第3話 精霊
世界樹の実を食べ、どんぐりを芽吹かせてから1年の月日が経った。ピクシー三人は女の子だということが判明し、名前がないことから名前を付けた。それぞれ、ラル、プレー、ヒニーカだ。この三人のピクシーは話す時には順番通りに話すのでいつもこの順で呼んでいる。ちなみに名前の由来はインスピレーションとだけ伝えておく。
悠真は一歳でまだ話すことができないが魔力を通して念話ができることに気が付き、ピクシーたちとは念話で会話をしている。
この一年の間に世界樹の周りには木の実をつける木々が最大2m程度で10本程伸びており、目に見える範囲には草が生えそろっている。悠真がこの世界に転生したときには荒野になっていたため、その時とは見違えるようだ。しかし、世界樹から離れると荒野が続いているようだとピクシー三人娘の話だ。
「この辺りも随分ときれいになったわね」
「悠真が来てから毎日草木が芽吹くようになったからね」
「・・・だけどまだ足りない」
悠真はヒニーカの言葉に少し引っ掛かりを覚えた。
「ヒニーカ。それはどういうこと?」
「世界樹はこの世界の半分に根を張っているからね」
「その根は水分や魔力を蓄えたり、放出する役割を持っているのよ」
「・・・その根がある範囲で草木が生えているのはここだけ」
「つまり、その範囲に草木を芽吹かせないといけないってこと?」
そう質問すると三人そろって頷いた。その時、世界樹からシャキンという音が聞こえた気がした。
「世界樹が反応しているのよ」
「これは世界樹の範囲外から何者かが来た知らせね」
「・・・侵入者」
「世界樹の根は世界の半分に広がっているでしょ。その範囲外には何があるの?」
「精霊樹があるのよ」
「世界樹と同じように残りの世界半分に根を張っているの」
「・・・世界樹は人間の精霊樹は亜人の領域」
悠真はここにきて初めて亜人という名を聞いた。獣人やエルフ、ドワーフなどが定番だがこの世界ではどうなのかと気になったがまずは三人娘に確認することがある。
「亜人と人間の関係は良好?」
「私たちが知る中では可もなく不可もなくってところなのよ」
「それぞれの木の根の境には結界が貼られているの」
「・・・だけど人間がそれを超えて自然を破壊した」
それじゃ関係が良好なわけがないと悠真は判断した。しかし、今の悠真には戦闘能力が皆無だ。それに三人娘が冷静なのが気になった。
「三人はなぜそんなに落ち着いているの?」
「結界は悪意を弾くのよ」
「だから結界を超えてきたものは私たちに危害を加える気がないの」
「・・・つまり安全」
それを聞いて悠真は安心した。しかし、精霊樹側から何が近づいてきているのかが気になり始めた。ただ結界は樹の境目にあると言っていたのでここに来るまでには相応を時間がかかるだろうと思っていた。その時。
「もう到着するのよ」
「早いわね。これは精霊様のお出ましかしら」
「・・・見えた」
三人娘が見つめる先には大きな翼を広げ鷲の頭を持った人間の様な生き物が下りてきていた。
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