第46話
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名前 リッチ
レベル 44
サイズ 中型
生命 1
身体 1
精神 3
技能 3
特殊能力
『偽装』『闇の雷』
弱点 回復系魔法
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踊り場に現れたモンスターの情報を【魔眼】で開示すると、その見た目通りマジシャンタイプなのがわかる。
弱点が回復系魔法だとわかったものの、俺たちにそういうのはないのでそれ以外の手段で攻めるしかなさそうだ。やつの足元に魔法陣が出ていることもあり、急がないと詠唱が完了してしまう。おそらく特殊能力の『闇の雷』っていうのを使ってくるつもりだ。
俺は立原を羽交い絞めにしていることもあって、シフォンと平野迅華が察したのかモンスターへ向かって走っていた。その際、サポートするべく【飛躍】で平野の【武闘家】を【武神】にするのを忘れない。威力に関しては【狂剣士】のほうが強いと思うが、あっちのほうは我を失うしリスクが高いからな。
「あたしに任せなさいよねっ!」
「私にお任せあれっ!」
平野とシフォンが、それぞれ剣と槍を手に骸骨の近くまで接近したときだった。
「ヴァアアアッ!」
マジェリアの手の平から火球が放たれ、リッチが炎上したかと思うとバラバラになって転がったのだ。彼女も何もしないと見せかけて密かに詠唱してたっぽいな。
「やりいっ! わたしの勝ちーっ!」
「「ううっ……」」
小躍りするマジェリアと、項垂れる平野とシフォンのコントラストが見事だ……いや、待てよ。今、床に散らばってる骨が動いたような……。
そうだ、確かモンスターの特殊能力に『偽装』ってあったんだった――
「――今だあぁっ!」
「はっ……」
しまった。一瞬束縛の強度が緩んだところで、立原が高々と【跳躍】したんだ。しかも、空中でもジャンプできるらしく、見えない階段でも駆け上がるのような小気味よい動作をしたのち、スマホを操作して棍棒を出してきた。おそらくあれで飛び降りるとともに俺の頭をかち割るつもりだ。
「死ねええええぇぇっ! 底辺めがあああぁぁぁ――!」
その直後だった。バラバラの骨が一気に合わさってリッチが再び姿を見せたかと思うと落雷し、立原の振り上げた棍棒を通じてやつの体に命中したのだ。
「――あがががががががががががががっ!?」
立原樹は生きた避雷針となり、踊り場に着地して奇妙なダンスをしばらく披露すると白目を剥いて倒れた。
その一方、平野とシフォンの手によってモンスターが倒され、今度こそバラバラになったのち跡形もなく消えていった。
察するにリッチは精神が3もあるだけあって魔法耐性があり、それでマジェリアの魔法を食らっても生き残れたんだろう。おまけに偽装行為をやる技術もあるし空気を読んで天罰も与えてくれるしで、ある意味で味方といってもいいような敵だったな……。
「あーあ。大蛇以外を倒せばレベルが上がると思ったのに……」
平野迅華はスマホの画面を見ながら残念そうだ。ってことは、同時に見えてシフォンが先にモンスターを撃破したのか。彼女のステータスを見てみるとレベル20になっていた。これでシフォンも俺たちレベル20組の仲間入りってわけだ。
「わたしだけ、置いてけぼり~……」
がっくりと座り込むマジェリア。まあ《大蛇の洞窟》マップもあるしまだまだ追いつけるチャンスはある。
それにしても、疑問に思うことがある。この子にしてもそうだが、シフォンはスマホもないのにどうやってステータスポイントを振るんだろう?
「みゃあ……。トール様、体が少し熱いです。レベルが20になったみたいなので、心技体と生命のうち、もっとご主人様に貢献できるよう体を上げますですっ」
なるほど、感覚頼りなのか。亜人だから人間と違って敏感で、レベル10ごとに変化があって、獲得したエネルギーのようなものを割り振ることができるのかもしれない。それで、たまに冒険者ギルドとか行ってステータスを確認するような感じだったのかもな。
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