第21話炭塵之術
取り合えず、出現した水龍も生き返らせてテイムもしておく。
「復活之魔法(リザレクション)」
「アッーーーーー!」
水の中でも生き残っていた、スケルトン、ゾンビ、リッチ、ゴースト、ヴァンパイア、とにかく人型で元人間の奴らは生き返らせて行くが、大型のスケルトンやゾンビはオークだったりオーガだったりしたのでとりあえずテイム。
「範囲回復(エリアヒール)」
「「「「「「アアッーーーー!」」」」」」
アイアンゴーレムなども出て、水の中で少々錆びたりしていたが、手からビームを出して「エ」の文字を溶かして消すと、問題なくメスにできたので前衛として利用する。
「「「アッーーーー!」」」
「六階層の魔物は空気をなくしたり、水責め程度では死なぬ奴らが多いな。大体こんなやつらが出現するのが六階層だ」
レベルが高い一番隊の連中はまだしも、新入りの八番隊以降などになると入った途端、ヒットポイントが低すぎて魔法か物理で瞬殺されるのでオススメできない。
「八番隊、九番隊、通路を確保しつつ、救助者を地上まで連れて行けっ!」
青い顔をしていた新入り達は団長が空気読んで後送、魔物と出会い次第パニックを起こして潰走しないよう、他の隊に恐怖が伝搬するのを防ぐためにも五階層からも追い出された。
「おっかねえ、俺は下には行かねえぞ」
最初からいた奴らの中でも、いつもは威張り倒しているやくざ者などは、自分より遥かに強い相手に出会ったり、戦争で殺し合うような状態になると怯えてしまってからっきしで、普段は無口で朴訥としていて優しい人物の方がキレてからの行動が怖いと言われるが本当だった。
やくざ者達は車にひかれる前の猫や鳩みたいに、体が動かなくなってそのままヤられてしまい、天命が尽きたのか何人も死んだままで生き返れなかった。
それでも一日に一両も危険手当てが出る職場なので求職が殺到。
今では入団試験が行われ、レベル50以下の連中はお断りできる買い手市場になっている。
「さて、まだここから降りたい連中はおりますかな?」
ドロップアイテムを拾い集めるにしても、足手纏いが無い一人の方がマシだが、レベル上げをしたい連中は連れて行く。
「俺は行きます」
この惨状を見てもケンタは参加するようだ、アイアンゴーレムに守らせてオーガも付けてやろう。
「某(それがし)も調査に往く」
団長は行くつもりのようなので副団長も一番隊隊長も行く。
「わたくしも行きます」
「若様は団長と同じ場所には連れて行けません」
先程と同じで、決まりごとによって同行できないと副団長が却下した。
「領地として、どちらかは残って貰いたい、若はまだ死ぬには早い」
「はい……」
「タロウも残っていてくれ、死なせでもしたらおとっつあんに顔向けできん」
「うん」
戦死した兵士の上官みたいに、父親に死亡報告に行けるほど神経が太くないので却下。
「拙僧も地獄までお供します」
法念和尚は寺の命令通り同行する、レベル100以下の念シリーズの坊さんの護衛は遠慮してもらう。
「我、同行」
元リッチの美少年も、メスの顔をして同行したがっている。
「お主、名は何という? 拙者はタケル」
自分を指さして名乗ると元リッチの美少年も名乗った。
「もるすあ」
ファービ〇人形を吹き飛ばした時の断末魔の声みたいだ。
鑑定 職業 大賢者 デミヒューマン
経験値 31654778 レベル1241
体力 10235
力 8612
魔力 53325
装甲 7215
素早さ 38541
知力 85268
幸運 8456
大賢者のローブ、神の杖、王の冠
大変心強い。足手纏いどころか十階層あたりでも楽々だ。
リッチから人型に戻ってはいるが、魔族との混血なのかデミヒューマンで凄まじい魔力持ちだ。
紙装甲で腕力も無いはずだが、それでも団長の十倍はある。
物凄い持ち物だが前世?は王だったのだろうか? 追加で魔法使い用のマントや動きが速くなる靴でも装備させておこう。
「まずは一手間かけてからにしましょうか、空中窒素固定(ハーバーボッシュ)」
魔法?で空中の窒素を高圧高温でアンモニアに替え、さらにゴニョゴニョして硝酸に変える。
「今から六階層以下を爆破し申す、下がって壁の裏に隠れて頂きたい」
「爆破?」
「左様、階段から火の柱が走って魔物を切り裂いて殺しまする」
「下がれっ、壁の後ろに隠れろっ」
団員が退避したのを確認してから点火する、ここから下は仮面ラ〇ダーV3の弾着みたいに、撮影した島の形が変わるほどの大爆発をする。
現場ヨシッ! 指差呼称ヨシッ!
「炭塵之術(ボンバーマン)っ!」
普通のラノベや新谷薫戦記シリーズでは、小麦粉などを炭塵爆発の材料として使うが、今回はハーバーボッシュ法により窒素をアンモニアにして空中固定して、ゴニョゴニョしてから爆発物に変えた。
フリッツ・ハーバーと言うドイツの学者が高圧高温状態で鉄の容器や白金を触媒とし、空中の窒素をアンモニアにして肥料に変えた。
それで戦後ノーベル賞をもらったが、第一次大戦中は硝石が無いドイツで爆薬と塩素系の毒ガスを生産し続けて国家に貢献した、化学兵器の父と呼ばれる悪魔。
そこまで国に貢献しても、ユダヤ人だったのでナチスドイツから追放されて、国外に逃亡せざるを得なかった、人類に大変貢献した悲劇の科学者。
六階層以下は大爆発を起こして、ボンバ〇マンみたいに爆轟の衝撃波と火炎が五階層まで走った。
「土之盾(ヘーベルハウス)っ」
階段から噴き出してくる炎を土魔法で防ぐ。
「すげえ」
「あれで生きてる奴なんかいるのかよ?」
いる。酸素が無くなっても爆轟しても、アイアンゴーレムやリッチは死なない。ローブやマントがダメージを受ける程度だ。
「それでは鉄の巨人を先行させ、大鬼(オーガ)や石の巨人を後衛の護衛と致しまする、宜しいかな?」
「「「「「「応」」」」」」
ぼくがかんがえた武士団最強メンバーで、ドロップアイテムの回収作業をする。
もしアイアンゴーレムのモンスターハウスやリッチの集団が出れば、俺と大賢者だけ生き残って、棺を引きずって歩く羽目になるかもしれない。
「風魔法(ダクトファン)」
現場ヨシッ! 酸素供給ヨシッ!
「出発っ」
まずは一室目の魔物は死んでいたので魔石とドロップアイテムを頂戴する。
「おお、素晴らしい剣だ」
「お待ち下され、それは呪われております」
きっと童貞のまま死んだ奴が所有していて、解呪してやらないとトッシーみたいにアイドルヲタとかゲームヲタとかマヨラーになってしまう恐ろしい剣だろう。
「解呪(ホイホイチャーハン)」
「アッーーー!」
よくあるインテリジェントソードになれたかもしれないが、剣の持ち主は童貞か処男?を失うような夢を見て成仏して行った。
オリハルコンソード+4を手に入れた。
「団長殿がお持ちください」
「ありがたい」
ダンジョン終盤まで持ちそうな剣が手に入った、本格的な魔法剣が入るまでの繋ぎになる。元の持ち主は多分ママに良い品を買って貰えたのだろう。
その後もアイアンゴーレムを先頭に立てているので、モンスターハウスのトラップも作動せず、遭遇した敵でも何とかなり始めていた。
「五階層とは比べ物にならない収益ですな」
「然り」
本来は鑑定できる賢者などを連れて行くと簡単に死んでしまうので、ニンジャがトラップ除去や鑑定も済ませられる上級パーティーでなければこうはならない。
パーティーの平均レベルも高いので、良いドロップアイテムの出現率も高いのだろう。
「魔物接近っ」
バックアタックを食らってまずは魔物の先制攻撃。
「氷雪之呪文」
「火炎之呪文」
「雷之呪文」
魔法の波状攻撃、今最弱なのは賢者職のケンタなので、ヒットポイントが尽きると死ぬ。
大賢者もるすあとゴーレムはダメージを受けない。
「あああっ!」
ケンタの体力は千少々あるので、今回は何とか生き残った。
「カゲヌイーーー!」
全体への麻痺攻撃で止めるはずが、まだ動ける奴がいる。和尚か大賢者が回復してやらなければケンタは死ぬ。
「範囲回復(エリアヒール)」
意外な所で副団長が回復魔法を唱えて間に合った。団長専門の回復役僧侶がサムライに転職して、回復と攻撃の魔法両方を使えるようになったのだろう。
鑑定 ヴァンパイアロード
若い童貞の男のケツを専門に吸う鬼、若い男を魅了して自ら家に招かれるように仕向ける、魔界の爵位持ちで貴(ケツ)族。
真祖に近い吸ケツ鬼なので噛まれると間違いなく吸ケツ鬼になる。
真祖に近い者より力を賜ったのを誇りとし、真祖に近い絶大な魔力と絶対の不死性を持つ。
太陽に弱く陽にあたると灰になってしまうが、灰を集めてケツ液を与えると復活する。
どの話でも第二部的な所に安易に登場させてしまい、書籍化作業などで手一杯で話を台無しにする鬼門の魔物。
「はああっーーーー!」
たまげている暇も無いので、寺生まれのTさん和尚が手からビームを放った、神聖魔法だがヴァンパイアロードを倒し切れない。
「轟雷之呪文」
大賢者もるすあの攻撃が始まって、全体攻撃の呪文が周囲に撒き散らされる。
野良のヴァンパイア達は全滅した、スケルトン達も全滅した、グール達も全滅した。残るはヴァンパイアロードのみ。
「太陽の欠片っ!」
手から短いビームを発射しながらヴァンパイアロードに腹パンを入れてやる。
波紋疾走(オーバードライブ)かビー〇エックスのように太陽の欠片を叩き込んでやるとヴァンパイアロードは灰になって滅びた。
「アッーーーー!」
「はああっ! 範囲復活之呪文(エリアリザレクション)」
「「「「「「「「「「「「アッーーーーー!」」」」」」」」」」」」
もるすあ大賢者にはダンジョンの住人を復活させて、地上に連れて行くのを説明する暇がない。
死にたてのヴァンパイアにはケツ液を与えないでも復活できた、スケルトン、グールも半分程度復活させられた、ヴァンパイアロードにもダメージを与えた。
「何故、反魂?」
もるすあには不死者たちを復活させて回る意味が分からないようだ。
「地上、連行、知識 欲する」
「了解」
死人たちを生き返らせて、その知識を欲していると伝えると何とか通じたようだ。
さて、ヴァンパイアロードは復活させられるだろうか? 手を少々切って血を掛けてやるが復活しない。
「やっぱりケツ液なのかよっ」
次にケツを少々切って灰にケツ液?をぶっ掛けてやる。
「アアッーーーーー!」
メスの顔をしたヴァンパイアロードが復活した。こちらも美青年で、美少女とかょぅじょには成ってくれなかった。
ヴァンパイアロードは人間に戻さない方が良いのか、回復呪文の必要も無く、ケツ液を与えて復活させた者に従うようだ。
「F;STろGDGJっしゃいあ?」
「STS;SヴぁDっうぇQE]
ヴァンパイアロードと大賢者もるすあが、あちらの言葉で会話して今の行動を説明する。
「あすてか、もるすあ」
どうもこいつの名前は「あすてか」と言うらしい、アステカの神殿みたいな不吉な名前だ。
「人間、戻る? 復活? 生き返る?」
何度か人間として生き返るか聞いてみたが、ヴァンパイアロードはこのままが良いのか、首を横に振った。
太陽に当たらない限り不死で、物凄い魔力持ちで回復能力も高いので、ゴミみたいな人間に戻る気はないようだ。
そして若とケンタと、もるすあのケツを観察して舌なめずりをした。
「ショタコンなのかよっ!」
ケツ液が欲しいときは、死にかけの武士団員のでも吸わせるか、俺のケツを吸わせるしかないようだ。
「俺のケツを舐めろ」
キッスマイアスと言っても黒騎士物語もモーツアルトも知らないのか通じなかった。
ヴァンパイアロードが仲間になった。
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