第3章 両思いになれた!
第13話 アタシ達、カップルだよね?
結局昨日は、全然寝れなかったの。
上井くんのことを考えてると、なかなか寝付けなくって。
お互い、告白し合った場面を何度も思い出しちゃって、1人で照れてたの。
ただ、ハッキリとアタシも上井くんも、お互いの名前で好きって言ってない点がちょっとだけ引っ掛かるけど…。
でも、でも、きっと両想いになれたと、アタシは信じてるんだ♪
ちゃんと顔を洗って、シャキッとして…。
うーん、目の下のクマが気になるよぉ。
こんなむくれた顔じゃ上井くんに嫌われちゃう。
「お母さーん、何かいい化粧品ない?」
「何言ってるの!中学生が化粧なんて」
「だって、だって、昨日なかなか寝れなくてね、目の下のクマが酷いんだよ、ホラ」
「それぐらい、大丈夫よ。それより何で寝不足気味なの?いつもしっかり寝てる貴女らしくないわね~。授業中寝ないようにしなさい。頑張っておいでね」
「・・・ハーイ」
結局アタシは、寝不足感丸出しで、登校する羽目になっちゃった。お母さんも何か勘付いてるようなものの言い方してるし。
上井くんに今朝会ったら、なんて言おうかな。
とか考えてたらその上井くんとは、吹奏楽部の朝練で、楽器倉庫で会ったの。アタシのちょっと後にバリトンサックスを取りに来たんだ。
『あっ、オハヨウ…』
お互い、おはようって言うタイミングが一緒だったの。ちょっと嬉しくなっちゃった。
その後、上井くんの方から、
「俺、昨日全然寝れなくてさ…」
って話しかけてくれたから、
「本当に?実はアタシもなの」
と答えたよ。
なんか2人して照れちゃって、お互いの顔はまともに見れなかったんだけど、アタシは思い切って、
「昨日はありがとう。アタシ嬉しかったよ。これからは彼女としてよろしくね!」
って、アタシから言ったの。上井くんも返してくれたよ。
「うん。俺も嬉しくて、凄い嬉しくて。神戸さん、俺はそんなカッコいい男じゃないけど、神戸さんに似合う彼氏になれるよう頑張るから、よろしくね」
ううん、男の子はカッコなんかじゃないよ。優しさ、思いやり、リーダーシップ、そんなアタシの理想とする男の子に、上井くんが当てはまったんだよ。
こうして正式に、アタシと上井くんはカップルになった確認を交わしたんだ💖
この日も普通に授業はあったんだけど、昨日までは単なる好きな男の子だった上井くんが、彼氏になって、同じ班で勉強してるのって、感覚が全然違うんだよ!
ついつい右隣に座る上井くんの仕草とか目で追っちゃうし。
今まで気にならなかったことも、一つ一つ気になっちゃう(n*´ω`*n)
上井くんはアタシのこと、授業中に意識してくれてるかな?
2時間目の英語の授業の時は、上井くんが消しゴムを床に落として、それがアタシの方に転がってきたから、拾ってあげようとしたの。そしたら上井くんも自分で拾おうとして、思わず指が重なっちゃって…。
「あっ…」
思わず2人の目が合っちゃった。
上井くんたら猛烈に真っ赤な顔して、小さな声でありがとうって言ってくれて…。
こんな小さなことが、凄く嬉しいんだよ(◍•ᴗ•◍)
そして4時間目は体育だったの。
アタシの中学校は古くて、女子更衣室が無いのよね…。
いや、本当はあるんだけど、グランドの隅っこにあるプレハブ小屋で、窓ガラスは割れてるしカーテンはないし、鍵もないから、とても女子更衣室とは思えないの。
もちろん誰も使ってないよ。
だから、授業は別だけど、男子も女子も同じ教室で着替えてるの。
今までは何とも思ってなかったけど、体育の時はアタシ、スカートを上井くんの目の前で脱ぐことになるんだね?
わ、想像を超えてた…。
恥ずかしい…。
「チカちゃん、体育だよ?どしたんね、モジモジして」
ユンちゃんが制服を脱ぎながら声を掛けてくれた。
「もしかしたらブルマでも忘れたの?アタシ、誰かから借りてこようか?」
そうだ、ユンちゃんはまだアタシと上井くんがカップルになったことを知らないんだ。
っていうか、クラスの誰も知らないんだよね。
だからアタシが上井くんの目の前でスカートを脱いでブルマ姿になる恥ずかしさを、分かってくれない…。
「ゆ、ユンちゃん、あのね…」
「え?ちょっと、アタシまだ着替えの途中なのに、どこ連れてくの〜」
アタシはユンちゃんを教室の隅っこに連れて行って、昨日起きたことを説明した。
「えーっ!」
「ユンちゃん、声が大きいよ~」
何人かの女の子が、アタシ達の方を見たけど、すぐ元に戻ったから、良かったわ…。
「良かったね、おめでとう」
ユンちゃんは小声で言ってくれた。そして、
「なるほど、だから上井くんが目の前にいる状況で体操服になるのが、これまでは何とも思わなかったけど、今日からは恥ずかしい訳ね」
「そんなに論理的に言わないでよ…」
「チカちゃん、大丈夫よ。上井くん見てみなよ。男子同士でワイワイ言いながらもう着替え終わってるよ。他の女子も大体終わってるけど、いつものように誰も何も気にしてないじゃん。チカちゃんの考え過ぎよ。普通にしてればいいの、普通に」
「…そう?」
「そうよ。だからいつものように着替えちゃえばいいの」
「う、うん…」
「意外な所で照れ屋なんじゃけぇ…。アタシがおってあげるけぇ、安心して着替えなよ」
「…分かった」
アタシ達は班の場所に戻って、ユンちゃんは先に着替えを完了させ、アタシは照れながらスカートをバサッと落とし、体操シャツを女子特有の着替え方でブラウスの上から着て、ブラウスを体操シャツから抜き取った。
「ね、ユンちゃん…」
「ん?あっという間じゃん。何も気にすること、ないのに」
「違うの。ブルマから、下着、はみ出てない?」
「あ、そこね、次の心配は。…大丈夫だよ。じゃあさ、ついでにアタシのも見てよ。大丈夫?じゃ、ちょっと遅れたけど体育、行くよ!」
アタシはまさか体育の授業で上井くんを目の前にこんな思いをすることになるとは思わなかった。
でもアタシの悩みなんか何とも感じてないのかな、上井くんは先に着替えて男子とグランドに行っちゃったけど。
「当たり前じゃない。付き合ったからって、急に彼女のブルマ姿を意識しだす方が変じゃない?初めて見るんなら別じゃけどさ。これまでも何度も披露しとるんでしょ?」
「ひ、披露って…。ユンちゃんらしい言い方ね。まあ去年の体育祭とか、同じクラスになってからは体育、クラスマッチ…」
「ほら、心配いらないでしょ?突然神戸千賀子が体育の時にレオタードでも着たらみんな心配するかもしれんけど」
ユンちゃんは独特のユーモアで、アタシの緊張を和らげてくれた。本当に席の交換といい、恩に着るわ…。
ちょっと遅れてグランドへと向かったら、今日は一学期最後の体育だからって、先生も遊び心で授業しようとしてたみたい。
だからか、いつも体育は男子と女子で分かれるのに、今日は男女一緒にやるんだって!(@_@)
3年1組vs2組で、大縄跳び対決って言ってるけど…。
みんなは遊び要素満載の内容に大興奮!
でもアタシは、なんか恥ずかしくて…。
「神戸さん、遅かったじゃん。もしかして、ブルマでも忘れて借りに行ってたとか?」
「ううん、違うよ。ブルマは忘れてないよぉ。ちょっと別の事を話してたら遅れちゃった」
笹木さんがそう声を掛けてくれた。なんでみんな、アタシがブルマを忘れたって思い込むんだろ。今まで一度も忘れたことなんてないのに!
「おーい、縄跳びは男女混合で飛ぶけぇ、回すんは力のある男子がやってくれよ」
先生がそう呼び掛けているわ。ユンちゃんがアタシに小声で話し掛けてきた。
「チカちゃん、上井くんの近くで飛べば?」
「えっ?なんで?」
「もう、鈍感ね。近くで飛んでたら、体がぶつかったりして、あ、ゴメーンとかなったり…するかもよ?」
「あ、あのね、ユンちゃん…」
反論しようとしたら、先生の笛が鳴って、先ずは練習開始になった。
1組は谷村くんと松田くんの、背の高い力のある男の子2人が縄を回すことになったみたい。
上井くんはどこだろう…。
…前の方で男子で固まってるよ。あれじゃ近付けないよ〜。
ま、縄跳びしてる内に、ユンちゃんが言ったようなことも、あるかもね…。
男の子と付き合うって、こんなに神経がすり減るものなのかな。
アタシは上井くんと、もっと楽しくお喋りしたい。上井くんのことをもっと知りたい。
だから、色々話せたらいいね、上井くん💖
<次回へ続く>
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます