第5話 人間

スカラが訪れてから半年の時が流れた。その間に世界樹の周りの草木は増えていき、季節とともに葉が落ちたり茂ったりするようになった。だが草の様子を見ると悠真の力なしでは成長できないようで、草は背の低いままだ。ピクシー三人娘はその様子を見て古い草は刈り取りを行うようになった。悠真はそれを疑問に思いピクシー三人娘に質問を投げかける。


「それは何をしているの?」



「見ての通り草を刈っているのよ」


「これを乾燥させた後土に埋めて肥料にするの」


「・・・微生物が生き残っていれば成功するはず」


悠真にはそのあたりの知識は皆無なためピクシー三人娘に任せることにし、自分は草木を芽吹かせていくことに集中することにした。そんな作業をそれぞれが行っていると、スカラとデュラハン、それにグリフォンが現れた。代表してスカラが挨拶をする。


「悠真よ。久しぶりだな。元気にしていたようだな。世界樹の周りが一層自然にあふれている」


「久しぶり。スカラ。で今日は何をしに来たの?」


「以前、草を分けてもらった時のお礼を連れてきた。こちらが護衛のデュラハン。そしてこちらが神獣のグリフォンだ。グリフォンは世界の回復に協力してくれるとのことで着いてきてもらった」


「初めまして。ドリアードの悠真です。よろしくお願いします」


悠真が挨拶をするとデュラハンはきれいなお辞儀をし、グリフォンは言葉で返事をしてくれた。


「これは丁寧なあいさつをありがとう。私はグリフォン。名前はない。この世界にはグリフォンは私しかいないため、そのままグリフォンと呼んでくれ。それよりもドリアードとは珍しい。自然が消滅してから絶滅したと思っていたが生き残りがいたとは」


その言葉にピクシー三人娘が反応する。


「悠真は世界樹の落とし子なのよ」


「気づいたら世界樹のゆりかごの中にいたの」


「・・・きっと神からの贈り物」


その言葉にグリフォンは。

「そうだな。それよりもここに来る最中、人間の姿を見たぞ。どうやらコールドスリープから目覚めだしたようだ。とうの人間たちは地上が荒野となっていることに涙していたがな。まあ自業自得だ」


悠真は人間が自然を絶滅寸前まで追い込むまで何をしたのかが気になり、グリフォンへと質問する。

「人間は何をして世界はこんな状況になったの?」


「戦争だ。確か核兵器だとか生物兵器というものを使って領土の奪い合いをしていた。それに世界が耐え切れず荒廃していった。それに危機感を持った人間たちは、コールドスリープという技術を使い自分たちを眠りにつかせた。それで生き残っているのが今の人間達だ」


悠真はその話を聞いてどこの世界でも人間というのは変わらないんだなとちょっと大人な感想を持つのであった。

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