第4話 自己紹介と状況確認
佐倉先生が泣いている。
それはそうだろう、たとえ逆上していたとはいえ。
助けてくれた方に若い女性が言ってはいけない
話が進まないので、生徒会長が進めてくれた。
「まずは、救助して頂いてありがとうございます。
私は
失礼な事を言ってしまい申し訳ございませんでした。」
「いや、お互いに会話が出来ない状況だったので、多少のすれ違いは仕方のない事でしょう。私はモーレイナスという、この輸送艦ユーフレナルのキャプテンです。
どうかモールと呼んでください」
「やっぱりモールさんでしたか。この船は輸送艦なのですか」
「はい、別の星系に荷物を運ぶ途中で偶然、皆さんを見つけたので救助しました。
私の本国にも皆さんの事を報告して、どういう対応をしたら良いのか問い合わせ中です」
「このような事はよくあるのですか?」
「いえ、おそらく初めてだと思います、本国も結論が出てないようです」
「
なにか請求されるのでしょうか?」
「いえ、状況をみれば、対価どうこうの状態では無いですし請求などありませんよ」
「
「この船の航行中に近くの惑星表層で重力異常が確認されました。
その重力異常の調査目的であの惑星に近づいて皆さんに気が付きました。
おそらく時空震という現象に巻き込まれたものと思われます」
「時空震は良く起こる現象なのですか?」
「いえ、何度か記録されていますが。
1万年近い連邦の歴史でも数回の事のようです」
「
この質問はしたくても怖くて出来なかった。
「すまないが、君たちの居た恒星系や母星に関する位置情報が無いと判断はできない。君たちの乗り物から、連邦の影響範囲外であることは確実なのですが」
『モール、本国からパックが届きました』女性の声が聞こえる
「この船の中央人格、ユーです。ユー、挨拶を」
『はい、モール。皆さん、ワタシはこの船を管理しています中央人格でユーといいます。船内であれば声は届きますので、気軽に声をかけてください』
「
「乗員ですか? この船には私1人ですよ」
え?モールさん、この大きな船に1人でいるの。
「ユー、構わないからパックを開けてくれないか。それに翻訳を上書きしてくれ」
『了解モール、パックを開封する』
『輸送艦ユーフレナルのキャプテン・モーレイナスに
フィフサル連邦評議会の決定を通達する。
貴艦が救助した、連邦影響外の未成年者についてだが、
本人の希望があれば連邦市民権を発行する用意がある。
その場合、保護責任者の選定はキャプテン・モーレイナスに一任するものである。
また、母星の捜索を希望した場合、その捜索活動については
キャプテン・モーレイナスの責任において実行を許可するものである。』
「うん、大体予想通りだね」とモールさん。
「あの
「連邦の市民として衣食住は保証される、だから連邦では自分で働く人は少ないんだ」
「桂川真琴です。私たちの母星の捜索をモールさんの責任で許可するとは
どういう意味ですか? 」
「そのままの意味だよ、私が勝手に捜索する分には
連邦は文句を言わないという事だね」
「でも、モールさんも仕事があるでしょう」
「そうなんだ、次の目的地まで250時間程は掛かるので、捜索はその後になるね」
「私的な目的にこんな大きな宇宙船を使って、例えば会社に怒られないんですか?」
「問題無いよ、この船のオーナー私だし」
え?この船モールさんの個人所有なの、みんな唖然としている。
「
モールさんこれ、我々の星から見た星雲の形や星の位置なんですが、
これから、母星の位置はわかりますか」とスマホを見せる。
「ユー、どうだ?」
『いくつか特徴的なものがありますね、時間はかかりますが母星の座標が推測できるかもしれません』
みんなの歓声があがった。
佐倉先生がおずおずと手をあげる
「すみません、
先ほどは失礼な事を申し上げてしまいすみませんでした。
先ほどの連邦からの連絡で未成年者については言及されていたんですが、
私の様な未成年者で無い者の扱いはどうなのでしょうか?」
「佐倉さんは、そちらの星では未成年では無いのですね、失礼しました。
連邦では30周期、そちらでの30歳未満は未成年なんですよ」
みんなの目がモールさんに集中する。どう見ても20代半ばにしか見えない。
「
「私ですか、皆さんの星でいうと80歳になりますね」
みんなのその日一番の絶叫があがった。
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