終章  2人のその後

 「やっと一つ面倒な仕事が終わった。」

アンジュは自宅の邸の玄関の前で一息ついた。

「…アンジュ様。それ、今から起こることわかっていて言ってます?」

リンドが、無表情で、尋ねた。途端に顔をそらして

「あ〜リンド、やっぱり起こると思うか?」

と、尋ねてきたので、リンドはキッパリと言った。

「ええ、80%起こると思います。」

「80%…短いといいな。」

「…アンジュ様。アンリの『あれ』が、短いと思いますか?」

「思わない…。」

その時、扉の奥で何かの気配がした。その気配が誰のものか知ったアンジュとリンドは暗い顔になりながら重い溜息をついた。

「リンド…お前1人で逃げるなよ。」

「アンジュ様こそ。」

 そして、意を決して扉を開けた彼女達は、説教という名目の地獄を散々浴びるのであった。

「日常的に起こる、長い説教ほど、嫌なものはないな。」

「だったらアンジュ様が、何も起こさなければいいんです!こら、リンド様聴いてますか!大体、貴女方は…」

アンジュは心に決めた。アンリを怒らせることだけはしないと。それ程までに、彼の説教は長く面倒臭いものだった。



 


 この話は、彼女達の平和な時だった時の日常の一部でしかすぎない。これから、彼女達は決められた辛い運命サダメを歩かなければならないので、この物語が思うままに生きることが出来た最後の出来事だった。


 とある星で、誰かは言った。

 「もうすぐだ。もすぐで全てが終わる。アンジュリーヌよ、私の代理として、しっかりと殺るのだぞ。」


 何処かの場所で、誰かは言った。

 「もうすぐで、最後の戦いが始まる。リンサラードよ、私の代理として、しっかりと、殺るんだぞ。あの憎き女の娘を。」


 とある星で、2人の男が会話していた。

 「…どうやら、処罰しなきゃいけないのがいるのだが…どうおもう?闇の神。」

「…別に」

「冷たい男だなぁ、お前は。娘だろうが。」

「冷たくない。ただ私はあの子…アンジュリーヌを信じているだけだ。ただ…アンジュリーヌを利用している光の神は殺していい。」

「…お前。…感情あったんだな。」

全てを生み出した、天界を治める生命の大神は呆れたように言った。


 ふっと、アンジュは空を見上げた。

「どうしたんですか。」

そんな様子に気づいたリンドは尋ねた。

「嫌な空気だ。」

リンドも空を見た。

「本当ですね。まるで嵐の前の静けさです。」

「…アドゥヌ星は大丈夫かな。」

珍しく不安そうだった。

「…大丈夫ですよ。貴女様はご自身で思われてるより慕われてるんです。腹臣達がうまくやっていますよ。」

「そうだな…」

それから彼女は黙った。空を不安そうなジーと見つめながら。



 『それ』は近づいていた。少しずつ。でも確実に。不穏な気配は確かにきていた。彼女達がそれに気付くのはもうあと少し後。でも、その時にはすでに始まっていた。最悪の事態…通称『怨霊の鬼ごっこ』が。そして、終結した時には、始まっていた。彼女達の悲しく、辛い選択をしなければならない『最後の戦い』が…

 だがこれはまた別の話になるので、今回は関係ない。ここら辺で閉じるとしよう。

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暗黒の街 神羅 @reiun

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