第5話  馬鹿な社長

 話は、一ヶ月前に戻る。


 東京に戻ってきた、アンジュとリンドは、とある場所に向かっていた。


 その日、彼は豪勢な食事を楽しんでいた。そして、食後のデザートに移ろうとした時、扉が開いて、とある人物が入ってきた。

「随分、豪勢な食事ですのね。」

一瞬、不愉快になり誰か気づいた彼は慌てて、立ち上がり食卓の上にある料理がひっくり返り、無惨な姿になるのも構わず、出迎えた。

「こ、これは、姫宮社長に白嶺若社長じゃありませんか。どのようなご用件で参ったのか知りませんが、座って話しましょう。」

「いいえ、ここで十分ですわ。すぐ終わりますから。」

彼は不思議に思ったが、逆らったらまずいと思って、その通りにした。

「それで、今日はどのようなご用件で。」

「貴方を横領の疑いで逮捕に、ですわ。」

彼はその言葉にドキリとしたが、冷静さを保ってなんとか聞き返した。

「横領とは?」

「しばっくれるおつもりですか?貴方のパソコンからたんまりと、改ざんされた数字が出てきたのですが。」

彼は慌てた。マズイばれてる、と。だが、捕まるわけにはいかなかった。今後の生活のためにも。だから、必死で言い訳をした。

「た、確かに私のパソコンかもしれませんが、もしかしたら私のパソコンで他の人がやったという可能性も…」

「ありえませんわ。だって証拠がバッチリありますもの。」

そう言って、彼女は証拠を見せた。確かにバッチリと、彼がやっている映像があった。彼はガックリとうなだれた。

「ということで、あとはよろしくお願いしますね?笹羅魏ササラギさん。」

「はあ、全く一体どこでこんなの手に入れてきたんでしょうね。」

1人の男が溜息をつきながら、彼に手錠を掛けた。

「ほら、警察署行きますよ。宮部社長。」

相当ショックだったのか、彼がうなだれたまま動かないので、笹羅魏は溜息をもう一つつくと、宮部社長をズルズルと引っ張って警察署まで連れていった。

 それを最後まで見送っていた、アンジュとリンドだったが、パトカーが、離れていったのを見送ると、主人が捕まって呆然している使用人をほっといて、邸へと、帰っていった。


 その後、宮部社長は横領をしていたことで、刑務所行き。後任がいなかったことで、宮部グループの会社は、全てつぶれ、仕事を失った人たちが路頭に迷うということがあったが、それは、2人にとって関係ないことであった。

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