閑話 非常に重要な相談事



 【桂川 真琴】


 現在、私、桂川は非常に重要デリケートな事を確認する為にユーと連絡を取っていた。


「ユー、モールさんに秘密の話って出来るの?」


『もちろん出来ますよ、以前イシサルがプラットフォームにいる事も内緒でしたし』


そういえば、そうだった。


『何かモールに秘密にしたい事ですか? 』


「いや、モールさんというか、単に男性だんせいに聞かれたくないたぐいの話なんだ」


『それでしたら、大丈夫ですよ。モールには秘密ないしょですね』


「できれば、イシサルさんと日本の成人女性おとなの話と言う事で佐倉先生、


それに一条寺さんと朝倉さんをまじえて話したい」


と言うわけで、佐倉先生を呼び出して、


朝倉さんと一緒に一条寺さんの家に来ている。


佐倉先生には理由を聞かれたので


「すみません、未成年だけで話をするには少し重い内容ですので、


信頼のおける成人女性おとなの意見も聞きたくて」というと


感動した様子でついて来てくれた。


 

今、一条寺さんの自室で紅茶を頂いている。


「それで、重要な話ってなんですの?」と一条寺さんが聞いてきた


「いや、もう2人、聞いていて欲しい人がいるんだ、ユー大丈夫かな?」


『ええ、今、映像を繋ぐわ』


モニターが浮き上がって、イシサルの姿が見えた。


「2人って、イシサルさんと誰?」とに聞かれる。


相変わらず、姿動作うごきだ、癒される。


「ああ、イシサルさんとユーの事だよ、一条寺の為にも。


これだけは確認しておかないといけないと思ってね」


 「私の為ですの?」

 

 「ごめん、一条寺さん、恥ずかしいかもしれないけど


  これは大事な事なんだ。


  イシサルさん、確認なんだけど。


  連邦の人間と、地球人って交配可能なのかな?」


 イシサルさんが、不思議そうな顔で


 「交配って、何ですの?」と聞かれた


 一条寺さんと朝倉さんは、意味がわかってないのか、キョトンとしている。


佐倉先生だけが「桂川さん、なんて事をきくんですか?」


と顔を真っ赤にして首を振っている。


仕方がないか


「モールさんと一条寺さんで、聞いたんだよ」


とストレートに聞いてみた。


一条寺さんは言葉も出ないようだ。朝倉さんは真っ赤で可愛いな


「ごめんね、モールさんとイサシルさんは、同じ連邦にいて、


それでいて結婚を考えるのだから遺伝子の交配は可能なんだろう。


でも5万光年も離れて発生した人間が同じ様な遺伝子を持つとは考えにくい。


もし、交配不可能なら一条寺さんは子供を諦めてでもモールさんと共に行くか、


連邦に行く前に、その決心が必要だと考えたんだ。」


「そうでしたの」一条さんが悲しそうにつぶやいた。


「それとね、もしかしたら性に関する考え方自体が連邦と違うかもしれないでしょ。


実は発情期があるとか? 性が2種類では無く6種類あるとか?


特定時期になると生殖器官が形成されるタイプかもしれないじゃないか。


これは、確認しておかないと非常にマズイだろ?


イサシル、実際はどうなの?」


「ごめんなさい、存じませんわ」とイサシルさんが首を傾げた。


『イサシル、君には成人した時点で情報の閲覧資格はあるんだよ、


生殖に関する情報に接触していないんだ』とユーが教えてくれた。


『しかし、困ったな。イサシル以外は連邦でいう未成年だから、


 私からは生殖に関する情報は開示できないぞ』


「そもそも先生はどうして呼ばれたんですか?」


と朝倉さんは身も蓋もない事を聞いて来る。


仕方ない、正直に答えよう。


「だって、私たちは未成年だから、当然は無いでしょ。


26歳の先生なら経験があるかもしれないじゃないか。


先生も同級生に結婚されてる方が多いって言ってたからね」


「佐倉さん、あなた生殖行為の経験がありますの?」


とイサシルが残酷な言葉を投げつけた。


佐倉先生はどう答えていいのか分からずに口を開けている。


「ユー、生殖方法が開示されないのは仕方がないよ、でも実際交配は可能なの?」


と聞いてみる。


『いや、詳しく検査もせずに、安易な回答は出来ない』


「検査はできるの?」


『検査には、ユーフレナルに来てもらう必要があるね』


そうなると、さすがにモールさんにバレるよね。


「一条寺さん、この件はたとえモールさんに知られたとしても


確認しておく必要があると私は思うんだけど?」


一条寺さんは、しばらく考え込んでいたけど


「桂川さん、私、検査を受けたい。恥ずかしいけど、でも何もせずに諦めたくない」


「わかった一条寺さん、私はあなたの決断を応援する


 ユー、モールさんに繋いでくれないか?」


『わかったわ』


そして・・・・


「桂川さん、どうしたの? 」


「モールさん、頼みがある。一条寺さんの遺伝情報を調査したい


ユーフレナルに連れて行きたいので小型宇宙船を使わせてもらえないかな? 」


「ユー、何かあったの?」


『女性特有の問題だから、モールには情報開示したく無いんだけど』


何かを察したのな、別の事を考えたのか・・・


「変な事を聞いてごめんね、もちろん使って良いよ」


これで、よし。

「ユー、そちらに行くのは一条寺さんだけでいいかな?」


『桂川さん、個人差や年齢差も確認したいから、先生と、


あなた達二人も来てくれる?』


ユーフレナルに到着した、私たちは1人ずつ、


いつもメディカルチェックを受けていたベッドに横になった。


1人の検査に1時間程かかる様だ。


久しぶりにクリーンシステムを使用して、心身ともにすっきりする。


みんなでテーブルでお茶を飲んでいると、ユーから声がかかった。


『みんな、結果が出たよ』


一条寺さんの顔が緊張で強張った


『結論から言うと、交配可能ね』


一条寺さんが椅子から落ちそうになったので、あわてて支えた。


「しかし、5万光年も離れているのに、起源が同じなのかな?」


私が不思議そうに呟くと。


『いや、そんな訳ないから』とユーに言われた。


「・・・じゃあ、なんで交配可能なの?」


『連邦の人間は一ヶ所で発生した種じゃないからかもね。


連邦内で種の発生した星系は推定で16ヶ所だと言われているの


それらが数万年の間、異種交配された結果が今の連邦の人間


だから、今更1ケ所増えても交配可能だっただけよ』


「もしかしてユー、交配可能の確率が高いって知ってた?」


『それこそまさかね、それに、こんな話をしておいて、


万が一不可能だったらと考えると怖くて言えないわ』


「それは、そうだね」


『ええ、でもいい結果が出たわ。モールと交配可能よ』


「私達の事もきっちり調べてくれたんだね」




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