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高校に入った後も、あの勝が他のクラスなのに、なにかとかまってきて「気持ち悪いんだよ ブスのくせして澄ました顔しやがってー そのギョロ眼 つまんでやろうか サダコブス」と、こっちが無視していてもかまってくる。やっぱり、クラスの中でも浮いてしまっていた。それに、高校に入って、2日目に担任の先生に呼ばれて
「瀬戸内サナさん うちの高校はパーマ禁止なのは知っているね その髪の毛なんとかしなさい 真直ぐに・・」
「先生 私 サダって言う名前です それに、パーマなんてしてません だから、後ろでまとめて・・」
「しかしなぁー 他の生徒への影響を考えると まぁ もっと短く切るとか 何とかしなさい」
次の日、お母さんは私を連れて、職員室に乗り込んで、担任の先生の前で
「先生 この子の髪の毛は生まれつき こうなんです。切れと言うなら、この場で切りますけど 短くすれば、もっと、跳ね上がってしまって、爆発したみたいになるんです 毎日、お風呂上りに出来るだけ、真直ぐになるようにブラッシングをしてるんですよ それでも、先生が責任取ってもらえるんなら 切りますけど・・ 校長先生もご存じなんでしょうね ただ教育委員会にもパワハラセクハラって報告させてもらいますよ」
「まぁ まぁ お母さん ・・・ わかりました いや 短くしろって言ったのは言い過ぎでした 申し訳ございません すみません」
「あとねー うちの子はサナじゃぁなくて サダなんです 担任だったら、正確に覚えてくださいね もうー」
と、何とか、その場はそのままになってしまった。先生もそれ以来、恐れをなしたのか、触れないようにしていた。そんなことがあったからか、余計にクラスのみんなから敬遠されてしまった。それに、勝が「サダコブス」とからかってくるもんだから、クラスの間でも、そのあだ名が広まってしまった。
お弁当の時間でも、何人かで集まって食べるのだけど、私はいつも一人だった。だから、校庭の片隅で食べるようになっていた。その方が、私はお弁当の中身がどうだとか、つまんない話題を無理やり話すこともないので、逆に気楽だったし、無理やり友達を装ってもらうのも嫌だったのだ。
ある日、女の子が近寄ってきて、
「ねぇ となり いいかなー?」
見覚えがある。同じ中学のはずだ。だから、1年生。だけど、確か、中学の頃からあんまり素行が良くないと評判だった子だ。
「べつに いいよ」私は、断る理由もなかった。
「ねぇ いつも ひとりだね 外が好きなのー」
「そーいうわけじゃあない うっとおしいのって嫌なの」
「そー ウチもやねん 女同士ってなんか ネチネチしてるやん 口では合わせてるけど、心の中なんかて どうだかねー」
「友達って そんなもんちゃうのー 合わさんと うまいこといかんわー」
「ねぇ ウチ等 気が合うと思わへん? 友達になろー サナって言うんやろー ウチ
高校の制服は女子は襟元のリボンを蝶結びするのが普通なんだけど、わざわざネクタイみたいに結んでいて、スカートの丈も短い。いかにも、ヤンキーって感じで、進んで友達になろうなんて思っていなかった。それに、私はサダなんだ。面倒くさいから黙ってた。
「ウーン ウチなんてつまんないでー」
「いいのー なんか 他の子と ちゃうような気がするから」
結局、押し切られた。別に、どうでもよかったのだけれど、この時の私は、あまりにも寂し過ぎたのだ。おそらく、高校に入ってから、女の子と話したのは3度目ぐらいだった。
だけど、しばらくして、小学校の時、比較的仲の良かった
「サダちゃん 最近 下沢さんとお弁当一緒してるやろー あの子 悪い評判あるんやでー なんか、男の子の不良グループとも遊んでるんやって 付き合うのやめときー あぁ こんなこと、言うたん 内緒やでー 仕返しされるしなー」と、こそっと言って、走り去っていった。あの子も私から遠ざかって行くひとりなのだ。
私は、久美って子がそんなんやろーなって、少しは思っていたから、べつに、それを聞かされたからって、驚きはしなかったのだ。それに、小学校の時は遊んでいたのに、今では、茉莉ちゃんのほうこそ、傍に寄ろうともしてないやんかーと思っていた。だから・・・彼女も私にはどうでも良い部類なんだ。別に、もう仲良くしてもらわなくてもいいよって 後ろ姿を見送っていたのだ。
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