第5話 異文化体験
翌朝、モールさんがやってきて
「せっかく、翻訳機があるのですから。食事もお好きな物を選んでみませんか?」
と言ってくれた。
翻訳機で色々調べながら、皆でわいわいするのが楽しい、
モールさんはそれを微笑ましい表情でみている。
桜元さんが笑いながら。
「私、保育園の保父さんに近い物を感じるといいましたが、その通りでしたね」
モールさんは、ユーを通じて連邦の情報も出してくれます。
みんな、連邦の未知の文化や生活情報を見るのに掛かりきりになっていました。
今は一旦休憩中、テーブル集まって情報交換をしている所です。
ある程度の情報交換を終えてから、
桂川さんが、ちょっと言いにくそうに「いいかな?」と切り出しました。
「さっき、ユーに聞いたんだが。この船の照明、我々の体調を気にして
日本時間で調整しているらしい」
私達、そこまで気を使わせていたの?
「来た時に貼り付けた、あの動画マニュアルも私たちの為に作ったらしい」
どれだけ準備したのモールさん
「この翻訳機を作るのに、船内の調査機械から部品を流用したらしい」
思わず責めるような目で、佐倉先生の方をみんなが見てしまう。
思わず一緒に先生を見てしまった桜元さんが、少し気まずげに
「まあ仕方ありませんわ、モールさんからは、幼い子供たちが苦労している様に
見えたそうですから」
そうなの?
「なんでも、感覚として半分位の年齢に感じているらしくて。
半分だとすると、先生が13歳で我々が8歳ですか。
ちょうど中学1年生の女の子が小学3年生を連れて
集団下校している感じでしょうか? 」
「それは困ってたら助けに行きますね」と生徒会長
「その中学1年生に『私の生徒には指一本触れさせませんよ』って
叫ばれたのかモールさん」
と桂川さんがため息をつく
あ、先生が泣き出した。
「真琴ちゃん、先生をいじめちゃダメだよ」と桜元さん
「いや、あと9日で目的地に到着したら、今度は私たちに付き合わせるんだよ
モールさんがいい人過ぎてちょっとツライかもしれない」
『輸送艦ユーフレナルのキャプテン・モーレイナスより。
連邦評議会に緊急報告
航行中、惑星ネラボンボキラ表層付近での重力異常を検知し調査
連邦影響範囲外から迷い込んだとみられる10名のヒューマノイドタイプが
現地生物に襲撃されているのを発見し救出した。
10人全てが連邦標準で30周期以下であり、
付近にあった機械から技術レベル0.5程度の文明圏と推定される。
保護を含め、至急対策を検討されたし。
なお本船は約250時間後にイラバニア星系への輸送業務を完了する予定である。
その作業が完了後、10名の母星捜索に着手する。
経費は全てこちらが負担するが何か懸念事項があれば連絡をたのむ』
『連邦評議会から、キャプテン・モーレイナスへの緊急連絡。
連邦影響範囲外への航行は連邦の技術レベルであっても危険度が高く勧められない
再考されたし。』
ユー『これは見せられませんね』
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