第35話
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名前 平野 迅華
性別 女
年齢 17
レベル 20
生命 2
身体 2
精神 1
技能 1
所持武器
ロングソード
所持スキル
【剣士】【武闘家】
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「――おぉ、レベル20か。大分上げたな、平野迅華。お疲れさん」
「ジンカ様、レベル上げお疲れ様ですー」
「……ふう。二人とも、おつあり。もう、腕もろくに上がらないし、くったくただけどねぇ……」
【異次元ボックス】内、平野が剣を無造作に置いて大の字で横たわる様子は、確かに疲労困憊なのをよく表していた。
実はあのあと、俺も念のためにと彼女が戦う様子を近くで見学していたんだが、その心配はまったくないと思えるほどのクオリティで、正直デスフロッグとの戦ったときと比べると雲泥の差だった。
寝起き状態のシフォンが平野の戦い振りを見て、感動した様子で拍手をしていたくらいだ。よっぽどあのときのことが悔しくて陰で努力してたんじゃないかな。
ちなみに彼女がどうやって一人でここへ戻ってきたかというと、これはボックスから出たときにわかったことだが、《大蛇の洞窟》マップ内でも大きな箱が見えるようになっていて、そこに重なるだけでよかったんだ。それはおそらく箱の中にいた俺たちだけの特権なんだろう。
「また休んだらレベル上げしていけばいい」
「レベル上げ、がんばですっ」
「んー……でも、もういいかな……」
「なんだ、平野迅華。大蛇と戦うのは飽きたのか?」
「それとも、疲れ果ててしまわれたのですかー?」
「そういうんじゃなくて、どんだけ倒してもさ、もうぜんっぜん上がらないみたいなのよ……」
「「えぇっ……?」」
平野の台詞に対し、俺はシフォンときょとんとした顔を見合わせた。
自分が狩ったときはレベル一桁台だったから上がりやすかったとはいえ、ホワイトサーペントは一匹で3レベルも上がるほど美味しいモンスターなのに、倒しても倒しても全然レベルが上がらないだって?
「何よ、その反応。浦間透もシフォンもあたしが嘘ついてるとか思っちゃってる? 試しにそこまで上げてみればわかることよ」
「…………」
彼女が嘘をついてるようには見えない。ってことは、昔やったロールプレイングゲームみたいに、最初の町付近でスライム等の雑魚敵を延々と倒して楽々レベルアップし続けるなんてことはできないのか。
よくよく考えてみれば、同じモンスターを思考停止で倒しまくってるのに同等の経験値を得られるってのがそもそもおかしいんだけどな。
もしかしたら、平野がレベル上げの後半に獲得した経験値はゼロかそれに近い数字になってるのかもしれない。そういう意味では現実に即したリアルなシステムになってるってことなんだろう。
「てか、何人かクラスメイトにも遭遇しちゃって、あたしが戦うところ見られちゃったわ」
へえ、3-Aにも《大蛇の洞窟》マップを獲得した生徒は複数いたらしい。
「また伝説を作ったみたいだな」
「みゃあ、凄いですー」
「ちょっと、からかわないでよねっ! こんなに上がらないんだったら、途中でとっととやめておけばよかった」
「でも、レベルが上がりすぎたら俺の言うことを聞いてくれなくなるかもしれないしちょうどよかった」
「へ? 浦間透、それってどういう意味よ。もしかして関白宣言……!?」
「冗談冗談」
「いや、今のはそんな感じには見えなかったわ。本心でしょっ!」
「さーな?」
「白状しないと脱がすわよ……!?」
「お、おいおい……」
本当に冗談のつもりだったが、なんかやたらと自信をつけちゃってるみたいだし、こりゃ本気でレベル上げを食い止めなきゃいけないみたいだな……。
それでも、彼女が有名になるのはいいことだ。平野迅華という存在が輝いてくれるおかげで、影ができるから俺はその中に入って目立たなくなる。かつて殺し屋だった身分としてはメリットしかない。
ただ、一つ気になることもある。
元殺し屋の自分が転生したのなら、昔死闘の末に殺した同業のライバルもそうなってる可能性があるんだ。やつに勝てたのは、謙遜ではなく運もあった。正直、次にやり合って勝てる補償はどこにもない。それほどの相手なんだ……。
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