われていたんですか?」


 「いえ、単発式の転移ユニットは使でして、

  今回使用するのは予備として積載されていた物のようです」


 「使なんですか?」


 「はい、本来は希少金属の輸送にしか使われない物らしく。


 転移ユニット1つで小形宇宙船が買える価格らしいですね」


 「それを、並列という事は使用するわけですね」


 「はい、使用します」



 「なるほど、ところで聖川代表。この作戦に危険は無いんでしょうか?」


 「いえ、これは非常に危険な作戦です」


 「え?危険なんですか?」


 聖川代表は頭を掻きながら。

「失礼しました。危険なのは地球では無くユーフレナルです。


すぐ近くで6個の転移ユニットを同時に起動させる事になります。


JAXAの方でも、その影響を試算しましたが、

不規則な方向に恐ろしく強い力が掛かることがわかっています。


ユーフレナルの受けるダメージは想像以上に大きいです。


もしユーフレナルが地球に近い場所で破壊された場合、

地球上の環境に悪い影響が出る可能性がありますので、

それが予想される場合は直ちに地球周辺から離脱する予定です」


 「まもなく、巨大隕石転移作戦が開始されます。

  こちらの映像をごらんください」


 隕石の通過コースには事前にプローブが何機か設置されていて

モニターに隕石とユーフレナルが映っている。


そして、隕石を取り囲むように6個の転移ユニットが配置されていた。


そろそろ転移が開始される予定時間だ。


定刻通りに、虹色の波のような物が隕石を包む、

しかし何故か波の範囲が想定より大きく、

ユーフレナルもすっぽり入ってしまっている。


「いけません、転移範囲にユーフレナルも入っています

 このままでは、隕石とユーフレナルは一緒に転移されてしまう。


 これでは宇宙のどこに飛ばされるかわかりません」


 しかし、止める事も出来ず白い光が走って隕石もユーフレナルも

 どちらも、その姿を確認する事は出来なかった。




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