第36話


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 名前 浦間 透

 性別 男

 年齢 17

 レベル 20


 生命 2

 身体 2

 精神 2

 技能 1


 所持装備

 ナイフ(改)

 手投げ矢(改)

 念動弓(改)


 所持スキル

【飛躍】【覗き】【魔眼】【異次元ボックス】


 所持従魔

『シフォン』


 所持マップ

《大蛇の洞窟》


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 平野迅華の頑張りに触発されたこともあり、あれから俺もシフォンに手伝ってもらって《大蛇の洞窟》マップでモンスターを狩り、レベルを16から20まで一気に上げることができた。


 それでポイントを一つ得たので、念動弓を今まで以上に活用するために精神に振ったわけだが、よかったといえるのはそこまでだった。レベル20までは気持ちいいくらいサクサク上がってたっていうのに、それからはどれだけ大蛇を狩ろうとまったく上がらなくなってしまったんだ。


「ね? 浦間透、あたしの言った通り、レベル20からは全然上がらなかったでしょ」


「あぁ、確かにな……」


「はい、ちっとも上がらなかったです……」


 そのことを平野迅華から事前に聞いてたからまだよかったが、もし知らなかったら向きになってもっと大蛇を倒そうとしていたかもしれない。


 とはいえ、20レベルになって以降、一つくらいなら上がるかもしれないと思って軽く10匹以上は狩っているわけで、やはりゼロに近い経験値になっているのが窺えた。同じモンスターを狩り続けても意味がないってことが証明された格好だ。


 それだけ経験値に関しては現実に即していると考えるべきかもしれないが、まるでこの時点でレベルを20以上にしてはいけないという決まりでもあるかのようにも見える。


 そういや、最初のほうで時空の番人が、スマホやタブレット等、端末で獲得できるアイテムの中に『レベル』もあるとか言ってたような……?


 それを獲得できるようになるのがいつになるかはわからないが、今後そこに大きな価値を持たせるためにも、モンスターの経験値を一時的にゼロにする等、俺たちがレベルを上げ過ぎないように調整されているとしたら……。


 いや、まさかな。それじゃまるで時空の番人がオンラインゲームの運営者みたいじゃないか。選択したアイテムを巡って生徒プレイヤーたちが一喜一憂するのを、どこかで神様にでもなった気分で眺めているなんて、いくらなんでも胸糞すぎて想像したくもない。


「こ、こん……あ、あの、トール様……?」


「ん、どうした、シフォン? そんなに改まって」


「みゃう……よかったら、場所を変えてもらってもいいでしょうか……」


「え、ボックス内はやっぱり窮屈で嫌だったか?」


「いえ、そういうことではないんですよ~。周りに蛇さんがいっぱいいるかと思うと怖くて……」


「あぁ、それでか。見ようと思わなければ見えないんだけどな、それでも気になるくらい蛇が苦手ならしょうがないか」


「こんん……申し訳ないです、トール様……」


「別にいいよ。んじゃ、場所を変えよう。どこがいい?」


「ん-と……できれば、食堂がいいです。周りに焼きそばパンもあるのでっ」


「ははっ、シフォンは本当に食いしん坊さんだなあ」


「だって、美味しいですからぁ。こんこんっ――♪」


「――何よ、ほんっと浦間透ったらシフォンには甘いんだから」


「「えっ……」」


 そこで平野迅華がむくりと上体を起こして抗議してきた。


「このあたしが、あんたたちの恋のお邪魔虫になってやるんだからぁ……」


「「……」」


 俺はシフォンと苦い笑みを向け合うしかなかった。平野のやつ、疲労困憊かと思ったらもうこんなに元気になってるなんてな。


 とりあえず、《大蛇の洞窟》から出ようとスマホを取り出し、マップのアイコンをタッチしたわけだが、その際に時刻を見るといつの間にか夜の十時になっていたのがわかった。


 もうこんな時間になってたのか。ちょうどいい。これから食堂へ行って三人で夕飯を食べたら、その場所で【異次元ボックス】スキルを使って就寝するとしよう。

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