第2章 モールの過去編

第7話 イラバニア星系到着

【朝倉水穂】

ユーフレナルはイラバニア星系に到着した、このままプラットホームに向かう。


この星系は第4惑星が居住可能惑星で第5惑星の衛星軌道上に

星系間船舶の停泊用にプラットフォームが作られている。


なんだろう、宇宙空間に浮かぶ超巨大な魚の骨?

そのアバラ骨の1つにユーフレナルは固定された。


プラットフォームとの連絡はユー任せだ。

ここまで輸送してきた荷物を降ろすのに80時間ほど必要なのだそうだ、


モールさんが

「みんな、プラットフォームで降りてみます?」と聞いてきた。


「どんな物があるんですか?」

好奇心を押さえられない西城さんが食い気味に聞いて来る。


「そうだね、色々店舗なんかもあるから面白いかも知れないね」


「降ります」みんな降りることになった。


 モールさんが1人1人に金属製の腕輪を渡してくれる。なんだろ?


「店でこれをかざすと支払いが出来るように設定してあります。

 これでユーと通話も出来るので、わからない事があったら聞いてね。

 商品は、持って帰るか、船に送るかも選べるからね」


 私達は以前乗せてもらった小型宇宙船に乗って、

 ユーフレナルを出てプラットフォームの居住エリアに向かう。

 居住エリアというのは低重力かつ呼吸可能エリアの総称らしい。


 ちょうど魚の骨の頭部分に居住エリアがあって、

 そこに小型宇宙船は接舷した。


 宇宙船からモールさんを先頭に居住区に降りる。

 

 ところが、居住エリアに入ったとたんに、モールさんに抱き着く影があった。


 「モール様、会いたかったです」緑色の髪の若い女性だ。


 「イシサルか、君も来てたのかい?」


 「はい、モール様を驚かそうとユーには黙っていてもらいました」


 「確かに驚いたよ、イシサル大きくなったね」


 「はい、いつでもモール様と結婚できますわよ」


 「そんな、冗談まで言うようになったのか。時間が過ぎるのは早いね」


 「・・・ところで、モール様。そちらの方々は、どなたですの?」


 緑の髪の美少女がこちらを見ている、表情は笑っているけど目は笑ってませんね。


「ああ、紹介しよう。

 みんな、この子がこの星系であって友人になったイシサルだ。

 こちらは、私が航行中に救助した子達だ、

 今からこの子達の母星を探す予定なんだよ」


 モールさん、イシサルさんは、あからさまにこちらを牽制していますよ。


「船の中ばかりでは飽きるだろうから、ここで買い物でもどうかと思ってね」

「それでは私もご一緒させて頂いてもよろしいてすか?」


モールさんは、少し考えて

「うん、そうだな。良いかな、みんな?」と聞いてきた。

 モールさん・・・これ拒否は出来ないです。


居住エリアは大まかに食事エリア、食料品エリア、衣料エリア、雑貨エリアと別れていた。


 「では、一通り案内するから、後は自由に見て回ろうね」

 とモールさん案内してくれた。


 みなできゃあきゃあ言いながらお店を回る、わからない事はユーが教えてくれる。


  これ・・・・・楽しい。


 「ちょっと、よろしくて?」とイシサルさんに声をかけられた。

 生徒会長と桂川さんと・・・私?



 【朝倉水穂】


  私達は今、4人でお茶?をしています。


  生徒会長、一条寺紗羅さん、あいかわらずの正統派美人。

  運動部連合代表の桂川真琴さん、ボーイッシュなカッコイイ女子ですね

  そして・・・私、朝倉水穂 特筆するところの無い、地味な子だね


  そして、イシサルさん薄い緑色の長い髪をルーズサイドテールにしている。

  目鼻立ちはハッキリしていて線が細いキレイな人。


  どうしてこの中に私がいるの? どう考えても分からない。


 「さて、みなさんに来ていただいたのはモール様のことです」

  とイシサルさんが話始めた。


 「その前に、どうして私たち3人なんですか?」

  と生徒会長が不思議そうに聞く。


 「皆さんの中でモール様を見る頻度の多い方に来ていただきました」

  そんな理由かい、驚いた。


  私以外の二人をみると桂川さんは驚いた顔をしている。


  生徒会長は・・・すごい、赤いです。 え?


 「これで、ハッキリしましたね」イシサルさん

 「そうだな」と桂川さん

 「そうですね」と私

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 「それで、モール様に好意を寄せている方に釘を刺しに参りましたの」

 「ストレートだな」

 「ストレートですね」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


  真っ赤になっている生徒会長の代わりに、桂川さんが話始めた。

 「すまない、イシサルさん。我々は君達からすると連邦影響外の人間だ。

  連邦の文化に触れて学んでいるところなので、正直こちらの常識に疎い。

  一条寺がモールさんに好意を寄せていたとして、なにか問題はあるのかな?

  この世界での恋愛や結婚についても知らない事が多い。

  しかも、モールさんは我々が母星に帰る為に支援してくれている。

  彼に対する気持ちが恋愛に変わったとしても可笑しくはないと思うが

  どうだろう?こちらの恋愛観や結婚について、教えてもらえないだろうか?」


  イシサルさんが考え込んでいる。


 「そうですわね、こちらで多いのは40周期から60周期の方の結婚です。

  この頃に1度結婚をされている方が多いですね。

  100や120周期で結婚される方もいらっしゃいますが、

  お相手の方は80周期前後の方が多いですね。

  複数の方との結婚は、少ないですが別に禁じられているわけではありません」


 「確かモーラさんは80周期と言っていたな、結婚経験もあるのかな?」

  と桂川さん。


  ああ、会長、そんな絶望的な顔を見せないで。


 「いいえ、モール様に結婚歴はありませんよ、私、調べましたもの」

  イシサルさん、あなた調べたの。

  現金なもので、会長の顔が明るくなる。


 「ですから、私がモール様を射止められたら、あなたもどう?」

 会長が挙動不審になっている、え?会長 大丈夫?


 「すまない、我々の星では一夫一妻制が法律で決まっているんだ」

 桂川さん冷静に返しましたね。


 「そうですか、仲良く出来そうですのに残念ですね」

  イシサルさん、ホントに残念そうに見えますね。


 「それで、イシサルさんはモールさんに着いていくつもりなのかな?」


 「良くわかりましたわね」


 「なんとなく、そうじゃないかと思ってね」


 「モール様、危なっかしいでしょう?」


 「というか、良い人過ぎて申し訳なくなってきているよ」


 「いつも、自分にかかるリスクは後回しにされるんですよ」


 「そんな、感じだね」


  あ~何だろう、すごく納得できる。


  横で会長がうんうん頷いている。


 「それで、モール様は私の故郷を救って


  私と会長は横で凍り付いた


 「死にかけたとは、穏やかじゃないな。

  いったい、何があったのか聞いてもいいかい?」

  桂川さんも驚きを隠せない様だった。


 「ええ、元々話すつもりでしたわ。それにこのイラバニア星系に住む人間なら

  全員が知っている・・・いえ、知っていなければいけないお話ですから」


  「モールさんが死にかけたのは、この星系だったんだ」


  「ええ、『惑星クラミルの奇跡』と呼ばれていますわ。

   実際には奇跡でも何でもないのですが」

   とイシサルさんは笑っている。


  「奇跡では無いんだ」


  「強いて言えば、モール様の存在が奇跡みたいなものですけどね」





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