第12話 後始末

朝。悠真はカーバンクルの毛に包まれながら二度寝する。ことは許されなかった。


「起きろ。悠真。ゴブリンの集落を一つ潰してきたからそこの後始末の仕事だぞ」


そうグリフォンに言われ起こされてしまった。朝のモフモフタイムはお預けされた悠真はご立腹だったが朝までゴブリンの処理をしていた二人に比べるとだらけているのは自覚しているため、何も言わなかった。


グリフォンの背に乗り、目的の場所へと滑空する。相変わらずの早さで目的地まで到着すると、早速悠真は草木を芽吹かせた。すると普段よりも草木の成長が著しい。悠真は途中で魔力を流すことを止めたがそれでも少しの間植物の成長は止まらなかった。悠真はグリフォンに尋ねる。


「今の見た?魔力の流れを止めても少し成長し続けていたよね。あと、草木の成長が以上にいいのは何事?」


グリフォンは頭を傾げながらこう答える。


「成長が良いのはゴブリンの死体が栄養素として今までの土地より優秀だからではないか?魔力を止めても成長がすぐに止まらなかったのは、もしかしたら魔石のせいかも知れないな」


今度は悠真が頭を傾げなら質問する。


「どういうこと?」


「魔石は魔法の触媒として使われることもあるのだ。そのほとんどは攻撃魔法でゴブリン程度の魔石では何も効果が得られないはずなのだが。悠真の魔法は魔石と相性が良いのか魔法を止めた後も魔石が魔力を供給したため効果時間が伸びたのではないか?」


一応仮説としては納得がいったため、悠真は作業に戻ることにする。いつも以上に植物の成長が良かったのと魔力の消費が抑えきれたため一日でグリフォンとデュラハンが潰したゴブリンの集落は中くらいの草の生える土地となっていた。流石にこれでは木の成長を阻害しそうであったためデュラハンに草刈りをお願いして、木の葉に太陽の光が当たるようにしておいた。


こうして、ゴブリンとの初戦闘の後処理は完了した。一方そのころ、人間たちは渇いた土を掘り返しながらゴブリンの後処理に追われていた。スコップなどの道具が多少はあるのだが、倒したゴブリンの数、それにコロニー内の人間全員に配れるまでの数はない。仕方がないので交代で作業をすることで一人一人の疲労と休憩のバランスを取りながら作業をすることになった。ゴブリンの死体を放置しておくと伝染病が発生する疑いと匂いにつられ腹をすかせた魔物がコロニーの近くまで寄ってくる可能性があるため早急に死体を埋めてしまいたい人間たちであった。


ちなみに人間たちは魔石はちゃっかりとはぎ取り確保していた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る