第9話 地球の情報

第9話


買い物を終えてユーフレナルに戻って来た私たちだったが、

イシサルさんは当然の様に小型宇宙船に乗り込んでいて

それを見た誰もが言わなかった。


そして、ユーフレナルの中でイシサルさんは行動を開始した。


そのイシサルさんの取った方法は正面突破の正攻法だった。


「では、モール様、今後共よろしくお願いいたします」

「え? イシサル? そういえば何でいるの?」


「嫌ですわモール様、10年前に成人したら結婚して

 ユーフレナルに乗せてくださると言って下さったでは無いですか」


「いやいや、イシサル、まだ未成年でしょう? 」


「昨年、無事成人いたしました、立派な成人ですわ」


「流石に若い女性を、保護者の許可も無しに連れて行けないよ」


「両親の許可ならここに」


イシサルさんが、何か言うとブレスレットから立体映像が


『キャプテン・モーレイナス、イーメルクだ久しぶりだね、

 娘も成人したので約束通り連れて行ってやってくれ。

 それが娘の意志だ。我々は了承している事を、ここに宣言する』


「イーメルク代表、止めてくださいよ」


「まあ、結婚はいずれするとして、絶対にユーフレナルから降りませんから」


 モールさんは困った顔をしながら。


「イシサル、ゴメンね、でも今はこの子達を母星に送ってあげたいんだ、

だから連れて行けない」


「嫌ですわ、モール様。私も一緒にこの子達の母星に行くつもりですわよ」


「でも、まだ母星の座標すら特定出来てないんだよ」


『それですが、モール。この子達の母星の大まかな位置が判明しました』とユー


「なに? ごめんイシサル、後で良い? みんな、集まって」

 突然の情報に驚きながらも、みんなが集まる。




「ユー、説明をおねがい」

『はい、京塚さんから頂いた、星雲の写真や星図から皆さんの母星の位置を

 推定したしました。この星間図を見てください』


 星間図があらわれ、赤い逆三角ポイントが表示される


「これは、このイラバニア星系の星間図ですわね」とイシサル


『はい、この赤い場所ポイントがこのプラットフォームです。

 これを広範囲に広げていきます』


どんどん、星間図の範囲が広がっていって、とうとう1つの銀河系が現れた。


銀河系の中に赤い逆三角が表示されている。


『皆さんの母星の位置はこの辺りだと予想されます』



同じ銀河の反対側? に白い逆三角が表示された

それを見たイシサルさんは動けないでいる。


「同じ銀河系だったんだ」と桂川さん


「天の川銀河の未確認領域に星間連邦国家が有ったなんて」と京塚さん


いや、わからないから誰か説明して。


 ユーが説明を始める

『みなさんの母星は、この場所から直線距離で5万光年程離れた

同じ銀河系の反対側になります』


「5万光年も離れているのか」と西城さんがうれしそう。


京塚さんが、考え込みながら

「でも地球では銀河系の中心部は大質量のブラックホールが有ると予想されていました。それなら、中心部は大きく迂回しないといけないのではありませんか? 」


「はい、そうなりますね。ユー、航路の計画を立てられるか?」


『中心部より向こう側の星間物質については全く情報がありませんので、

 連邦影響範囲での星間物質から予測される概算計画になります。

 転移装置の使用にはプローブによる事前探査が必須となります

 長期航行対応の為の物資等の購入はもちろんですが

 本艦を長期航行に対応させるために、いくつかの点で

 機能追加等の改造を加える必要が必須となります。』


「わかった、計画を作成してくれ」


 イシサルさんが、ようやく再起動したようだ。


「ちょっと待ってください。

これは連邦の影響範囲外どころか

連邦の持っている遠距離航行記録の数倍の距離ですよ。

しかもそれを何も無い空間では無く、星間物質の多い銀河系内で行うなんて、

これは流石に航行計画の段階で連邦評議会から航行停止命令がでませんか?

もし、そうなったら航行自体が違法扱いです。

船を長期航行に対応させる改造許可もおりませんし

航行に必要な資材の購入も出来なくなりますよ」


モールさんは、相変わらずの、落ち着いた様子でにっこりと笑いながら


「イシサル、大丈夫だよ。

自己責任でする分には自由にやって良いという

を連邦評議会から貰っているからね」


イサシルさんが心底驚いた表情で

「いったい、どうやったらそんなお墨付きを貰えるんですか?」


「え? 普通に連邦評議会にお願いしたらくれたけど? 」

 






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