第6話 メディカルチェック


 『みなさんが、この船に入られる時にウイルス等のチェックは済ませています。

  ですが連邦の航行規定で定期的なメディカルチェックを受ける事になっています 

  みなさんも受診をお願いします』


  ユーの指示で、1人ずつ部屋に入って、部屋の中のベッドに横になる


 『富岡沙月さん、右足首の関節に修復されていない損傷を見つけました』


 「ああ、昔負傷してね、治らなかったんだ」


 『ここの設備なら治せますが?』


 「えっ?・・・治せるの?」


 『はい、術後50時間程度は右足に負担はかけられませんが、治せますよ』


 「是非お願いします」


 施術ユニットに入れられて、出てきた時には右足が透明の樹脂に固められていた。


 「富岡さん、足どうしたの?」島本さんが聞いて来た


 「いや、昔、右足を痛めてね、治らずに剣道を辞めたんだけど。

  ここなら治せるらしくて、治療してもらったんだ。

  なんでも2日で完治するらしい」


 「富岡さん、剣道やってたんだ」桂川さんが聞いてきた。


 「けっこう本気でやってたから、足が治らないって聞いた時はショックだった」



 「ユーさん、どんな治療でも出来るの?」と島本さん


 『怪我や病気の種類によりますね、

 こういった運動機能の回復は比較的簡単な分野になります』


 「そうなんだ」島本さんが真剣な顔で考え込んでいる。



 「そういえばユー、この船なんだけど?」


 『はい、桂川さん?』


 「この船の中の重力、体感で0.5G 地球の半分くらいに感じているんだけど、

  骨の強度や筋肉が落ちたりしないのかなと思ってね」


 『連邦所属の船は全て現在生物的に最も負担の少ない重力に設定されています。

  メディカルチェック時に骨の強度や筋肉の低下をチェックして

  睡眠中に処置されていますから気にしないでも大丈夫ですよ。

  ただ、地球到着前に地球の重力に慣れる練習は必要でしょうね。』


 「地球の重力って、負荷が大きいんだね」


 『はい、地球人全体なので気にされていないのでしょうけど

  あらゆる面で影響あると思いますよ。

  地球では重力圏脱出するのも大変でしょうし』


 「確かに、今でも衛星軌道に人を送るのが精一杯だね」と京塚さん


 『なるほど、地球はそういう状態ですか。

  では皆さんをお送りする時は衛星軌道ではなく地球の地表付近までですね』


 「ユーさん、地球はね、地表に多数の国家がある状態なの。

  だから地球の日本という国に送ってもらう事になるわ」


 『一条寺さん、わかりました。

  地球の国家形態や政治体制を考慮しないといけませんね。

  情報をお願いします』


 「もちろんよ、ユーさん。よろしくね」

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